2023年11月16日

改正ベトナム保険事業法(4)-契約総論(その3)

保険研究部  常務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長   松澤 登

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■要旨

2023年1月施行の改正ベトナム保険事業法の解説の4回目である。今回は契約総論の3回目になる。ポイントは4点ある。
 
一点目として、保険事業法は保険契約者変更のルールを規定している。被保険者の同意を取得するとともに、保険会社から書面での同意が必要というものである。これは日本の保険法に規定されていない点ではあるが、日本では保険会社の約款に規定されているものに近い。
 
二点目として、保険事業法は再保険を保険企業等とが締結したとしても、保険企業等と保険契約者の契約関係に影響を及ぼさないとする。日本でも同様の結果となるが、これも保険法に規定はない。
 
三点目として、保険事業法は保険金請求期間として1年間と定めている。日本の保険法では3年間と定めており、ベトナムの方が期間が短い。保険事業法は請求者が保険事故発生を知らなかった場合の特則などを置いている。保険法にはこのような規定はなく、保険事業法のほうが丁寧な規定ぶりとなっている。
 
四点目として、紛争処理の手続について規定している。保険法に該当規定はないが、日本では保険業法により設立される指定紛争解決機関などにより解決が図られる。

■目次

1――はじめに
2――保険契約者変更および再保険 (28条~29条)
  1|保険契約者の変更(28条)
  2|再保険の取扱(29条)
3――保険金の請求・支払い(30条~32条)
  1|保険金の請求期限(30条)
  2|保険金支払い期限(31条)
  3|紛争処理(32条)
4――おわりに
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保険研究部   常務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長

松澤 登 (まつざわ のぼる)

研究・専門分野
保険業法・保険法|企業法務

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