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紹介状なし大病院受診追加負担の狙いと今後の論点を考える-10月から引き上げ、医療機能分化に向けて新制度も開始

保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 三原 岳
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中小病院や診療所で紹介状をもらわずに「大病院」を受診した場合、患者に課される追加負担が10月から7,000円に引き上げられた(9月までは5,000円)。この制度は2016年度以降、段階的に見直されてきた経緯があり、医療機関の役割分担明確化などの提供体制改革と密接に関連している。
しかし、どちらかと言うと、同時期に実施された後期高齢者医療の患者負担増に関心が集まり、この制度改正の内容や狙いがメディアで十分に取り上げられたとは言えない。
そこで、今回は「紹介状なし大病院受診の追加負担」について、その目的や経緯、論点を考える。併せて、身近な病気やケガに対応する「かかりつけ医」機能の「制度化」論議が年末に向けた争点になると見られており、この点との関係性も踏まえつつ、今後の方向性を論じる。
■目次
1――はじめに~紹介状なし大病院受診追加負担の狙いと論点を考える~
2――紹介状なし大病院受診の追加負担に関する過去の経緯
1|2016年度改定以降、「大病院」の定義を拡大
2|「紹介受診重点医療機関」の創設
3――紹介状なし大病院受診追加負担の背景
1|医療機関の役割分担明確化
2|地域医療構想など関連施策
4――かかりつけ医機能の「制度化」の論点
1|追加負担は単なる「罰金」?
2|かかりつけ医機能の「制度化」を巡る攻防
5――紹介状なし大病院受診追加負担額の一層の引き上げの可能性
6――おわりに
(2022年10月25日「保険・年金フォーカス」)
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03-3512-1798
- プロフィール
【職歴】
1995年4月~ 時事通信社
2011年4月~ 東京財団研究員
2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
2023年7月から現職
【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
・日本ケアマネジメント学会
【講演等】
・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)
【主な著書・寄稿など】
・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数
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