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施行まで半年、医師の働き方改革は定着するのか-曖昧さが残る宿日直や自己研鑽、地域医療の確保でトレードオフが発生?今後の行方を展望する
![](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/56889_ext_01_0.jpeg?v=1508725548)
保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 三原 岳
医師の超過勤務削減を目指す「医師の働き方改革」が2024年4月に本格施行されるまで、残り半年となった。この改革では、医師の超過勤務を原則として年960時間(地域医療の確保や医師のスキル向上に必要な医療機関で働く医師は年1,860時間)に抑制することが求められており、現場の医療機関は医師の勤務時間削減にとどまらず、医師の健康確保措置や勤務環境の改善、診療体制の見直しなどが求められている。
しかし、宿泊を要する業務である「宿日直」の許可など、現場の準備状況に不安を感じさせる結果も示されている。さらに、医師が自らの技能向上などを図る「自己研鑽」などでは曖昧さが残されており、現場の医療機関にはルール作りと法の趣旨に沿った運用が求められる。
一方、本格施行に伴う「副反応」として、大学病院から地域の医療機関に派遣されている若手医師の引き揚げなどが懸念されるなど、地域医療の確保でトレードオフが起きる可能性があり、現場の制度運営を担う都道府県には「地域の実情」に沿った対応が期待される。
本稿では、医師の働き方改革の概要を取り上げるとともに、現場の準備状況、これから起こり得る「副反応」、現場の医療機関や都道府県に求められる対応など、医師の働き方改革の定着に向けた論点や課題を考察する。
■目次
1――はじめに~施行まで半年、医師の働き方改革は定着するのか~
2――医師の働き方改革とは何か
1|半年後に本格施行が迫った制度の概要
2|医療機関に求められている対応とは…
3|B水準、連携B水準、C水準に必要な対応は…
4|宿日直がポイントに?
5|自己研鑽、オンコールの取り扱いは不明確
3――現場の状況
1|厚生労働省の調査
2|不安を感じさせる?2つの調査結果
3|対応の遅れの原因は?
4――求められる現場の対応
1|医師の健康確保、長時間時勤務の解消
2|勤務時間削減に終わらせない対応が必要
5――診療体制の変更など「副反応」の可能性?
1|医師の引き揚げが起きる危険性
2|コストアップになる可能性も
3|患者にとってのアクセスや質が悪化する可能性
6――医師の働き方改革を巡るトレードオフ
7――求められる国、都道府県の対応
1|国による政策対応
2|問われる都道府県の主体的な対応
3|働き方改革の影響は中長期的に大きい?
8――おわりに
(2023年09月29日「基礎研レポート」)
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03-3512-1798
- プロフィール
【職歴】
1995年4月~ 時事通信社
2011年4月~ 東京財団研究員
2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
2023年7月から現職
【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
・日本ケアマネジメント学会
【講演等】
・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)
【主な著書・寄稿など】
・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数
三原 岳のレポート
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