2021年06月22日

医師の働き方改革は医療制度にどんな影響を与えるか-診療体制の変更などが起きる?問われる都道府県の対応

保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 三原 岳

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■要旨

6月16日に閉会した2021年通常国会(第204国会)では、医師の長時間勤務を制限する医師の「働き方改革」などを内容とする改正医療法が成立した。この法改正では2024年度以降、医師の超過勤務を制限する方針に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、新興感染症への対応を医療計画に位置付ける制度改正など広範な内容が盛り込まれているため、医療機関の経営や地方行政の実務に様々な影響を及ぼす可能性がある。

本稿では、こうした広範な内容のうち、医師の働き方改革を中心に、医療制度に及ぼす影響や論点を考察する。具体的には、改正内容の概要を考察するとともに、医師の働き方改革がコスト増や診療体制の変更などを通じて、医療機関の経営や診療に及ぼす影響を考える。さらに、他の提供体制改革との関係性も含めて、実務に当たる都道府県の役割なども考えることで、今後の論点や方向性を模索する。

■目次

1――はじめに~働き方改革を中心とする改正医療法の影響は?~
2――改正医療法の内容と経過
3――医師の働き方改革に関する経緯と内容
4――医師の働き方改革に関する論点と展望(1)~医療機関の経営に与える影響~
  1|B水準とC水準の医療機関に求められる対応
  2|診療体制の変更などが起きる?
  3|医師の引き揚げなどの「副作用」も焦点
5――医師の働き方改革に関する論点と展望(2)~都道府県の実務に与える影響~
  1|求められる都道府県の体制整備
  2|難しい地域医療の確保とのバランス、他の改革との整合性も必要に
6――おわりに

(2021年06月22日「保険・年金フォーカス」)

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保険研究部   上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

三原 岳 (みはら たかし)

研究・専門分野
医療・介護・福祉、政策過程論

経歴
  • プロフィール
    【職歴】
     1995年4月~ 時事通信社
     2011年4月~ 東京財団研究員
     2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
     2023年7月から現職

    【加入団体等】
    ・社会政策学会
    ・日本財政学会
    ・日本地方財政学会
    ・自治体学会
    ・日本ケアマネジメント学会

    【講演等】
    ・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
    ・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)

    【主な著書・寄稿など】
    ・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
    ・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
    ・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
    ・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
    ・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数

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