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コロナ禍で成立した改正医療法で何が変わるか-医療計画制度の改正、外来医療機能の見直しを中心に

保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 三原 岳
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6月16日に閉会した2021年通常国会(第204国会)では、医療提供体制改革を目指す改正医療法が成立した。今回の改正では、医師の長時間勤務を制限する医師の「働き方改革」に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、医療計画に新興感染症への対応を位置付ける改正が盛り込まれた。さらに、医療提供体制改革を目指す「地域医療構想」を進める一環として、統廃合などで病床を削減した医療機関を財政支援する財政制度の恒久化とか、外来医療機能の明確化、医師の業務範囲を見直す「タスクシフト」など、かなり広範な内容が含まれている。さらに、医師の働き方改革や地域医療構想の推進などを通じて、医療や自治体行政の現場が影響を受ける可能性もあり、国会審議ではコロナ禍で医療提供体制を改革する是非が焦点となった。
本稿は改正内容のうち、(1)新興感染症への対応を医療計画に追加、(2)病床再編・削減を支援する予算措置の恒久化、(3)外来医療機能の明確化――という3つの点を中心に、改正内容や背景・経緯を簡単に説明する。その上で、別稿で触れた医師の働き方改革の影響も加味しつつ、医療機関の経営や地域医療の体制、都道府県の実務に及ぼす影響などを考察する。
■目次
1――はじめに~改正医療法で何が変わるか?~
2――改正医療法の概要
3――改正医療法の内容と影響(1)~新興感染症への対応を医療計画に追加~
1|改正の主な内容と経緯、背景
2|2024年度の次期医療計画への反映が必要に
3|既存の感染症法、予防計画との整合性が論点に
4――改正医療法の内容と影響(2)~病床再編・削減を支援する予算措置の恒久化~
1|改正の主な内容と経緯、背景
2|予算の本格的な執行はコロナ収束後?
5――改正医療法の内容と影響(3)~外来医療機能の明確化~
1|改正の主な内容と経緯、背景
2|外来医療計画との一体化
3|地域医療構想との一体化
4|かかりつけ医の曖昧さが焦点に
6――大きくなる都道府県の役割
1|病床数などを巡る地域差
2|医師の働き方改革による影響
3|リダンダンシーの確保を含めた有事への対応
4|平時における丁寧な合意形成、情報共有
5|トータルで医療提供体制を捉える重要性
7――おわりに
(2021年07月06日「基礎研レポート」)
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03-3512-1798
- プロフィール
【職歴】
1995年4月~ 時事通信社
2011年4月~ 東京財団研究員
2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
2023年7月から現職
【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
・日本ケアマネジメント学会
【講演等】
・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)
【主な著書・寄稿など】
・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数
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