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コロナ禍を受けた改正感染症法はどこまで機能するか-医療機関と都道府県による事前協定制度などの行方を考える

保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 三原 岳
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今年の臨時国会に提出されていた「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案」(以下、改正感染症法)が12月2日の参院本会議で、与党などの賛成多数で可決、成立した。改正感染症法では、新型コロナウイルスへの対応を巡って病床や発熱外来の確保などが課題になった反省に立ち、都道府県と事前に協定を締結した医療機関に対し、感染症への対応を義務付ける仕組みが新設された。
さらに、▽自治体や日本赤十字などが運営する公立・公的医療機関に対しては、感染症への対応を義務化、▽感染症が拡大した初期の段階で、医療機関が一般医療を制限した際の損失を補填する制度の創設、▽都道府県を中心に関係者が連携する協議会の法定化――なども規定された。
今後は医療機関と協定を結ぶ都道府県レベルでの対応が焦点となる。さらに、「提供体制の中心を占める民間医療機関と行政(国・都道府県)の関係」という点で見れば、今回の法改正は民間医療機関に対する行政の権限強化の一環とも受け止められる。
本稿では、改正感染症法の内容を概観するとともに、平時モードの医療提供体制改革との整合性などの論点を提示。その上で、平時と有事の双方を見通した都道府県の積極的な対応など今後の論点や方向性を考察する。
■目次
1――はじめに~コロナ禍を受けた改正感染症法はどこまで機能するか~
2――改正感染症法の主な内容
1|改正内容の概要
2|都道府県と医療機関の事前協定制度
3|流行初期には財政支援も
4|関係者の連携強化など、その他の規定
3――改正感染症法の実効性は?
1|民間医療機関の協定締結は任意だが…
2|問われる都道府県の対応
3|問われる国のバックアップ
4――民間中心の提供体制の部分的な軌道修正?
5――おわりに
(2022年12月27日「保険・年金フォーカス」)
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03-3512-1798
- プロフィール
【職歴】
1995年4月~ 時事通信社
2011年4月~ 東京財団研究員
2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
2023年7月から現職
【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
・日本ケアマネジメント学会
【講演等】
・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)
【主な著書・寄稿など】
・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数
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