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J-REIT市場の動向と収益見通し。財務負担増加が内部成長を上回り、今後5年間で▲7%減益を見込む~シナリオ別のレンジは「▲20%~+10%」となる見通し~

金融研究部 不動産調査室長 岩佐 浩人
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- J-REIT市場は昨年まで3年連続で下落していたが、今年に入り、底打ちの機運がみられ、東証REIT指数は一時1700ポイント台を回復した。もっとも、日本銀行の政策金利引き上げに伴う市場金利上昇への警戒感もあり、一進一退の動きとなっている。
- 市場価格の低迷が長期化する一方、J-REIT市場のファンダメンタルズは着実に改善している。1口当たりNAVは前年比2%増加し、予想1口当たり分配金(DPU)も前年比8%増加し過去最高水準を更新している。
- 本稿では、現在のJ-REIT市場の収益環境を確認したのち、各種シナリオを想定し、今後5年間のDPU成長率を試算した。
- 結果、今後5年間のDPU成長率は、財務負担増加が内部成長を上回り▲7%(年率▲1.4%)となった。内訳は、「内部成長」が+7%、「外部成長」が▲3%、「財務戦略」が▲11%。2025年は横ばいを維持するものの、2026年から減益に転じる見通しである。
- 今後の「金利のある世界」と「インフレのある世界」において、DPU成長率を高めるには、金利上昇の影響に打ち克つ『内部成長』の実現が鍵を握る。また、現在の投資口価格が低迷する局面では、物件取得による資産規模の拡大ではなく、自己投資口買いによる資本効率の向上が求められる。
■目次
1――J-REIT市場は底打ちの機運がみられるも、金利上昇への警戒感から一進一退の動き
2――保有不動産は約4800棟、金額にして28兆円。予想1口当たり分配金は過去最高を更新
3――各種シナリオを設定し、今後5年間のDPU成長率を試算する
1|保有オフィスビルのNOIは増加に転じる。2024年下期は前年同期比+1.1%増加
2|保有オフィスビルのNOIは今後5年間で+6%増加する見通し(標準シナリオ)
3|賃貸マンションは賃料上昇率が拡大。今後のテナント入替時の賃料変動率は
+5%を想定
4|ホテル収益はコロナ禍前の水準を超過。さらなる改善を見込む
5|物流施設の賃料は堅調を維持。今後のテナント更新時の賃料変動率は+5%を想定
6|『財務戦略』によるDPUへの寄与度は今後5年間で▲11%となる見通し
(メインシナリオ)
7|『外部成長』によるDPUへの寄与度は▲3%となる見通し
8|今後5年間のDPU成長率はメインシナリオで▲7%(▲20%~+10%)の見通し
(2025年03月21日「基礎研レポート」)
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03-3512-1858
- 【職歴】
1993年 日本生命保険相互会社入社
2005年 ニッセイ基礎研究所
2019年4月より現職
【加入団体等】
・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
岩佐 浩人のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/03/21 | J-REIT市場の動向と収益見通し。財務負担増加が内部成長を上回り、今後5年間で▲7%減益を見込む~シナリオ別のレンジは「▲20%~+10%」となる見通し~ | 岩佐 浩人 | 基礎研レポート |
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