2024年08月02日

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■要旨
 
  • 仙台のオフィス市場では、昨年の新規供給面積が13年ぶりに1万坪を超えて約1.5万坪に達し、空室率は上昇したものの、成約賃料は堅調に推移している。本稿では、仙台オフィス市場の現況を概観した上で、2028年までの賃料予測を行った。
     
  • 仙台市では、人口の流入超過が継続しており、生産年齢人口は9年ぶりに増加した。また、東北地方の「企業の経営環境」はコロナ禍で受けたダメージから回復に向かっており、「雇用環境」は人手不足感が強まっている。以上のことを鑑みると、仙台市のビジネスエリアの「オフィスワーカー数」が大幅に減少する懸念は小さいと考えられる。
     
  • また、テレワークの普及が更に進んだ場合、テレワークを前提としたワークプレイスの見直しや、サテライトオフィスの開設等が増えることが想定される。行政の支援策に後押され、スタートアップ企業が増加し、オフィス需要の新たな担い手となることも期待される。
     
  • 新規供給に関して、昨年は複数の大規模ビルが竣工し約1.5万坪に達したが、今後3年間は一段落する見通しである。以上を踏まえると、空室率が大きく上昇する懸念は小さいと予想する。
     
  • 空室率が安定的に推移することに伴い、現行水準で概ね横ばいで推移する見通しである。2023年の賃料を100とした場合、2024年は「100」、2028年は「100」と予測する。


■目次

1.はじめに
2.仙台オフィス市場の現況
  2-1.空室率および賃料の動向
  2-2.オフィス市場の需給動向
  2-3.空室率と募集賃料のエリア別動向
3.仙台オフィス市場の見通し
  3-1.新規需要の見通し
  3-2.オフィスビルの新規供給見通し
  3-3.賃料見通し

(2024年08月02日「不動産投資レポート」)

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金融研究部   主任研究員

吉田 資 (よしだ たすく)

研究・専門分野
不動産市場、投資分析

経歴
  • 【職歴】
     2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
     2018年 ニッセイ基礎研究所

    【加入団体等】
     一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)

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【「仙台オフィス市場」の現況と見通し(2024年)】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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