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2025年10月31日

2025年7-9月期の実質GDP~前期比▲0.7%(年率▲2.7%)を予測~

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■要旨
 
  1. 11/17に内閣府から公表される2025年7-9月期の実質GDPは、前期比▲0.7%(前期比年率▲2.7%)と6四半期ぶりのマイナス成長になったと推計される。
     
  2. 民間消費、設備投資が小幅な増加にとどまる中、輸出と住宅投資が大きく落ち込んだことがマイナス成長の主因である。輸出は4-6月期にはトランプ関税下でも増加したが、7-9月期は米国向けを中心に落ち込んだ。住宅投資は、建築物省エネ法・建築基準法改正前の駆け込み需要の反動で大幅に減少した。
     
  3. 名目GDPは前期比▲0.3%(前期比年率▲1.4%)と6四半期ぶりの減少となるが、実質の伸びは上回るだろう。GDPデフレーターは前期比0.3%、前年比2.8%と予測する。
     
  4. マイナス成長の主因となった輸出、住宅投資のうち、住宅投資の先行指標の住宅着工戸数は2025年5月を底に持ち直している。GDP統計の住宅投資は工事の進捗ベースで計上され、着工戸数の動きが遅れて反映されるため、10-12月期には持ち直すことが見込まれる。輸出はトランプ関税が引き続き下押し圧力となるが、9月に自動車の関税率が引き下げられたことから悪影響は若干緩和されるだろう。
     
  5. 現時点では、輸出の減少ペースが緩やかとなる中、民間消費、住宅投資、設備投資が増加することから、10-12月期の実質GDPは前期比年率0%台前半の小幅なプラス成長になると予想しているが、輸出を中心に下振れリスクは高い。

 
実質GDP成長率の推移
■目次

● 7-9月期は年率▲2.7%のマイナス成長を予測
● 主な需要項目の動向
  ・民間消費~物価高の影響緩和で緩やかな増加~
  ・住宅投資~駆け込み需要の反動で急減~
  ・民間設備投資~高水準の企業収益を背景に底堅さを維持~
  ・公的固定資本形成~横ばい圏で推移~
  ・外需~トランプ関税の影響が顕在化~

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年10月31日「Weekly エコノミスト・レター」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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