2024年08月13日

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■要旨
 
  • 札幌のオフィス市場では、昨年の新規供給面積が17年ぶりに1万坪を超え、需給環境はやや緩和したものの、空室率は全国主要都市の中で最も低い水準を維持し、成約賃料は堅調に推移している。一方、今後についても複数の大規模ビル開発が計画されている。本稿では、札幌のオフィスの現況を概観した上で、2028年までの賃料予測を行った。
     
  • 北海道全体の就業者は4年ぶりに増加したが、札幌市の生産年齢人口は今後も減少が続く見通しである。また、人手不足感が強い一方、コロナ禍からの企業活動の回復は鈍い傾向にある。以上のことを鑑みると、札幌市のオフィスワーカー数の拡大は今後、力強さに欠くことが予想される。
     
  • また、札幌市のオフィス需要を支えてきたコールセンターは、札幌市の新設・増設補助制度が2023年9月末で終了した。また、コロナ禍を経て、コールセンターのビジネスモデルは大きく転換する可能性がある。「テレワーク」が進むIT関連企業では、ワークプレイスの見直しが順次拡がることも考えられ、コールセンターやIT関連企業による新規需要が頭打ちするリスクに留意が必要である。
     
  • 札幌駅周辺を中心に高層オフィスビルの開発が複数計画されており、2024年から2026年にかけて、年間約1万坪の新規供給が予定されている。以上を鑑みると、札幌の空室率は上昇傾向で推移すると予想する。
     
  • 成約賃料は、新規供給の増加に伴う需給緩和の影響を受けて、下落に転じる見通しである。2023年の賃料を100とした場合、2024年は「98」、2028年は「86」と予測する。


■目次

1.はじめに
2.札幌オフィス市場の現況
  2-1.空室率および賃料の動向
  2-2.オフィス市場の需給動向
  2-3.空室率と募集賃料のエリア別動向
3.札幌オフィス市場の見通し
  3-1.新規需要の見通し
  3-2.オフィスビルの新規供給見通し
  3-3.賃料見通し

(2024年08月13日「不動産投資レポート」)

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金融研究部   主任研究員

吉田 資 (よしだ たすく)

研究・専門分野
不動産市場、投資分析

経歴
  • 【職歴】
     2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
     2018年 ニッセイ基礎研究所

    【加入団体等】
     一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)

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