- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 不動産 >
- 土地・住宅 >
- 首都圏の中古マンション価格~隣接する行政区単位での価格差は?~
コラム
2025年10月17日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
首都圏(1都3県)のマンション価格は新築、中古を問わず高値圏での推移が続いている。新築分譲マンション1については、2025年8月の首都圏の平均価格が1億325万円と2か月連続で1億円の大台を超えており、東京23区に限れば1億3,810万円と、いわゆる「パワーカップル」でも手が届き難くなっている。新築が無理なら中古、となるが、東京23区の中古マンションの70m2換算価格2も8月は1億721万円と5月から4か月連続で1億円を超えている。但し、東京23区でも都心部と周縁部では状況が異なる。本稿では、都心3区、都心6区といった概念的な区分ではなく、物理的に①他の県・東京市部に隣接していない区と②隣接している区に分け、更に③23区に隣接している市と④県庁所在地、⑤それらを除く市町村の階層で中古マンション価格を分析した(図表1)。
本稿では、国土交通省「不動産情報ライブラリ」3に掲載された直近1年間(2024年第2四半期~2025年第1四半期)に取引された中古マンションのうち、下記の物件を除外した37,479件について、取引価格を床面積で割ってm2単価を算出し、70倍することにより70m2換算の価格とした。
都心部から離れるにつれ価格が低下していくのは想定どおりだが、下がり方に方面別で違いがある。総じて言えば、東京23区では北や東の区は安く、西や南の区は高い。23区に隣接している市では最も安いのは埼玉県内の市の3,091万円となっている。埼玉県に隣接している東京23区内の区の平均との差は1,782万円と最も価格差が大きくなっている。これらの価格は最寄駅からの距離や築後経過年数等による品質調整は行っていない単純平均である点、留意が必要であるが、②と③の差という観点で言えば、埼玉県側の市は荒川を越えると1,800万円近く安くなるので、一概には言えないものの、価格だけで言えばお得感が大きいということになる(図表2)。
- 面積(m2):30m2未満
- 用途、今後の利用目的:住宅以外の用途が明記されている物件(未記載は含める)
- 取引の事情等:記載のある物件
都心部から離れるにつれ価格が低下していくのは想定どおりだが、下がり方に方面別で違いがある。総じて言えば、東京23区では北や東の区は安く、西や南の区は高い。23区に隣接している市では最も安いのは埼玉県内の市の3,091万円となっている。埼玉県に隣接している東京23区内の区の平均との差は1,782万円と最も価格差が大きくなっている。これらの価格は最寄駅からの距離や築後経過年数等による品質調整は行っていない単純平均である点、留意が必要であるが、②と③の差という観点で言えば、埼玉県側の市は荒川を越えると1,800万円近く安くなるので、一概には言えないものの、価格だけで言えばお得感が大きいということになる(図表2)。
1 「首都圏新築分譲マンション市場動向」(不動産経済研究所) https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/643/YxcDscW1.pdf
2 「市況レポート」(東京カンテイ) https://www.kantei.ne.jp/report/70m2/7788/
3 「不動産情報ライブラリ」(国土交通省) https://www.reinfolib.mlit.go.jp/
4 「消えた580兆円~住宅投資をしても残高の増加は限定的~」(ニッセイ基礎研究所) https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=79154?site=nli
(2025年10月17日「研究員の眼」)
このレポートの関連カテゴリ
関連レポート
- 消えた580兆円~住宅投資をしても残高の増加は限定的~日本の住宅投資はなぜ「資産化」しないのか~
- バブル期より3割高くなった首都圏新築分譲マンション価格~それでもローン返済額はバブル期の8割に止まる~
- 日本の木造中古戸建て住宅価格の中央値は1,600万円(2023年)~アメリカは39万ドル余で日本の3倍以上だが、経年減価が米国並みになり為替も購買力平価に収斂すれば同程度に~
- 東京23区で子育てをしている世帯の過半は年収1千万円以上~1億円を超えた東京23区のマンション市場の行方は?~
- 住宅ローンの固定金利利用率、アメリカが9割超に対して日本は1割未満にとどまる~日本では低金利が続いていたからなのか~

経歴
- 【職歴】
1988年 住宅金融公庫入社
1996年 海外経済協力基金(OECF)出向(マニラ事務所に3年間駐在)
1999年 国際協力銀行(JBIC)出向
2002年 米国ファニーメイ特別研修派遣
2022年 住宅金融支援機構 審議役
2023年 6月 日本生命保険相互会社 顧問
7月 ニッセイ基礎研究所 客員研究員(現職)
【加入団体等】
・日本不動産学会 正会員
・資産評価政策学会 正会員
・早稲田大学大学院経営管理研究科 非常勤講師
【著書等】
・サブプライム問題の正しい考え方(中央公論新社、2008年、共著)
・世界金融危機はなぜ起こったのか(東洋経済新報社、2008年、共著)
・通貨で読み解く世界経済(中央公論新社、2010年、共著)
・通貨の品格(中央公論新社、2012年)など
小林 正宏のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/10/17 | 首都圏の中古マンション価格~隣接する行政区単位での価格差は?~ | 小林 正宏 | 研究員の眼 |
2025/10/06 | データで見る今年の夏の暑さ~東京は偏差値で言えば80台~ | 小林 正宏 | 研究員の眼 |
2025/03/07 | 東京23区で子育てをしている世帯の過半は年収1千万円以上-1億円を超えた東京23区のマンション市場の行方は? | 小林 正宏 | 基礎研マンスリー |
2025/02/26 | 利上げで潤った米銀~FRBの損失は拡大も金融システム全体ではニュートラル~ | 小林 正宏 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年10月21日
選択と責任──消費社会の二重構造(2)-欲望について考える(3) -
2025年10月21日
連立協議から選挙のあり方を思う-選挙と同時に大規模な公的世論調査の実施を -
2025年10月21日
インバウンド消費の動向(2025年7-9月期)-量から質へ、消費構造の転換期 -
2025年10月21日
中国、社会保険料徴収をとりまく課題【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(71) -
2025年10月21日
今週のレポート・コラムまとめ【10/14-10/20発行分】
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【首都圏の中古マンション価格~隣接する行政区単位での価格差は?~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
首都圏の中古マンション価格~隣接する行政区単位での価格差は?~のレポート Topへ