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- サイバー対処能力強化法の成立-能動的サイバー防御
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2025年06月24日
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■要旨
2025年5月16日、サイバー対処能力強化法(以下、強化法)の新規法案および警職法・自衛隊法の改正案が国会を通過し、成立した。強化法等の立法目的は国外から発信されるサイバー攻撃を発見し、対処することにある。
まず、国外から国内への通信情報(外内通信情報)に関して、一定の重要電子計算機を保有する事業者から同意を得て、受信情報を内閣総理大臣が取得し、分析情報を事業者に提供する当事者協定を締結することができるとされた。ここで電気通信事業者も協定当事者とすることで通信途上の通信情報も内閣総理大臣が取得することができる。また、国外から国外へ送受信される通信情報(外外通信情報)であって、国内の通信事業者が媒介するものに関して、サイバー攻撃であると疑われるものは、内閣総理大臣が取得することができる。
これら外内通信情報と外外通信情報で内閣総理大臣が取得したものは、自動選別にかけ、サイバー攻撃である疑いがあるものについて、その機械情報(IPアドレス・指令情報)のみを選別して記録する。
外内通信情報であってサイバー攻撃である疑いのあるもの、および外国から攻撃を受けた国内設備から国外へ送信される通信情報(内外通信情報)であってサイバー攻撃である疑いあるものを内閣総理大臣が取得することができる。これらも上述した自動選別によって記録を行う。
内閣総理大臣が取得した通信情報をもとに整理分析した「総合整理分析情報」を一定の重要電子計算機を保有する事業者に提供するといったことが強化法で規定されている。
一定の緊急事態において警察庁長官の指名するサイバー危害防止措置執行官は、サイバー攻撃を行っている加害関係電子計算機に対して、危害防止のため必要な措置をとることができる。なお、国外にある加害関係電子計算機であってもサイバー危害防止措置執行官は措置をとることができる。この場合、外務大臣と協議しなければならない。これら措置にあたっては、原則としてサイバー通信情報監理委員会の承認を得る必要がある。
サイバー攻撃であって、特に高度で組織的かつ計画的な行為と認められるものであり、かつ重要電子計算機に特定重大支障など自衛隊が対処すべき要件を満たす場合、部隊は通信防護措置をとることができる。通信防護措置をとるにあたっては、防衛大臣と国家公安委員会との間で事前協議をする必要がある。
■目次
1――はじめに
2――目的・定義・基本計画
1|目的
2|定義
3|基本方針
4|コメント
3――特別社会基盤事業者等
1|特定重要電子計算機の届出
2|当事者協定
3|コメント
4――外外通信目的送信措置
1|措置の内容
2|コメント
5――取得情報の取扱い
1|対象となる不正行為
2|自動選別の実施
3|利用及び提供の制限
4|その他の重要な規定
5|コメント
6――特定外内通信目的送信措置・特定内外通信目的送信措置
1|特定外内通信目的送信措置・特定内外通信目的送信措置
2|特定外内通信目的送信措置・特定内外通信目的送信措置による取得通信情報の取扱い
3|コメント
7――強化法におけるその他の重要項目
1|内容
2|コメント
8――警察官職務執行法・自衛隊法
1|警察官職務執行法
2|自衛隊法
3|コメント
9――おわりに
2025年5月16日、サイバー対処能力強化法(以下、強化法)の新規法案および警職法・自衛隊法の改正案が国会を通過し、成立した。強化法等の立法目的は国外から発信されるサイバー攻撃を発見し、対処することにある。
まず、国外から国内への通信情報(外内通信情報)に関して、一定の重要電子計算機を保有する事業者から同意を得て、受信情報を内閣総理大臣が取得し、分析情報を事業者に提供する当事者協定を締結することができるとされた。ここで電気通信事業者も協定当事者とすることで通信途上の通信情報も内閣総理大臣が取得することができる。また、国外から国外へ送受信される通信情報(外外通信情報)であって、国内の通信事業者が媒介するものに関して、サイバー攻撃であると疑われるものは、内閣総理大臣が取得することができる。
これら外内通信情報と外外通信情報で内閣総理大臣が取得したものは、自動選別にかけ、サイバー攻撃である疑いがあるものについて、その機械情報(IPアドレス・指令情報)のみを選別して記録する。
外内通信情報であってサイバー攻撃である疑いのあるもの、および外国から攻撃を受けた国内設備から国外へ送信される通信情報(内外通信情報)であってサイバー攻撃である疑いあるものを内閣総理大臣が取得することができる。これらも上述した自動選別によって記録を行う。
内閣総理大臣が取得した通信情報をもとに整理分析した「総合整理分析情報」を一定の重要電子計算機を保有する事業者に提供するといったことが強化法で規定されている。
一定の緊急事態において警察庁長官の指名するサイバー危害防止措置執行官は、サイバー攻撃を行っている加害関係電子計算機に対して、危害防止のため必要な措置をとることができる。なお、国外にある加害関係電子計算機であってもサイバー危害防止措置執行官は措置をとることができる。この場合、外務大臣と協議しなければならない。これら措置にあたっては、原則としてサイバー通信情報監理委員会の承認を得る必要がある。
サイバー攻撃であって、特に高度で組織的かつ計画的な行為と認められるものであり、かつ重要電子計算機に特定重大支障など自衛隊が対処すべき要件を満たす場合、部隊は通信防護措置をとることができる。通信防護措置をとるにあたっては、防衛大臣と国家公安委員会との間で事前協議をする必要がある。
■目次
1――はじめに
2――目的・定義・基本計画
1|目的
2|定義
3|基本方針
4|コメント
3――特別社会基盤事業者等
1|特定重要電子計算機の届出
2|当事者協定
3|コメント
4――外外通信目的送信措置
1|措置の内容
2|コメント
5――取得情報の取扱い
1|対象となる不正行為
2|自動選別の実施
3|利用及び提供の制限
4|その他の重要な規定
5|コメント
6――特定外内通信目的送信措置・特定内外通信目的送信措置
1|特定外内通信目的送信措置・特定内外通信目的送信措置
2|特定外内通信目的送信措置・特定内外通信目的送信措置による取得通信情報の取扱い
3|コメント
7――強化法におけるその他の重要項目
1|内容
2|コメント
8――警察官職務執行法・自衛隊法
1|警察官職務執行法
2|自衛隊法
3|コメント
9――おわりに
(2025年06月24日「基礎研レポート」)

03-3512-1866
経歴
- 【職歴】
1985年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
2018年4月 取締役保険研究部研究理事
2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
2025年4月より現職
【加入団体等】
東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等
【著書】
『はじめて学ぶ少額短期保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2024年02月
『Q&Aで読み解く保険業法』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2022年07月
『はじめて学ぶ生命保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2021年05月
松澤 登のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/06/24 | サイバー対処能力強化法の成立-能動的サイバー防御 | 松澤 登 | 基礎研レポート |
2025/06/16 | 株式併合による非公開化-JAL等によるAGPのスクイーズアウト | 松澤 登 | 研究員の眼 |
2025/06/13 | 株主提案による役員選任議案-フジメディア・ホールディングス | 松澤 登 | 研究員の眼 |
2025/06/10 | 江戸時代の堂島米市場-先物取引所の先駆け | 松澤 登 | 研究員の眼 |
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【サイバー対処能力強化法の成立-能動的サイバー防御】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
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