2023年12月21日

改正ベトナム保険事業法(7)-財産保険・ダメージ保険(その1)

保険研究部 専務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長 松澤 登

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■要旨

2023年1月に大改正されたベトナム保険事業法の解説の7回目である。今回は、損害保険契約のうち、財産保険契約とダメージ保険契約(信用保険など)についての一回目である。保険事業法において、損害保険契約でこれら以外に定められているカテゴリーは責任保険である。
 
保険事業法で特に特徴的なのは、物件の時価を超える財産保険契約を締結してはならないとするところである。日本でも損害保険は基本的に時価で契約を締結するが、財産保険(火災保険など)では再調達価額(新価)での保険契約締結が認められている。
 
また、重複保険における保険金の支払いについては、日本では全ての保険企業等が各々その保険契約による全額支払い義務を被保険者に対して負い、各保険企業等が各々負担する割合分(各保険企業の保険金額の全保険企業等が付した合計金額に対する割合で算定)については、被保険者に実際に支払った保険企業から請求を行うこととされている。これに対して保険事業法では各保険企業等が、自社保険金額の全保険企業が付保した保険金額に対する割合分に相当する保険金額を被保険者に対して支払うこととされている。
  ■目次

1――はじめに
2――財産保険契約・ダメージ保険契約の補償対象等(43条~44条)
  1|財産保険契約・ダメージ保険契約の目的(43条)
  2|財産保険契約・ダメージ保険契約で補償される権利(44条)
  3|合計保険金額(45条)
3――保険事故発生時の通知義務(46条)
4――時価を超える財産保険契約・一部保険・重複保険による(47条~49条)
  1|時価を超える保険契約(47条)
  2|時価以下で付保された財産保険契約(48条)
  3|重複保険(49条)
5――おわりに
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保険研究部   専務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長

松澤 登 (まつざわ のぼる)

研究・専門分野
保険業法・保険法|企業法務

経歴
  • 【職歴】
     1985年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
     2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
     2018年4月 取締役保険研究部研究理事
     2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
     2024年4月より現職

    【加入団体等】
     東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
     東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
     大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
     金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
     日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等

    【著書】
     『はじめて学ぶ少額短期保険』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2024年02月

     『Q&Aで読み解く保険業法』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2022年07月

     『はじめて学ぶ生命保険』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2021年05月

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【改正ベトナム保険事業法(7)-財産保険・ダメージ保険(その1)】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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