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東京オフィス市場は賃料上昇率が拡大。J-REIT市場は需給改善で反発-不動産クォータリー・レビュー2025年第1四半期
基礎研REPORT(冊子版)6月号[vol.339]

金融研究部 不動産調査室長 岩佐 浩人
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住宅市場では価格上昇が続いている。東京オフィス市場では賃料上昇率が拡大している。東京23区のマンション賃料は引き続き上昇している。ホテル市場ではインバウンド需要が牽引し宿泊者数が増加した。物流市場では首都圏の空室率が一段と上昇している。2025年第1四半期の東証REIT指数は+2.3%上昇した。
1―経済動向と住宅市場
2―地価動向
3―不動産サブセクターの動向
このように、東京オフィス市場では賃料上昇率が拡大し回復基調が強まっている。一方で、今後はトランプ政権による相互関税の影響が懸念される。製造業を中心に企業業績が悪化し、人員採用計画の見直しや経費削減、企業の設備投資意欲が減退すれば、オフィス需要が一転して停滞する恐れもあり、市場動向を注視したい。
商業セクターは、円高の影響や世界景気の減速懸念などを背景にインバウンド消費にブレーキがかかり、2月以降、百貨店の売上高が減少に転じている。商業動態統計などによると、1-3月の小売販売額(既存店、前年同期比)は百貨店が+0.1%、スーパーが+2.8%、コンビニエンスストアが+1.5%となった。ホテル市場は、引き続きインバウンド需要が牽引し宿泊者数は増加しているものの、客室料金の高騰を受けて日本人の宿泊需要に頭打ち感がみられる。宿泊旅行統計調査によると、2025年1-3月の延べ宿泊者数は前年同期比+3.5%増加し、このうち日本人は▲2.7%、外国人は+23.0%となった。また、CBREの調査によると、首都圏の大型物流施設の空室率(第1四半期)は11.1%(前期比+1.3ポイント)となり、2010年以来15年ぶりに11%を上回った[図表6]。外縁部を中心に新規供給が継続するなか、空室の消化ペースは鈍く、空室率は当面高止まりする見通しである。一方、近畿圏の空室率は3.8%(前期比+0.1ポイント)と低い水準を維持し、需給の引き締まった状態が続いている。
4―J -REIT(不動産投信)市場
第1四半期のJ-REIT市場は、10年国債利回りの大幅な上昇(1.1%→1.5%)や株式市場の下落(▲4.5%)といったマイナス材料があったにもかかわらず、上昇に転じた。その要因の1つとして、需給環境の改善が挙げられる[図表7]。昨年の価格下落は、それまで主要な買い手であった海外投資家やJリート公募投信の売却に伴う需給悪化が大きく影響した。しかし、今年に入り、海外投資家は買い越しに転じ、Jリート公募投信からの資金流出も一巡しつつある。さらに、J-REITによる自己投資口買いが高水準で実施される一方、増資によるエクイティ調達額が大幅に減少したことも、需給の改善に寄与している。
(2025年06月06日「基礎研マンスリー」)
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03-3512-1858
- 【職歴】
1993年 日本生命保険相互会社入社
2005年 ニッセイ基礎研究所
2019年4月より現職
【加入団体等】
・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
岩佐 浩人のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/06/06 | 東京オフィス市場は賃料上昇率が拡大。J-REIT市場は需給改善で反発-不動産クォータリー・レビュー2025年第1四半期 | 岩佐 浩人 | 基礎研マンスリー |
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