2023年02月02日

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6――社会保障関係予算の概要(3)~その他の論点~

1|医療・介護保険改革の影響
このほかの論点として、2022年度末までに厚生労働省の審議会で議論されていた医療保険、介護保険の制度改革の影響は概ね2024年度以降に持ち越す形となった。

このうち、医療保険制度改革に関しては、▽出産育児一時金を50万円に引き上げ、▽75歳以上の後期高齢者に課している保険料の上限引き上げ、▽65~74歳までの前期高齢者に関する財政調整の見直し、▽負担が増える健康保険組合に対する財政支援の拡充――などが決まっており、2023年通常国会に関連法案が提出される予定となっている。

しかし、出産育児一時金の引き上げを除き、2024年度施行が想定されており、2023年度予算編成への影響は軽微にとどまった。

3年に一度の介護保険制度改革に関しても、(1)軽度者向け給付の見直し、(2)相談支援などを実施するケアマネジメントの有料化、(3)2~3割負担の対象者拡大――などが争点になっていたが、(1)(2)については、2027年度に実施される次の次の制度改正に向けた論議に先送りされた。(3)に関しても、2023年夏頃までに結論を出すとしている9

以上の内容を踏まえると、出産育児一時金の引き上げに要する予算(76億円)が暫定的に確保された程度で、医療・介護保険制度改革が2023年度予算案に及ぼす影響は小さくなった。
 
9 次期介護保険制度改正の動向については、2023年1月12日拙稿「次期介護保険制度改正に向けた審議会意見を読み解く」を参照。
2|自治体向け基金、交付金の見直し
それ以外では、医療・介護に関する自治体向け財政制度である「地域医療介護総合確保基金」の一部が削減された。これは引き上げられた消費税の一部を財源とし、国と都道府県が必要経費を分担する形で、自治体の病院再編や介護基盤整備に充当できる制度。大別すると、医療分と介護分に分かれており、その使途としては、(I)医療機関の再編、病床数変更、(II)在宅医療の充実、(III)介護施設の基盤整備、(IV)医療従事者の確保、(V)介護従事者の確保、(VI)医師の働き方改革の推進――に分かれている。

しかし、介護施設の基盤整備に関する残高が未執行として積み上がっているとして、2023年度当初予算案では介護分が国費ベースで412億円から352億円に削減された(医療分の国費は対前年度当初と同じ751億円)。

さらに、国民健康保険や介護保険に関する自治体の取り組みを採点し、その点数に応じて予算を増減させる交付金の見直しも講じられた。このうち、前者は国民健康保険の「保険者努力支援制度」という制度であり、自治体の健康づくりや医療費適正化に関する取り組みを評価している。

しかし、予算の効率性などを調べる財務省の「予算執行調査」で、「医療適正化効果の乏しい、被保険者の健康の保持増進に偏重した事業内容になっている」と指摘されたことで、健康づくりの実施状況に応じて支払われる「事業費連動分」という枠については、予算額が500億円から300億円に減額された。

さらに介護保険についても、同様の仕組みとして、「保険者機能強化推進交付金」「保険者努力支援制度」という2つの仕組みが設けられており、2022年度予算では200億円ずつが計上されていたが、財務省は予算執行調査で、給付抑制に繋がっていないとして見直しを要望していた。これを受け、予算規模が計350億円にカットされた。

以上の内容を踏まえると、社会保障関係予算では薬価改定で少し攻防が見られたものの、例年と比べて「小粒」となった印象だった。

では、2024年度予算編成も含めて、これからどんな論点が予想されるのだろうか。以下、(1)子育て関係予算の充実、(2)2024年度に控えた医療・介護の同時改定、(3)審議会をバイパスする動き――という3つで今後の展望を試みる10
 
10 ここでは詳しく触れないが、5年に一度の年金再計算も予定されている。

7――社会保障予算の今後の論点と展望(1)

7――社会保障予算の今後の論点と展望(1)~子育て関係予算の充実~

まず、子育て関係予算に関しては、岸田首相が増額や充実に向けて思い切った発言を繰り返しており、その内容と財源確保が論点となりそうだ。ここで首相の発言を少し振り返ると、元々は2021年9月の自民党総裁選で、「子どもを含む家族を支援する政府予算の倍増」に賛意を示していた11が、2022年12月の会合で、次の骨太方針に向けて、「こども予算の倍増を目指していくための当面の道筋を示してまいります」と言明した12

その後、2023年1月の年頭記者会見では、(1)児童手当を中心に経済的支援の強化、(2)学童保育や病児保育を含め、幼児教育や保育サービスの強化、伴走型支援や産後ケア、一時預かりなど全ての子育て家庭を対象としたサービスの拡充、(3)働き方改革の推進、育児休業制度の強化――などを例示しつつ、「異次元の少子化対策」に挑戦する考えを示した13

しかし、「予算倍増」「異次元」という思い切った表現にもかかわらず、内容は詰まっておらず、財源確保のメドも立っていない。このうち、内容に関して、岸田首相は小倉将信こども政策担当相に対し、検討を急ぐように指示。これを受けて、担当省庁幹部や有識者、子育て当事者など関係者の意見を聞く検討組織が発足し、3月末を目途に叩き台を作成する見通しとなっている。

一方、財源についてもメドが立っていないが、与党内では増税に否定的な意見が多い。さらに、先に触れた通り、防衛関係費の財源確保も実質的に先送りされており、骨太方針の策定過程では、増税の是非も含めて政府・与党内の調整が難航しそうだ。
 
11 2021年9月23日『朝日新聞デジタル』配信記事を参照。
12 2022年12月16日、全世代型社会保障構築本部・全世代型社会保障構築会議における発言。議事録を参照。
13 2023年1月4日、首相官邸ウエブサイト「岸田内閣総理大臣年頭記者会見」を参照。

8――社会保障予算の今後の論点と展望(2)

8――社会保障予算の今後の論点と展望(2)~2024年度に控えた医療・介護同時改正~

1|医療関係の制度改正
次に、2024年度に控えた医療・介護同時改定を論じる。2024年度は2年に一度の診療報酬改定と、3年サイクルの介護報酬改定が重なる予定であり、都道府県が6年周期で策定している「医療計画」、市町村が3年サイクルで改定する「介護保険事業計画」の改定も控えている。

このうち、医療では病床削減や在宅医療の充実などを目指す「地域医療構想」を中心とする提供体制改革が論点になると見られる14。地域医療構想では、人口的にボリュームが大きい「団塊世代」が75歳以上になる2025年をターゲットにしつつ、急性期病床の削減や在宅医療の充実などが目指されており、各地域での議論は2017年度から本格的にスタートしたが、新型コロナウイルスへの影響で2020年以降、ストップした。

その後、厚生労働省は2022年3月、都道府県に対して地域医療構想の議論を再起動するように要請したが、目標年次の2025年まで残り2年となっており、社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)医療部会が2022年12月に示した意見書では、「2040年頃までを視野に入れてバージョンアップを行う必要がある」という考えが示されている。このため、2025年の後を見据えた「ポスト地域医療構想」が模索されることになりそうだ。

一方、病床再編について、地域に目を向けると、▽岩見沢市立病院と北海道中央労災病院の統合(北海道)、▽青森県立中央病院と青森市民病院の統合(青森県)、▽広島県立広島病院、中電病院などの統合(広島県)――といった形で、新型コロナウイルス禍でも一部の地域で動きが本格化している。これまでの診療報酬改定に関する流れ15を踏まえても、2024年度改定でも地域医療構想に関する急性期病床の削減や医療機関の連携強化、在宅医療の充実などは引き続き論点になる可能性が高い。

さらに、身近な病気やケガに対応する「かかりつけ医」の機能強化に向けた制度設計も焦点となりそうだ。この関係では、かかりつけ医の役割や機能が曖昧なため、財務省などが定義の法定化とか、患者が事前にかかる医療機関を指名する「登録制」の導入などを提唱。これに対し、日本医師会が反対し、大きな論点となった16

結局、先に触れた医療部会意見書では、(1)かかりつけ医機能の定義の法定化、(2)医療機関が果たしている役割を公表する「医療機能情報提供制度」の見直し、(3)在宅医療など医療機関が担っている機能などを都道府県に報告させる「かかりつけ医機能報告制度」の創設、(4)継続的な医学管理を要する患者が希望する場合、かかりつけの関係を示す書面を発行する仕組みの創設――などの内容が盛り込まれた。

しかし、(2)~(4)については詳細が決まっておらず、2024年度診療報酬改定での対応を含め、今後の論点となりそうだ。

今後、大きな論点になるのは医師の働き方改革かもしれない17。この制度改正では、医師の超過勤務を原則として年960時間、地域医療の確保や医師の研修で止むを得ないケースに関しては年1,860時間に抑える方針が決まっている。これを受けて、医療機関は超過勤務の解消や時短計画の作成、健康確保措置の実施などが義務付けられる。さらに、事務執行を現場で担うのは都道府県であり、特例を受ける医療機関の指定とか、健康確保措置の評価などの役割を担っている。

しかし、大学病院が地域に派遣している若手医師を引き揚げる事態が懸念されており、「地域医療の確保」「医師の健康確保」という二律背反のバランスが問われている。既に施行まで2年を切っており、国・自治体、医療機関の準備が問われる。

新興感染症対策についても、新たな仕組みがスタートする18。具体的には、感染症の拡大に備えるため、患者の受け入れなどに関して、都道府県と医療機関が事前に協定を結ぶ仕組み(医療措置協定)であり、医療計画に新興感染症を位置付ける制度改正も施行される。このため、都道府県には平時医療と有事対応の両面を意識した見直し論議を進めることが期待される。
 
14 地域医療構想は2017年3月までに各都道府県が策定した。人口的にボリュームが大きい団塊世代が75歳以上になる2025年の医療需要を病床数で推計。その際には医療機関の機能について、救急患者を受け入れる「高度急性期」「急性期」、リハビリテーションなどを提供する「回復期」、長期療養の場である「慢性期」に区分し、それぞれの病床区分について、2次医療圏ごとに病床数を将来推計した。さらに、自らが担っている病床機能を報告させる「病床機能報告」で明らかになる現状の対比を通じて、需給ギャップを明らかにした。その上で、医療機関の経営者などを交えた「地域医療構想調整会議」の議論を経て、合意形成と自主的な対応による見直しが想定されている。地域医療構想の概要や論点、経緯については、2017年11~12月の「地域医療構想を3つのキーワードで読み解く(1)」(全4回、リンク先は第1回)、2019年5~6月の拙稿「策定から2年が過ぎた地域医療構想の現状を考える」(全2回、リンク先は第1回)、2019年10月31日「公立病院の具体名公表で医療提供体制改革は進むのか」を参照。併せて、三原岳(2020)『地域医療は再生するか』医薬経済社も参照。
15 過去の診療報酬改定の論点については、2022年5月拙稿「2022年度診療報酬改定を読み解く」(2回シリーズ、リンク先は第1回)、2020年4月24日拙稿「2020年度診療報酬改定を読み解く」、2018年5月拙稿「2018年度診療報酬改定を読み解く」(2回シリーズ、リンク先は第1回)を参照。
16 かかりつけ医が注目された背景などについては、2021年8月16日拙稿「医療制度論議における『かかりつけ医』の意味を問い直す」を参照。
17 医師の働き方改革に関しては、2021年6月22日拙稿「医師の働き方改革は医療制度にどんな影響を与えるか」を参照。
18 医療措置協定を含む新興感染症対策については、2022年12月27日拙稿「コロナ禍を受けた改正感染症法はどこまで機能するか」、2021年7月6日拙稿「コロナ禍で成立した改正医療法で何が変わるか」を参照。
2|介護関係の制度改正
介護に関しては、3年に一度の制度改正のうち、2割負担の対象者拡大など一部の案件が先送りされており、骨太方針で論点になる可能性がある。さらに、介護報酬改定の議論も本格化する見通しだ。過去の議論19を踏まえると、医療提供体制改革と整合性を合わせるような形で、医療・介護連携の強化がポイントとなりそうだ。

併せて、近年の改定では介護予防の強化が論点となっており、その傾向も続くと見られる。データを用いた介護を目指す「科学的介護」20に関してもテコ入れ策が議論になる可能性が高い。
 
19 過去の介護報酬改定の論点に関しては、2021年5月14日拙稿「2021年度介護報酬改定を読み解く」、2018年5月14日「2018年度介護報酬改定を読み解く」を参照。
20 科学的介護については、2021年9月15日拙稿「科学的介護を巡る『モヤモヤ』の原因を探る」、2019年6月25日拙稿「介護の『科学化』はどこまで可能か」を参照。科学的介護に関する加算に関しては、2021年5月14日拙稿「2021年度介護報酬改定を読み解く」を参照。

9――社会保障予算の今後の論点と展望(3)

9――社会保障予算の今後の論点と展望(3)~バイパスされる審議会~

診療報酬・介護報酬の同時改定を含めて、今後の制度改正に通じる視座として、厚生労働省の審議会をバイパスする動きが強まりつつある傾向が強まっている。

先に触れた通り、マイナ保険証の診療報酬改定に関しては、大臣合意で大枠が先に決まり、中医協に諮問された。しかも、基本的な方針が決まった後、中医協の議論は実質的に2日間だけであり、これは日本医師会など診療側、健康保険組合連合会など支払側のコンセンサスを重視して来た従来の医療政策の決定過程とは趣を異にしていた。

実際、中医協会長の小塩隆士氏(一橋大学経済研究所教授)が「審議頂く時間が非常に限定的となった」「議論が必要な場合は十分に検討・討議できることが本来の中医協の姿」などと苦言を呈する一幕があった21ほか、支払側からも「このタイミングで突然診療報酬上の加算について議論することは全くの想定外だ。中医協としては時間をかけて丁寧に議論するべきだ」との声が出た22

しかも、こうした傾向は今回に限らず、最近の制度改正に共通した特徴と言える。例えば、2022年度診療報酬改定では、医療機関向けの本体改定率を巡り、財務省と日本医師会が対立。プラス改定の見返りのような形で、財務相と厚生労働相が医療提供体制改革について大臣合意を交わし、一部で思い切った点数が付いた23。つまり、大臣合意が中医協の議論の「外堀」を埋めるような形になったわけだ。

同様の傾向については、別の医療関係の制度改正でも起きている。ここでは詳述を避けるが、オンライン診療の関係では新型コロナウイルスへの特例が政治主導で恒久化された24ほか、外来機能に関する医療機関の役割分担を明確にする見直し論議でも、首相官邸に設置されていた「全世代型社会保障検討会議」での議論を通じて、「外来受診重点医療機関」という新たな制度が生まれることになり、既存制度との重複が問題視されている25。このため、日医からも「最近は所管外の政府の組織から診療報酬の細部まで踏み込んだ提案が常態化している」という不満が示されている26

しかし、各省の審議会レベルでの積み上げよりも、首相指示や政治主導で政策が決まる流れは不可逆的な要素を持っている面もある。振り返ると、1990年代以降の統治機構改革では、首相を議長とする経済財政諮問会議の新設など、政治主導(特に首相官邸による主導)によるスピーディーな意思決定を可能とする見直しが一貫して実施されてきた経緯がある。こうした統治機構改革の影響がコンセンサスを重視して来た医療政策にも及んできていると言える。

2024年度予算編成では、2年に一度の診療報酬改定と、3年サイクルの介護報酬改定が重なる予定だが、大臣合意を通じて、審議会における議論や利害調整の「外堀」を埋めるような傾向が継続するかどうか注目する必要がある。
 
21 2022年12月23日『m3.com』配信記事を参照。
22 2022年12月22日『m3.com』配信記事を参照。健康保険組合連合会理事の松本真人氏の発言。
23 大臣合意が診療報酬改定に影響した点については、2022年5月27日拙稿「2022年度診療報酬改定を読み解く(下)」を参照。なお、この時の大臣合意が中医協の議論に向けて、財務省が厚生労働省から取った「言質」になる可能性については、2022年1月17日拙稿「2022年度社会保障予算を分析する」で予想していたが、筆者の想定を上回る展開となった。
24 オンライン診療に関しては、初診を対面で診察した「初診対面原則」が採用されていたが、新型コロナウイルス対策の特例として、2020年4月から時限的に撤廃された。その後、2022年度から特例が恒久化された。この過程では、一貫して政治主導で意思決定が進んだ。詳細については、2021年12月18日拙稿「オンライン診療の特例恒久化に向けた動向と論点」、2020年6月5日拙稿「オンライン診療を巡る議論を問い直す」を参照。初診対面原則を撤廃した後の診療報酬については、2022年5月16日拙稿「2022年度診療報酬改定を読み解く(上)」を参照。
25 この関係では、医療機関同士の役割分担を明確にするため、紹介状を持たずに大病院を受診した患者から追加負担を取る仕組みが2016年度診療報酬改定でスタートし、その後は追加負担を徴収する「大病院」の対象が少しずつ拡大されていた。しかし、全世代型社会保障検討会議が追加負担の対象病院を一層、拡大するように要請し、最終的に紹介患者を重点的に受け入れる「紹介受診重点医療機関」を地域で選定する仕組みがスタートすることになった。しかし、「地域医療支援病院」という制度も同様の役割を担っており、厚生労働省の審議会では機能の重複が問題視されている。外来機能分化に関しては、2022年10月25日拙稿「紹介状なし大病院受診追加負担の狙いと今後の論点を考える」を参照。
26 2022年3月27日に開催された日医の代議員会における中川俊男会長の発言。同日配信の『m3.com』配信記事を参照。

10――おわりに

10――おわりに~社会保障・税の一体的な議論は不可欠~

異次元の少子化対策に挑戦し、若い世代からようやく政府が本気になったと思っていただける構造を実現するべく、(筆者注:こども家庭庁を中心に)大胆に検討を進めてもらいます――。今年の年頭記者会見で、岸田首相は子育て関係予算の充実に向けて、前向きな姿勢を示した26。この発言に代表される通り、自民党が政権復帰した後の政策決定過程では、事前に内容が議論されないまま、国民の目を惹くような「首相指示」が先行し、各省が後追い的に内容を詰める傾向が強まっている。

しかし、今回の焦点となった防衛関係費にしても、本稿で取り上げた社会保障関係費にしても、施策には財政負担が付き物である。さらに本来的に言うと、国民に負担を求める際には、施策の費用対効果や効果・効率性などを十分に検討する必要もあるが、最近の政策決定過程では、これらの点が疎かになっている印象を受ける。

しかも、歳入の約3割を赤字国債で賄っている状況を踏まえると、財政の健全化という視点は欠かせないし、今回は全く触れなかったが、2024年度予算編成では「2025年度に国・地方の基礎的財政収支(プライマリー・バランス)を黒字にする」という目標との整合性も問われる。

その際には、規模の大きい社会保障予算の取り扱いは論点になるし、焦点になっている子育て関係予算だけでなく、所得再分配の強化や働き方に中立的な税制・社会保障制度などの課題も積み残されている。2024年度は医療・介護について様々な制度改正を控えているが、中長期的な視点に立った社会保障・税制改革の一体的な議論が求められる。
 
26 2023年1月4日、首相官邸ウエブサイト「岸田内閣総理大臣年頭記者会見」を参照。
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保険研究部   上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

三原 岳 (みはら たかし)

研究・専門分野
医療・介護・福祉、政策過程論

経歴
  • プロフィール
    【職歴】
     1995年4月~ 時事通信社
     2011年4月~ 東京財団研究員
     2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
     2023年7月から現職

    【加入団体等】
    ・社会政策学会
    ・日本財政学会
    ・日本地方財政学会
    ・自治体学会
    ・日本ケアマネジメント学会

    【講演等】
    ・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
    ・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)

    【主な著書・寄稿など】
    ・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
    ・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
    ・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
    ・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
    ・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数

(2023年02月02日「基礎研レポート」)

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