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2020年度診療報酬改定を読み解く-医師の働き方改革や医療提供体制改革、オンライン診療を中心に

保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 三原 岳
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医療サービスの公定価格である診療報酬が2020年4月に改定された。診療報酬は概ね2年に一度、改定されており、今回も例年と同様、改定率を巡って政府と与党、関係団体による攻防が年末に繰り広げられた。さらに個別テーマに関して、中央社会保険医療協議会(中医協、厚生労働相の諮問機関)を中心に議論が展開され、医師の働き方改革や医療提供体制改革、オンライン診療などについて、関係団体による細かい利害調整が積み重ねられた。
本レポートでは、改定率を巡る攻防や関係団体の評価を概観した後、4月改定の新たなルールのうち、(1)医師の働き方改革、(2)医療提供体制改革、(3)オンライン診療の規制緩和――について改正内容を考察し、その背景や今後の論点、影響を考察するとともに、国民にとって分かりやすい議論の必要性を指摘する。中でも、オンライン診療に関しては、新型コロナウイルスの拡大防止策の一環で、対象を対面で診察した患者に限定する「初診対面原則」の撤廃が時限的に決まっており、こうした点も視野に入れつつ、論点や方向性を論じる。
ただし、ここでの考察の多くは年明け時点までの議論を前提としており、最近の新型コロナウイルス問題を必ずしも考慮できていない点は念頭に置いて頂きたい。
■目次
1――はじめに~診療報酬改定を読み解く~
2――新型コロナで様変わりした様子
3――診療報酬改定率を巡る攻防
4――診療報酬改定の重点項目
5――焦点となった医師の働き方改革
1|救急医療体制支援など改定の内容
2|地域医療介護総合確保基金での対応
3|規制と財政支援の双方で進める方向性が明確に?
6――医療提供体制改革(1)~急性期病床の見直し~
1|公益裁定となった改定内容と争点
2|地域医療構想との関係で見る改定内容
3|地域医療構想との不明確な関係が対立の遠因
7――医療提供体制改革(2)~かかりつけ機能など外来医療の見直し~
1|紹介状なしの上乗せ定額負担の対象拡大
2|かかりつけ医機能の強化と狙い
3|機能分化を果たす上で重要な「代理人」の存在
4|似たような言葉が林立している問題点
5|制度改正の方向性
8――オンライン診療の規制緩和
1|要件を部分的に緩和
2|新型コロナを受けて状況が一変
3|「初診対面原則」を原則とした一層の制度改正を
9――おわりに
(2020年04月24日「基礎研レポート」)
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03-3512-1798
- プロフィール
【職歴】
1995年4月~ 時事通信社
2011年4月~ 東京財団研究員
2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
2023年7月から現職
【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
・日本ケアマネジメント学会
【講演等】
・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)
【主な著書・寄稿など】
・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数
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