2024年09月25日

改正ベトナム保険事業法(12)-設立と運営免許(その3)

保険研究部 専務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長 松澤 登

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■要旨

本稿は2023年1月施行のベトナム保険事業法の解説の12回目である。主な内容は変更認可事項・届出事項、および駐在員事務所である。
 
ベトナムにおいて、会社設置後に社名や定款資本等を変更する場合等は財務大臣の認可を得る必要がある。日本でも社名変更や資本を減少させる場合などには内閣総理大臣の認可を得る必要があるのと同じである。ただし、認可を得る必要のある事項は日本とベトナムで若干異なり、たとえばベトナムでは役員人事は認可制である(日本は届出制)。
 
ベトナムでの届出事項としては、運営定款(operational charter)の変更や支店等の開設などがある。日本では届出事項を定める保険業法127条、およびその付属規定である施行規則85条は合計44の届出事項を規定している。ベトナムでは届出事項は法律上4つにまとまっているが、政府がその詳細を定めることとなっているので、結果的には多数の届出事項が定められているものと思われる。
 
ベトナムにおいて駐在員事務所の設置は認可事項となっている(日本は届出制)。認可の前提条件もいくつか定められており、また設置に関する規則を政府が定めることとなっている。日本よりも厳重な規制となっている。

■目次

1――はじめに
2――その変更に認可を要する事項と届出事項(74条)
  1|認可を要する変更事項(74条1項・2項)
  2|届出事項(74条3項・4項)
3――駐在員事務所(76条・77条)
  1|ベトナム駐在員事務所(76条)
  2|駐在員事務所の設置等(77条)
4――おわりに

(2024年09月25日「保険・年金フォーカス」)

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保険研究部   専務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長

松澤 登 (まつざわ のぼる)

研究・専門分野
保険業法・保険法|企業法務

経歴
  • 【職歴】
     1985年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
     2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
     2018年4月 取締役保険研究部研究理事
     2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
     2024年4月より現職

    【加入団体等】
     東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
     東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
     大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
     金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
     日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等

    【著書】
     『はじめて学ぶ少額短期保険』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2024年02月

     『Q&Aで読み解く保険業法』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2022年07月

     『はじめて学ぶ生命保険』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2021年05月

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