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2024年度の社会保障予算の内容と過程を問う(下)-少子化対策の余波で作られた「改革工程」の実効性と問題点
保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 三原 岳
次に、2028年度までに実施を検討する施策としては、保健・医療・介護の情報を共有できる「全国医療情報プラットフォーム」を含めた医療DX(デジタルトランスフォーメーション)による効率化・質の向上とか、生成AI(人工知能)などを用いた医療データの利活用の促進、医療機関、介護施設の経営情報の「見える化」の一層の促進、地域医療構想5を含めた医療提供体制改革、かかりつけ医機能強化に向けた制度整備6、薬剤師の対人業務の充実と薬剤師の役割強化に向けた検討7、2020年度診療報酬改定で導入されたリフィル処方箋(一定程度の条件の下、繰り返し使える処方箋)の活用、多剤重複投薬や重複検査の適正化に向けた仕組みの検討、医師偏在対策8やオンライン診療の活用9、他の職種への権限移譲を意味する「タスク・シフト/シェア」の推進10などが列挙された。
これらの医療提供体制改革を進めるため、地域医療構想や医師偏在是正に関する都道府県知事の権限強化を検討する方針も規定。費用面における都道府県の権限を強化する観点11に立ち、国民健康保険の国庫負担で地域間の所得差などを調整する「普通調整交付金」や、都道府県単位の広域連合で運営されている後期高齢者医療制度に関して、それぞれの制度の見直しに向けて、議論または検討を深める方向性が盛り込まれた。都道府県レベルにおける負担と給付の関係を明確にするため、国民健康保険の保険料水準を都道府県内で統一化することを一層推進する方向性も盛り込まれた。
一方、介護に関しては、介護サービスを必要とする利用者の長期入院の是正に加えて、ここでも介護の生産性・質の向上が言及された。自立支援・重度化防止を図る観点に立ち、介護報酬におけるアウトカム(成果)評価の在り方について、「検討を行う」という文言も入った12。
さらに、給付抑制に繋がる見直しとして、▽利用者負担を徴収していないケアマネジメントの有料化、▽要介護1~2を介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」)に移行――を次の次の制度改正に当たる2027年度までの間に検討すると規定した13。
ここで言う総合事業とは、要支援1~2の人の訪問介護と通所介護(デイサービス)を市町村の事業に移した事業を指す。この事業では予算の上限が設定されるなど給付抑制の仕組みが内在されているが、制度発足から5年以上が経過しているのに、市町村の間に浸透していない。
そこで、厚生労働省は専門家の派遣などを通じた「地域づくり加速化事業」を展開しているほか、2023年12月には有識者などで構成する検討委員会がテコ入れ策を打ち出した。さらに、財務省は総合事業の対象を要介護1~2に拡大するように求めており、その是非が論点となっている14。
このほか、サービス付き高齢者向け住宅などで、入居者に対する過剰な介護サービスの提供が起きているとして、実態把握と実効的な点検、適正化に向けた方策の検討と実施が示された。福祉用具貸与についても、2024年度から開始される貸与と販売の選択制が導入されることになっており、効果や課題を検証した上で、必要な対応を行うとされた。
さらに、薬価制度に関して、イノベーションの推進、安定供給の確保と薬剤保険給付の在り方を見直す方向性が規定されたほか、生活保護の医療扶助の適正化とか、障害福祉サービスの地域差の是正に向けた事業所指定の在り方に関する検討などが言及された。
給付抑制に繋がる制度改正としては、患者・利用者負担の見直しも言及されている。ここでは、結論の先送りが相次いでいる介護保険の2割負担対象者拡大について、次の次の見直しになる2027年度までに結論を得るとされた。
その上で、改革工程では、(1)負担増に対応できると考えられる所得を有する利用者に限り、2割負担の対象を増やす、(2)当分の間、一定程度の負担上限額を設けた上で、(1)よりも2割負担の対象を広げ、介護サービスの利用に及ぼす影響などを分析の上、負担上限額の在り方について、2028年度までに必要な見直しを検討する――という2つの方向性が示された。その際には、保有する金融資産の保有状況の反映なども加味するかどうか、「早急に検討を開始」という方針も付記された。
このほか、2024年度介護報酬改定では、介護老人保健施設や介護医療院の相部屋(多床室)に関して、月当たり8,000円の追加負担を原則徴収する方針が決まっており、この着実な実施と一層の見直し方針も示された。負担増に繋がる案件として、▽医療・介護の3割負担対象者を拡大する制度改正、▽国民健康保険制度や後期高齢者医療制度、介護保険制度における負担への金融資産の反映、▽障害福祉サービスにおける質に応じた報酬設定――なども検討課題として挙げた。
高齢者の活躍促進や健康寿命の延伸に向けた方策としても、高齢者雇用や定年延長に関する人事・給与制度の工夫に取り組む企業の事例収集・展開、先に触れた総合事業の活性化、2024年度から新しい計画が始まる「医療費適正化計画」も含めた疾病予防15、フレイル(虚弱化)防止に向けた保健事業の実施などが言及された。
物価上昇など経済情勢に対応した患者負担の見直しとして、高額療養費の自己負担限度額や入院時の食費基準を見直す方針も盛り込まれた。
5 地域医療構想の概要や論点、経緯については、2017年11~12月の拙稿「地域医療構想を3つのキーワードで読み解く(1)」(全4回、リンク先は第1回)、2019年5~6月の拙稿「策定から2年が過ぎた地域医療構想の現状を考える」(全2回、リンク先は第1回)、2019年10月31日拙稿「公立病院の具体名公表で医療提供体制改革は進むのか」を参照。併せて、三原岳(2020)『地域医療は再生するか』医薬経済社も参照。
6 2023年8月26日拙稿「かかりつけ医強化に向けた新たな制度は有効に機能するのか」、同年2月13日拙稿「かかりつけ医を巡る議論とは何だったのか」(上下2回、リンク先は第1回)をそれぞれ参照。
7 最近の施策では、薬剤師の業務に関して、調剤などの対物業務から服薬指導などの対人業務に切り替えることが重視されている。詳細は2021年10月15日拙稿「かかりつけ薬剤師・薬局はどこまで医療現場を変えるか」を参照。
8 医師確保計画と外来医療計画に関しては、2020年2月17日拙稿「医師偏在是正に向けた2つの計画はどこまで有効か(上)」、2020年3月2日「医師偏在是正に向けた2つの計画はどこまで有効か(下)」を参照。なお、2つの計画は2024年度から始まる医療計画に包摂される。
9 オンライン診療は2018年度診療報酬改定で創設された後、新型コロナウイルス対応として重視された。制度改正の経緯や論点などについては、2021年12月28日「オンライン診療の特例恒久化に向けた動向と論点」を参照。
10 タスク・シフト/シェアは2024年4月施行の「医師の働き方改革」で重視されている。医師の働き方改革の詳細については、2023年9月29日拙稿「施行まで半年、医師の働き方改革は定着するのか」、2021年6月22日拙稿「医師の働き方改革は医療制度にどんな影響を与えるか」も参照。
11 費用面における都道府県の役割強化に関しては、2023年通常国会で成立した改正関連法でも国民健康保険の保険料水準統一化などの施策が盛り込まれている。詳細については、2023年8月25日拙稿「全世代社会保障法の成立で何が変わるのか(下)」を参照。
12 既に通所介護の身体的自立を評価する加算措置などで、インセンティブ付きの報酬が部分的に導入されている。
13 2024年度改正に向けて、2022年12月に結論を先送りした際の動向については、2023年1月12日拙稿「次期介護保険制度改正に向けた審議会意見を読み解く」を参照。
14 総合事業のテコ入れ策と見直しの論点については、2023年12月27日拙稿「介護軽度者向け総合事業のテコ入れ策はどこまで有効か?」を参照。
15 医療費適正化計画は保健指導の強化などを通じて、医療費を抑えることを目的に、都道府県によって6年周期で作られている。2023年通常国会では、内容の充実が図られる制度改正が実施されている。詳細については、2023年8月9日拙稿「全世代社会保障法の成立で何が変わるのか(上)」を参照。
5――改革工程の内容(3)~地域共生社会の実現など~
このうち、重層的支援体制整備事業とは2021年度から始まった施策であり、▽高齢者や障害者、こどもなど属性を問わない相談支援、▽地域活動などへの参加支援、▽住民や企業との連携などを通じた地域づくりに向けた支援――の3つを一体的に実施することが重視されており、市町村は任意で事業を実施できる。厚生労働省の集計によると、2023年12月時点で189自治体が手上げしており、改革工程では「より多くの市町村において実施されるよう、引き続き必要な対応を検討・実施する」という方向性が示された16。
さらに、単身高齢者や生活困窮者など「住宅確保要配慮者」に関する施策も盛り込まれている。この関係では、国土交通省、厚生労働省、法務省が合同で設置している「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」が2023年12月に取りまとめた中間報告で、要配慮者に対する相談対応の強化など、いくつか施策の方向性が示されており、改革工程でも中間報告に触れつつ、必要な制度改正に向けて、関係省庁が連携の下、検討を深めるとされた。
2028年度までの検討課題では、孤独・孤立対策の推進も明示された。この関係では、新型コロナ禍の真っ只中だった2021年2月、当時の菅義偉首相が孤独・孤立対策担当相の設置を表明。内閣官房に担当室が置かれるなど施策の検討が政府・与党で進んだ。その後、2023年通常国会で「孤独・孤立対策推進法」が成立し、2024年4月から施行されることになっている。
同法では、首相をトップとする「孤独・孤立対策推進本部」を内閣に設置する方針とか、国が「孤独・孤立対策重点計画」を策定する点が規定されているほか、自治体に対して「孤独・孤立対策地域協議会」を設置する努力義務が課された。2024年度政府予算案では、NPOとの連携など孤立・孤独対策に取り組む自治体を支援する「孤立・孤独対策推進交付金」が内閣府の新規事業として計上されている。こうした流れを踏まえつつ、改革工程では同法に基づく施策の推進が挙げられた。
このほか、高齢者を中心として単身世帯などの急増が確実に見込まれる中、身元保証から日常生活支援、死後事務の処理に至るまで、広く生活を支えるための支援を検討する方向性も言及された。
2040年頃を見据えた中長期的な課題としても、人口構造・世帯構成の変化を見据えつつ、上記の施策を実施することが盛り込まれた。
以上の説明を通じて、歳出改革に限らず、様々な施策や制度改正が改革工程に言及されている様子を読み取れる。しかし、施策を羅列している感は否めず、改革工程の位置付けに立ち返ると、歳出改革の実効性も問われる必要がある。以下、改革工程の位置付けと疑問点、問題点など、筆者なりの評価を述べる。
16 なお、筆者は重層的支援体制整備事業の実施市町村を拡大することについて、慎重に検討する必要があると考えている。元々、同事業は「属性を問わない」としている分、施策の対象を絞り込む必要はないが、初期段階では一定程度、対象を限定しないと施策になりにくいため、実際の運用には工夫が必要となる。さらに、参加支援では個別事例に沿った対応、地域づくりでは住民の支え合いの状況など「地域の実情」を踏まえた体制整備も求められるため、柔軟な運用が欠かせない。しかし、医療や介護では現在、「地域の実情」に応じた体制整備が求められているのに、多くの自治体は施策づくりに難渋しており、より難易度の高い重層的支援体制整備事業を使いこなせる市町村は現時点で多くないと感じている。医療・介護の施策づくりで自治体が苦労している様子については、審議会資料で多用された「地域の実情」という言葉に着目した拙稿コラムの第1回を参照。
6――改革工程の評価
まず、一瞥した感想としては、新味性はほぼゼロと言わざるを得ない。個別に見ると、要配慮者向け住宅保障の強化とか、孤立・孤独対策の推進など、どちらかと言うとマイナーだった施策がピックアップされた意味合いは評価できる。特に住宅政策に関しては従来、経済政策の一環として持ち家取得の支援などが展開されてきたが、高齢者住宅などを除くと、社会保障の範疇として受け止められていなかった面がある。このため、改革工程のような閣議決定文書で、社会保障政策の一つとして言及される意味合いは決して小さくない17。
しかし、負担増や給付抑制に繋がる案件に至っては、法改正実施済みの案件か、ほとんど全てが毎年12月に決まっている「新経済・財政再生計画改革工程表」か、年2回公表される財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の建議(意見書)に示された案件が大半であり、ほぼ全ての内容が「どこかで見聞きした案件」である。このため、「関係府省から上がって来た施策をホッチキスで止めただけでは」という印象は拭えない。
敢えて言うと、介護保険の2割負担対象者拡大に関して、方向性が2つ示されているが、後述する通り、元々は結論を先送りし続けた案件だったことを考えると、「実質的な国民負担は増やさない」という説明が実行できるのか、甚だ疑問である。
しかも、「時間軸」の重要性を強調している割に、施策の検討または実施時期を新たに具体化した案件も少なく、(中)で取り上げた「こども未来戦略」のように、「次期通常国会に法改正」といった形で、具体的に時期を明示した制度改正案はほとんど見当たらない。皮肉交じりに言うと、給付を増やす未来戦略では、盛んに「法改正」が書かれているのに、給付を削る改革工程では、その饒舌ぶりが鳴りを潜めている形だ。
これであれば、毎年末に見直されている新経済・財政再生計画改革工程表の方が余程、実施時期のメドや検討の方向性、施策の進捗を図るKPI(Key Performance Indicator)が具体的に記述されていると感じざるを得ない。以上を踏まえると、文書作成に関わった関係者には申し訳ないが、「寄せ木集め」「施策のホッチキス止め」「官僚の作文」といった辛辣な言葉しか思い付かない。
17 住まいの保障については、鈴木賢一(2024)「住宅セーフティネットの現状と課題」『調査と情報』No.1256、国立社会保障・人口問題研究所編著(2021)『日本の居住保障』慶應義塾大学出版会、野口定久ほか編著(2011)『居住福祉学』有斐閣などを参照。
策定過程を見ても、関係者の合意形成プロセスという点で相当、心許ないと言わざるを得ない。既に触れた通り、歳出改革には国民や与党、業界団体などの反発が避けられないため、できるだけ多くの人が納得できる着地点を見出す必要がある。
例えば、75歳以上高齢者のうち、所得の高い階層には2割負担が2022年10月から導入されたが、2割負担とする所得基準の線引きを巡って、政府・与党の調整は難航した18。結局、安倍晋三内閣で検討が始まり、菅内閣で細かい所得基準が決まり、岸田文雄内閣の下で施行されたため、3つの内閣をまたぐ形になった。筆者自身、年齢で区切られた高齢者医療費の患者負担は早期に見直す必要があると考えているものの、それでも関係者の合意形成とか、実施に際しての経過措置など一定程度、時間と手間暇を要することは間違いない19。
病床削減などの医療提供体制改革に際しても、個別の病院名や診療科の見直し論議になった瞬間、周辺住民や病院・診療科で働く従事者から反発が必ず出るのは避けられない。その一例として、内閣府が2019年11月に公表した世論調査を指摘できる20。ここでは「医療機関の統廃合の賛否」を尋ねる設問があり、「賛成」「どちらかといえば賛成」を合わせると、計68.9%の人が賛成と答えていたが、「反対」「どちらかといえば反対」と答えた人に理由を複数回答可で問うたところ、「統廃合により医療機関が減るので、医療機関を選択しにくくなると思うから」(32.7%)、「医療機関までの所要時間が長くなると思うから」(34.2%)という回答が上位に来た。
つまり、この調査結果では、いくら総論で医療機関の再編に賛成と答えたとしても、個別の見直し論議に具体化された瞬間、「アクセスの悪化」を理由に賛成論者が反対に回る可能性を示している。実際問題として、病気や障害のある人がアクセス悪化に懸念を示すのは当然であり、全ての意見を「抵抗勢力」と見なすのは乱暴であろう。このため、社会保障の見直しに際しては、できる限り多くの人に賛同してもらうための合意形成プロセスが欠かせない。
それにもかかわらず、今回の改革工程の策定過程では、与党や業界団体の意見を反映する場面は見受けられなかった。ここで、過去の歳出改革計画との比較を通じて、今回の改革工程の策定過程の問題点を明らかにしたい21。
まず、1980年代の第2次臨時行政調査会(以下、第2臨調)では、会長だった土光敏夫氏(経団連会長などを歴任)のカリスマ性が強調されがちだが、実際には政府・自民党との間で緊密な意思疎通が図られていた。
さらに、橋本龍太郎政権期の「財政構造改革」では、首相や蔵相を経験した重鎮や与党の責任者を首相直属の会議に招くことで、政府・与党内の意見集約を図った。患者負担の増加など具体的な見直しに関しても、当時の連立政権を構成していた自民、社会、さきがけの間で、かなり丁寧な合意形成過程が図られていた。
小泉純一郎政権末期に作られた「骨太方針2006」でも、財政再建を急ぐ財務省と、増税に頼る部分を小さくしたい自民党などで意見が対立。結局、小泉首相の指示で、自民党が歳出改革を作る異例の展開となった。これを受けて、自民党は政調会長の下、社会保障に限らず、地方財政や公共事業など分野ごとに歳出改革のプロジェクトチームを作り、社会保障費の自然増を毎年2,200億円抑制するプランなどを作った。その間も経済財政諮問会議が頻繁に開催され、関係閣僚が財政再建策や経済成長率の見通し、成長戦略などを盛んに話し合った。
ここで注目したいのは当時の歳出改革の内容や結果ではなく、検討過程である。いずれのケースでも一定程度、政府・与党内の意見調整を丁寧に踏んでいた点は注目に値する。つまり、社会保障に限らず、歳出改革は様々な形で国民の生活や業界団体の動向に影響を与えるため、一定程度の合意形成プロセスが取られて来た。
上記のような過去の経緯と比べると、今回の改革工程の作成プロセスでは、ほとんど合意形成のプロセスが見受けられなかった。こういう過程で出来上がったペーパーは一般的に「泥縄」「付け刃」と評されるのではないだろうか。
18 高齢者医療の患者負担を巡る歴史については、2022年1月12日拙稿「10月に予定されている高齢者の患者負担増を考える」に加えて、2020年12月22日拙稿「後期高齢者の医療費負担はどう変わるのか」、同年2月25日「高齢者医療費自己負担2割の行方を占う」を参照。
19 政策形成過程における合意形成の重要性については、2024年1月23日拙稿「政策形成の『L』と『R』で考える少子化対策の問題点」でも取り上げた。ここで言う「L」は「正統性(legitimacy)、「R」は合意形成をベースとした「rightness」を追求することを意味しており、次元の異なる少子化対策の検討では、一貫して「首相の指示」という「L」が先行した点を批判的に論じた。
20 2019年11月公表の「医療のかかり方・女性の健康に関する世論調査」を参照。回答者数は2,803人。このうち、「どちらかといえば反対」、「反対」と答えたのは790人。
21 過去の歳出改革のプロセスと顛末については、奥健太郎(2022)「『骨太方針2006』と自民党」奥健太郎編著『官邸主導と自民党政治』吉田書店、中北浩爾(2019)『自公政権とは何か』ちくま新書、大田弘子(2010)『改革逆走』日本経済新聞出版社、同(2006)『経済財政諮問会議の戦い』東洋経済新報社、清水真人(2007)『経済財政戦記』日本経済新聞出版社、同(2005)『官邸主導』日本経済新聞出版社、大嶽秀夫(1997)『行革の発想』TBSブリタニカ、同(1994)『自由主義的改革の時代』中公叢書に加えて、当時の新聞記事などを参照。なお、筆者は前々職時代、骨太方針2006の策定過程をメディア記者としてウオッチしており、その経験も記述に加味している。
(2024年02月14日「基礎研レポート」)
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03-3512-1798
- プロフィール
【職歴】
1995年4月~ 時事通信社
2011年4月~ 東京財団研究員
2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
2023年7月から現職
【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
・日本ケアマネジメント学会
【講演等】
・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)
【主な著書・寄稿など】
・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数
三原 岳のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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2024/11/11 | 医師の偏在是正はどこまで可能か-政府内で高まる対策強化論議の可能性と選択肢 | 三原 岳 | 基礎研レポート |
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