- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 社会保障制度 >
- 医療保険制度 >
- 医師偏在是正に向けた2つの計画はどこまで有効か(下)-外来機能で初の計画導入、開業規制との批判、問われる実効性
医師偏在是正に向けた2つの計画はどこまで有効か(下)-外来機能で初の計画導入、開業規制との批判、問われる実効性

保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 三原 岳
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
医師偏在の解消に向けて、都道府県による「医師確保計画」「外来医療計画」の策定が進んでいる。2つの計画を考察する2回シリーズのうち、(下)では外来医療計画を取り上げる。この計画はデータを通じて医師の偏在を巡る現状を可視化するとともに、民間医療機関など関係者との合意形成を図りつつ、外来機能の偏在是正を目指している。具体的には、医師が多い地域で開業を目指す医師に対し、在宅医療など不足している外来機能を担うように「自主的な行動変容」を促すとともに、MRIなど医療機器の共同利用を図ることも盛り込んでいる。
(下)では厚生労働省が各都道府県に示したガイドラインを基に、外来医療計画の基本的な考え方を考察する。その上で、外来機能や医療機器に関して計画行政が初めて採用された点に触れる。しかし、民間中心の提供体制の下、合意形成や自主的な対応を期待せざるを得ない点で、実効性が問われる可能性を論じる。
■目次
1――はじめに~外来医療計画はどこまで有効か~
2――外来医療計画とは何か
1|計画の目的
2|外来医療計画を理解する2つのキーワード
3|外来医療計画で想定されている施策
3――外来医師偏在指標に基づく外来医師多数区域の状況
4――医療機器の効率的な利用に向けた計画
5――外来医療計画のイメージ~東京都の素案~
6――外来医療計画の評価(1)~医師確保計画、地域医療構想との比較~
7――外来医療計画の評価(2)~医療行政の都道府県化との関係~
8――外来医療計画の評価(3)~医療機器に関して計画行政を採用した意義~
9――外来医療計画の限界~自由と統制のバランスをどう確保するか~
1|民間中心の提供体制における難しさ
2|日本医師会は開業規制ではないと繰り返し否定
3|新規参入者だけ規制するのは公正か?
10――おわりに
(2020年03月02日「基礎研レポート」)

03-3512-1798
- プロフィール
【職歴】
1995年4月~ 時事通信社
2011年4月~ 東京財団研究員
2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
2023年7月から現職
【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
・日本ケアマネジメント学会
【講演等】
・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)
【主な著書・寄稿など】
・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数
三原 岳のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/02/17 | 政策形成の「L」と「R」で高額療養費の見直しを再考する-意思決定過程を詳しく検討し、問題の真の原因を探る | 三原 岳 | 研究員の眼 |
2025/02/06 | 2025年度の社会保障予算を分析する-薬価改定と高額療養費見直しで費用抑制、医師偏在是正や認知症施策などで新規事業 | 三原 岳 | 基礎研レポート |
2025/01/17 | 分権から四半世紀、自治体は医療・介護の改正に対応できるか-財政難、人材不足で漂う疲弊感、人口減に伴う機能低下にも懸念 | 三原 岳 | 研究員の眼 |
2024/12/24 | 「地域ケア会議」はどこまで機能しているのか-多職種連携の促進に効果も、運用のマンネリ化などに懸念 | 三原 岳 | 保険・年金フォーカス |
新着記事
-
2025年03月14日
噴火による降灰への対策-雪とはまた違う対応 -
2025年03月14日
ロシアの物価状況(25年2月)-前年比で上昇が続き10%超に -
2025年03月14日
株式インデックス投資において割高・割安は気にするべきか-長期投資における判断基準について考える -
2025年03月13日
インド消費者物価(25年2月)~2月のCPI上昇率は半年ぶりの4%割れ -
2025年03月13日
行き先を探す“核の荷物”~高レベル放射性廃棄物の最終処分とエネルギー政策~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【医師偏在是正に向けた2つの計画はどこまで有効か(下)-外来機能で初の計画導入、開業規制との批判、問われる実効性】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
医師偏在是正に向けた2つの計画はどこまで有効か(下)-外来機能で初の計画導入、開業規制との批判、問われる実効性のレポート Topへ