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- マレーシアGDP(2025年7-9月期)~内需は底堅く、外需は純輸出が改善
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2025年11月14日
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【結果概要】
マレーシアの2025年7–9月期の実質GDP成長率1は前年同期比5.2%となり、市場予想2(4.5%)を上回ったものの、統計局が発表した暫定値(同5.2%)と一致した(図表1)。前期(同4.4%)から成長率は上昇し、安定した成長ペースを維持している。
需要面では、民間消費が引き続き堅調を維持し、投資は増勢が鈍化したものの、建設投資を中心に高めの伸びが続いた。外需については、輸出が鈍化した一方で輸入の伸びが大きく低下したことで、純輸出はプラス寄与に転じ、成長の押し上げ要因となった。電子機器やサービス輸出は伸びたものの、財貨輸出全体は停滞した。一方で財・サービス輸入が大きく鈍化し、投資財・中間財の伸びの弱さが影響した。
米国による追加関税の発動や半導体関税の可能性など外部環境の不透明感が残る中でも、内需は底堅さを維持している。中銀は7月に予防的な利下げを実施しており、金融環境の緩和が個人消費や投資を一定程度支える見込みである。
需要面では、民間消費が引き続き堅調を維持し、投資は増勢が鈍化したものの、建設投資を中心に高めの伸びが続いた。外需については、輸出が鈍化した一方で輸入の伸びが大きく低下したことで、純輸出はプラス寄与に転じ、成長の押し上げ要因となった。電子機器やサービス輸出は伸びたものの、財貨輸出全体は停滞した。一方で財・サービス輸入が大きく鈍化し、投資財・中間財の伸びの弱さが影響した。
米国による追加関税の発動や半導体関税の可能性など外部環境の不透明感が残る中でも、内需は底堅さを維持している。中銀は7月に予防的な利下げを実施しており、金融環境の緩和が個人消費や投資を一定程度支える見込みである。
1 2025年11月14日、マレーシア中央銀行が2025年7-9月期の国内総生産(GDP)を公表した。
2 Bloomberg調査
【支出別の詳細】
家計最終消費支出は前年同期比5.0%(前期:同5.3%)となり、小幅に低下したものの底堅く推移した(図表2)。レストラン・ホテル(同14.4%)を中心に、輸送(同9.5%)や通信(同8.7%)、衣服・履物(同7.7%)などが堅調に推移した一方、住宅・水道・電気・ガス(同1.0%)や食料・飲料(同3.1%)は伸びが限定的だった。
政府最終消費支出は前年同期比7.1%(前期:同6.4%)となり、政府サービス提供に伴う運営費や人件費関連支出の増加が伸びを支えた。
総固定資本形成は前年同期比7.4%(前期:同12.1%)と鈍化した。建設投資(同10.4%)が二桁成長を続けた一方、設備投資(同4.3%)が大幅に伸びを落とした。
財・サービス輸出は前年同期比1.4%(前期:同2.6%)とやや鈍化した。電子機器の増加がけん引したものの、パーム油や石油製品、化学製品などコモディティ関連の輸出が低迷したほか、非電子系製造業の出荷が総じて弱かったことから、財貨輸出全体としては停滞した。
一方、財・サービス輸入は同0.4%(前期:同6.6%)となり、投資財や中間財の伸びが低下した。その結果、純輸出の寄与度は0.7%ポイント(前期▲2.6%ポイント)となりプラスとなった。
政府最終消費支出は前年同期比7.1%(前期:同6.4%)となり、政府サービス提供に伴う運営費や人件費関連支出の増加が伸びを支えた。
総固定資本形成は前年同期比7.4%(前期:同12.1%)と鈍化した。建設投資(同10.4%)が二桁成長を続けた一方、設備投資(同4.3%)が大幅に伸びを落とした。
財・サービス輸出は前年同期比1.4%(前期:同2.6%)とやや鈍化した。電子機器の増加がけん引したものの、パーム油や石油製品、化学製品などコモディティ関連の輸出が低迷したほか、非電子系製造業の出荷が総じて弱かったことから、財貨輸出全体としては停滞した。
一方、財・サービス輸入は同0.4%(前期:同6.6%)となり、投資財や中間財の伸びが低下した。その結果、純輸出の寄与度は0.7%ポイント(前期▲2.6%ポイント)となりプラスとなった。
【産業別の詳細】
第二次産業が大きく改善した一方、第三次産業は横ばい、第一次産業は鈍化した(図表3)。
まず第二次産業は前年同期比6.1%(前期:同2.1%)と改善した。製造業は同4.1%となり、主力の電子機器(同9.1%)や食品加工(同9.7%)が伸びた一方、輸送用機器(同0.5%)や化学製品(同▲0.4%)は停滞した。また鉱業は同9.7%(前期:同▲5.2%)と大幅に改善し、原油・天然ガスが揃って増加に転じた。建設業も同11.8%増と高成長を維持した(図表4)。
第三次産業は前年同期比5.0%(前期:同5.1%)と横ばいで、宿泊業(同13.8%)や飲食(同8.1%)、ビジネスサービス(同8.1%)、運輸・倉庫(同7.8%)が堅調に推移した。一方、金融(同▲1.9%)や保険(同▲2.3%)、情報・通信(同3.9%)、小売(同4.3%)は伸びが弱かった。
第一次産業は前年同期比0.4%(前期:同2.5%)となり、パーム油(同▲0.7%)や漁業・養殖業(同▲0.4%)の減少が影響した。
まず第二次産業は前年同期比6.1%(前期:同2.1%)と改善した。製造業は同4.1%となり、主力の電子機器(同9.1%)や食品加工(同9.7%)が伸びた一方、輸送用機器(同0.5%)や化学製品(同▲0.4%)は停滞した。また鉱業は同9.7%(前期:同▲5.2%)と大幅に改善し、原油・天然ガスが揃って増加に転じた。建設業も同11.8%増と高成長を維持した(図表4)。
第三次産業は前年同期比5.0%(前期:同5.1%)と横ばいで、宿泊業(同13.8%)や飲食(同8.1%)、ビジネスサービス(同8.1%)、運輸・倉庫(同7.8%)が堅調に推移した。一方、金融(同▲1.9%)や保険(同▲2.3%)、情報・通信(同3.9%)、小売(同4.3%)は伸びが弱かった。
第一次産業は前年同期比0.4%(前期:同2.5%)となり、パーム油(同▲0.7%)や漁業・養殖業(同▲0.4%)の減少が影響した。
【今後の注目点】
米国による追加関税の影響が今後本格化する可能性があり、とくに電子機器を除く製造業の一部品目では下押しリスクが意識される。現時点ではマレーシアから米国向け半導体輸出に対して関税は課されておらず、米国の調査・関税引上げ検討が進んでいる段階である。今後、調査の結果次第で関税が発効すれば、マレーシアの輸出にとって大きな逆風となり得る。一方で、インバウンド需要の回復や労働市場の改善を背景に、個人消費は一定の底堅さを維持する見込みである。投資については、金利引き下げの効果が下期から徐々に表れる可能性がある。
総じて、2025年通年の成長率は4%台後半で推移する見通しであるが、外需の不透明感が高いことから、今後の貿易動向に注意が必要となる。
総じて、2025年通年の成長率は4%台後半で推移する見通しであるが、外需の不透明感が高いことから、今後の貿易動向に注意が必要となる。
(2025年11月14日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
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【マレーシアGDP(2025年7-9月期)~内需は底堅く、外需は純輸出が改善】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
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