2023年10月24日

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3――前編のむすび

本稿の目的は、2021年拙稿などで述べてきた働き方・オフィス戦略の在り方に関わる筆者の主張に合致する数少ない日本企業の先進事例として、GMOインターネットグループを取り上げ紹介するとともに、その事例考察などから得られるインプリケーションを示すことであった。

前編の本稿では、筆者の考え方を踏まえながら、同社グループがコロナ禍で打ち出してきた一連の主要な施策・対応について、同社プレスリリース資料や各種メディア記事などの公開資料を基に考察することで、働き方・オフィス戦略を含めた企業経営における環境変化への迅速な適応力や柔軟性の重要性を学んだ。

後編の次稿では、筆者が2021年拙稿にて提唱した「2つの原理原則(重要性)」の1つである「メインオフィスの重要性」の視点を中心に、GMOインターネットグループに関わる事例考察を前編に続いて行うとともに、本稿で行った事例考察などから得られるインプリケーションを示したい。

<参考文献>
(※弊社媒体の筆者の論考は、弊社ホームページの筆者ページ「百嶋 徹のレポート」を参照されたい)
  • ITmedia 2022年2月1日(提供:デル・テクノロジーズ)「オフィスは手放すべき? GMO熊谷代表が解説する『テレワークとの付き合い方』」
  • i4U 2022年5月30日「GMOインターネット・熊谷正寿流『ハイブリッド出勤』のススメ」
  • 一井純「居抜きに間借り、コロナで変わるオフィス賃貸─オフィスのあり方を再考する契機に」東洋経済新報社『東洋経済ONLINE』2020年5月12日
  • 熊谷正寿「4000人を在宅勤務にした判断について」『クマガイコムⓇ』2020年1月29日
  • 同「GMO代表『最速で在宅勤務を始めても、オフィス縮小は急がない理由』」プレジデント2020年8月14日号
  • 同「#職域接種 #ワクチン3回目 #新型コロナワクチン」『ツイッター(現X)』2022年2月18日
  • GMOインターネットグループPRESS RELEASE 2020年1月26日「新型コロナウイルスの感染拡大に備え在宅勤務体制へ移行」
  • 同2020年2月7日「新型コロナウイルス感染流行の長期化に備えた体制へ移行 在宅勤務の継続と、オフィス出社時の感染予防対策を拡充」
  • 同2020年2月12日「新型コロナウイルス(COVID-19)感染症に関する特設サイトを公開」
  • 同2020年2月28日「在宅勤務に関するアンケートを実施」
  • 同2020年3月13日「新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、在宅勤務の対象を拡大」
  • 同2020年3月16日「在宅勤務体制開始から1ヵ月経過 長期化する在宅勤務の課題についてアンケート第2弾を実施」
  • 同2020年4月10日「在宅勤務で浮いたオフィス経費を全パートナーに還元」
  • 同2020年5月25日「withコロナ時代における『新しいビジネス様式 byGMO』へ移行」
  • 同2020年7月14日「新型コロナウイルスの感染防止のため出社許可制(原則在宅勤務)へ体制移行」
  • 同2021年6月21日「GMOインターネットグループ、新型コロナウイルスワクチンの職域接種をスタート 5日間で約8割(3,819名)のパートナーが接種」
  • 同2022年1月21日「GMOインターネットグループ、職域接種による新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を2月下旬より実施」
  • 同2022年9月20日「GMOインターネットグループが『新型コロナウイルス感染対策緩和宣言』第一弾の取組として、社内でのマスク着用は任意に」
  • 同2023年1月4日「GMOインターネットグループ、『マスク着用の実態調査』を実施」
  • 同2023年2月6日「GMOインターネットグループ、新型コロナウイルス感染対策を完全撤廃」
  • 同2023年2月22日「GMOインターネットグループ、新型コロナ対策完全撤廃に伴い週2日在宅勤務推奨を廃止」
  • 同2023年5月11日「GMOインターネットグループ、新型コロナ5類移行に伴い感染症対策をすべて撤廃」
  • GMOインターネットグループホームページ「GMOインターネットグループの対応:2020年1月16日(木)災害対策本部より全パートナーに向けて注意喚起メールを配信」『新型コロナウイルスに関するグループの取り組みと関連リンク集』
  • 同 特設サイト『新型コロナウイルスに関するグループの取り組みと関連リンク集』
  • 同『印鑑の完全廃止に関するグループの取り組みと関連リンク集』
  • 東急不動産ホールディングス2020 統合報告書
  • 日経産業新聞2022年1月5日「週2在宅勤務で『未来家賃』抑制 GMO熊谷社長に聞く」
  • 百嶋徹「CSR(企業の社会的責任)再考」『ニッセイ基礎研REPORT』2009年12月号
  • 同「震災復興で問われるCSR(企業の社会的責任)」ニッセイ基礎研究所『研究員の眼』2011年5月13日
  • 同「イノベーション促進のためのオフィス戦略」ニッセイ基礎研究所『ニッセイ基礎研REPORT』2011年8月号
  • 同「アップルの成長神話は終焉したのか」ニッセイ基礎研究所『基礎研レポート』2013年10月24日
  • 同「最近の企業不祥事を考える」ニッセイ基礎研究所『研究員の眼』2015年12月28日
  • 同「社会的ミッション起点のCSR経営のすすめ」ニッセイ基礎研究所『基礎研レポート』2019年3月25日
  • 同「<新時代の住宅・不動産Vol.3:オフィス戦略>今、企業に求められるサテライトオフィス活用~新型コロナウイルスがもたらすワークプレイス変革」日本経済新聞朝刊2020年6月30日
  • 同「コロナ後を見据えた企業経営の在り方」ニッセイ基礎研究所『基礎研レポート』2020年8月28日
  • 同「特別レポート:コロナ後を見据えた企業経営の在り方」日本生命保険相互会社(協力:ニッセイ基礎研究所)『ニッセイ景況アンケート調査結果-2020年度調査』2020年12月8日
  • 同「アフターコロナを見据えた働き方とオフィス戦略の在り方(前編)」ニッセイ基礎研究所『基礎研レポート』2021年3月30日
  • 同「アフターコロナを見据えた働き方とオフィス戦略の在り方」ニッセイ基礎研究所『ニッセイ基礎研REPORT』2021年6月号
  • 同「アフターコロナを見据えた働き方とオフィス戦略の在り方」ニッセイ基礎研究所『ニッセイ基礎研所報』Vol.65(2021年7月)
  • 同「コロナ後のオフィス アマゾン、グーグルが増床計画 引き出したい従業員の創造性」毎日新聞出版『週刊エコノミスト』2021年8月31日号
  • 同「コロナ後を見据えた企業経営の在り方」第一法規『会社法務A2Z』2021年12月号
  • 同「アフターコロナを見据えた企業経営のあり方」商工中金経済研究所『商工ジャーナル』2022 年No.562(2022年1月号)
  • 同「第10章・第1節ニューノーマル時代における研究所などオフィス戦略の在り方」『研究開発部門の新しい“働き方改革”の進め方』技術情報協会2022年3月
  • 同「組織スラック型経営vsリーン型偏重経営(1)─自動車産業など製造業でのBCP視点」ニッセイ基礎研究所『研究員の眼』2022年6月30日
  • 同「行きたくなるオフィスとは何か?」ニッセイ基礎研究所『ニッセイ基礎研REPORT』2023年2月号
  • 同「行きたくなるオフィス再考」ニッセイ基礎研究所『基礎研レポート』2023年3月30日
  • 同「行きたくなるオフィス再考」ニッセイ基礎研究所『ニッセイ基礎研所報』Vol.67(2023年7月)
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社会研究部   上席研究員

百嶋 徹 (ひゃくしま とおる)

研究・専門分野
企業経営、産業競争力、産業政策、イノベーション、企業不動産(CRE)、オフィス戦略、AI・IOT・自動運転、スマートシティ、CSR・ESG経営

経歴
  • 【職歴】
     1985年 株式会社野村総合研究所入社
     1995年 野村アセットマネジメント株式会社出向
     1998年 ニッセイ基礎研究所入社 産業調査部
     2001年 社会研究部門
     2013年7月より現職
     ・明治大学経営学部 特別招聘教授(2014年度~2016年度)
     
    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員
     ・(財)産業研究所・企業経営研究会委員(2007年)
     ・麗澤大学企業倫理研究センター・企業不動産研究会委員(2007年)
     ・国土交通省・合理的なCRE戦略の推進に関する研究会(CRE研究会) ワーキンググループ委員(2007年)
     ・公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会CREマネジメント研究部会委員(2013年~)

    【受賞】
     ・日経金融新聞(現・日経ヴェリタス)及びInstitutional Investor誌 アナリストランキング 素材産業部門 第1位
      (1994年発表)
     ・第1回 日本ファシリティマネジメント大賞 奨励賞受賞(単行本『CRE(企業不動産)戦略と企業経営』)

(2023年10月24日「基礎研レポート」)

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【コロナ後の働き方とオフィス戦略の再考(前編)-日本の先進企業、GMOインターネットグループに学ぶ】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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