2024年06月21日

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■要旨
 
  • 福岡のオフィス市場は、大規模ビルの竣工に伴い空室率が一時上昇したものの、立地改善や建物設備のグレートアップを図るオフィス需要に支えられて、空室が順調に消化されるなか、成約賃料も安定的に推移している。本稿では、福岡のオフィス市況を概観した上で、2028年までの賃料予測を行った。
     
  • 福岡市では、人口の流入超過が継続しており、福岡県の就業者は増加が続いている。また、「企業の経営環境」はコロナ禍で受けたダメージから立ち直り、順調な回復を示している。「雇用環境」については人手不足感が強く、営業職や専門・技術職を中心に企業の採用意欲が高まっている。以上を鑑みると、福岡市のオフィスワーカー数が大幅に減少する懸念は小さいと言える。
     
  • 福岡でも、フリーアドレスを導入し、リモート会議用ブース・個室を充実させる等、テレワークを取り入れたフレキシブルな働き方に即したオフィス利用が増えている。また、半導体投資拡大や「金融・資産運用特区」の指定に伴い、企業進出が活発化することで、福岡のオフィス需要の高まりが期待される。
     
  • 一方、福岡市では「天神ビックバン」プロジェクトや「博多コネクティッドボーナス」を背景に、多くの大規模開発が進行中である。今後3年間の総ストック量に対する供給割合は主要地方都市の中で最も高い水準になる。以上を鑑みると、福岡の空室率は当面の間、上昇基調で推移すると予測する。
     
  • 福岡のオフィス成約賃料は、空室率の上昇に伴い、下落基調で推移する見通しである。2023年の賃料を100とした場合、2024年は「98」、2028年は「91」となる見通しである。


■目次

1.はじめに
2. 福岡オフィス市場の現況
  2-1.空室率および賃料の動向
  2-2.オフィス市場の需給動向
  2-3.空室率と募集賃料のエリア別動向
3.福岡オフィス市場の見通し
  3-1.新規需要の見通し
  3-2.オフィスビルの新規供給見通し
  3-3.賃料見通し

(2024年06月21日「不動産投資レポート」)

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金融研究部   主任研究員

吉田 資 (よしだ たすく)

研究・専門分野
不動産市場、投資分析

経歴
  • 【職歴】
     2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
     2018年 ニッセイ基礎研究所

    【加入団体等】
     一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)

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