2022年05月16日

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■要旨

2022年4月から新しい診療報酬体系がスタートした。医療サービスの対価として医療機関に支払われる診療報酬本体は2年に1回の頻度で見直されており、2022年度の改定に際しては、新興感染症への対応に加えて、症状が安定している患者については、医師の処方で一定期間内に処方箋を反復利用できるようにする「リフィル処方箋」、初診からのオンライン診療解禁などに関して、数多くの改定項目が盛り込まれた。

本レポートでは2回シリーズで、改定の狙いや背景、今後の展望などを考察する。(上)では診療報酬改定を巡る財務省、厚生労働省、日本医師会などの利害調整を振り返るとともに、2022年度改定の柱のうち、新興感染症への対応やリフィル処方箋、オンライン診療、不妊治療の保険適用などに関する内容や論点を概観する。

(下)では病床機能分化や在宅医療の充実などを目指す医療提供体制に関する改定項目を中心に、その意味合いや目的を考察し、今後の論点を考察する。

■目次

1――はじめに~2022年度診療報酬改定を読み解く~
2――診療報酬本体の改定率を巡る攻防
  1|三元連立方程式の複雑な調整に
  2|日医に厳しい改定率に?
3――個別改定の内容(1)~新興感染症への対応~
  1|改定の具体的な内容
  2|改定の意味合いと狙い
4――個別改定の内容(2)~オンライン診療~
  1|オンライン診療を巡る経緯
  2|改定の意味合いと狙い
5――個別改定の内容(3)~リフィル処方箋~
  1|改定内容の概要
  2|改定の意味合いと狙い
6――個別改定の内容(4)~不妊治療の保険適用~
7――個別改定の内容(5)~その他の重要改定項目~
  1|オンライン資格確認
  2|ヤングケアラーへの配慮
  3|医療的ケア児への支援
  4|両立支援
  5|看護師の給与引き上げ
8――おわりに
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保険研究部   上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

三原 岳 (みはら たかし)

研究・専門分野
医療・介護・福祉、政策過程論

経歴
  • プロフィール
    【職歴】
     1995年4月~ 時事通信社
     2011年4月~ 東京財団研究員
     2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
     2023年7月から現職

    【加入団体等】
    ・社会政策学会
    ・日本財政学会
    ・日本地方財政学会
    ・自治体学会
    ・日本ケアマネジメント学会

    【講演等】
    ・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
    ・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)

    【主な著書・寄稿など】
    ・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
    ・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
    ・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
    ・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
    ・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数

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レポート紹介

【2022年度診療報酬改定を読み解く(上)-新興感染症対応、リフィル処方箋、オンライン診療の初診緩和など】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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