コラム
2024年01月04日

数字の「101」に関わる各種の話題-「101」と聞いて、多くの皆さんが思い浮かべるのは-

このレポートの関連カテゴリ

文字サイズ

はじめに

数字の「101」と聞いて、多くの皆さんが思い浮かべるのは、恐らく2つのことで、そのうちの一つは「101匹わんちゃん」であり、もう一つは「101回目のプロポーズ」であろう。この2つの映画やTVドラマはそれほど人々に強い印象を与えているものになっているものと思われる。

今回は、この数字の「101」について、それが現れてくる代表的な例やその理由等について調べてみた。

101匹わんちゃん

「101匹わんちゃん」というのは、1961年に公開された、米国のウォルト・ディズニー・プロダクションが製作したアニメーション映画であり、原題は「One Hundred and One Dalmatians」となっている。

ストーリーはご存じの方も多いと思われるので詳細は説明しないが、ダルメシアンの毛皮でコートを作ろうとして、街中のダルメシアンを盗み集めている女性から、2匹の犬が、自分たちの子どもを含む、盗まれた99匹の子犬をすんでのところで助け出す、という大脱出作戦を描いたものとなっている。親犬2匹に加えて、子犬が99匹ということで、合計101匹になっている。

それでは、なぜ「101匹」なのかということになる。

これについては、そもそもダルメシアンの毛皮でコートを作ろうとしている女性は100匹の子犬を集めることを目論んでいたのだと想定されており、まさにその最後の1匹になっていたという危機一髪の状況下で、今回の脱出作戦が行われたというところに由来しているようだ。

「99」というのは、「100」という切りの良い数字にあと一歩ということで、子犬99匹が犠牲になるギリギリの状況になっていたことを示している。

一方で、「101」というのは原題にもあるように「One Hundred and One」ということで、「one」の韻を踏んだ形になっていることも関係しているようだ。

さらには、「100匹わんちゃん」と言われると、「100」という数字の持つイメージから、何となくたくさんの犬がいるという漠然としたイメージしか持たれないかもしれないが、「101匹わんちゃん」と言われると、何か具体的な数字を示していて、より現実味がある数字との印象を持たれやすいというプラス面の効果も期待されたものと思われる。

101回目のプロポーズ

「101回目のプロポーズ」は、1991年にフジテレビ系の「月9」枠で放送されたテレビドラマであり、高視聴率を記録した。中国や韓国などの海外でもテレビドラマや映画としてリメイクもされ、大変な人気を誇っていた。CHAGE&ASKAによる主題歌の「SAY YES」もオリコンシングルチャートで13週連続1位を記録する等、大ヒットした。

このストーリーについても皆様ご存じだと思われるので説明しないが、ここでも「101」という数字が使用され、「100」と言う切りの良い数字は使用されていない。

これについても、先の「101匹わんちゃん」の後半で説明したような、数字の「100」と「101」が有しているイメージの差を反映したものとなっているようだ。さらには、実は多くの人が勘違い(?)しているのではないかと思われる、以下のような意味合いも含まれているようだ。

武田鉄也が演じる中年サラリーマンの達郎が99回のお見合いに失敗し続けた後、浅野温子が演じるチェロ奏者の薫に出会うのが100回目のお見合いで、その後100回目のプロポーズをするのだが、これも失敗してふられてしまう。その後、番組の最終回で、達郎が捲土重来を期して挑んでいた司法試験にも不合格で、薫のことをきっぱりあきらめる決心をし、婚約指輪を投げ捨てたところに、自分を本当に愛しているのは達郎だと気付いた薫が来て、「私をもらってください」と言うところが、実は101回目のプロポーズ、になっているとのことのようだ。

このように説明してしまうと、何となく興ざめてしまい、そんなことはどうでもよいと思われる人もいるかもしれない。ただし、実はこんなことがタイトルの意味合いの背後には仕組まれていたのだということも頭の片隅にでも置いて、再度視聴してみると、新たな感動を経験することになるかもしれない。

米国における「101」の意味

米国の大学のコース番号付けシステムでは、学部の主題分野の初心者レベルの入門コースに番号 101(one -oh- oneと発音)がよく使用される。この共通の番号付けシステムは、大学間の編入を容易にするために設計されている。また、その科目を専攻する予定のない学生のためのコースを示すこともあるとのことである。

1番目の番号が難易度や学位水準を、その後の番号が該当専攻分野の主題や段階を表すという形で「101」は難易度1の01段階を意味する形になっている。

この用法に基づいて、「101」という用語は、トピックの基本的な知識やトピックの入門資料のコレクションを指す俗語の意味を獲得している。日本語でいうところの「入門講座」、「基礎講座」、「初級編」ということになる。

なお、この意味での「101」は、大学のコースだけでなく、一般的にも使用されており、下記で紹介するケースに加えて、会話の中等で、何かを説明する時に、「This is 〇〇101」と言ってから始めることもできるようだ。

英語の本のタイトルには「101」が多い

日本の本のタイトル等では、「〇〇100選」、「○○の100の方法」、「100の〇〇」、具体的には、日本百名山、百人一首等、数字の「100」が含まれているケースが多いが、英語の本では、「〇〇101」、「101〇〇」、具体的にはCooking 101、Classic Music 101等、数字の「101」が含まれているケースが多い。

これは、上記で述べた「101」が「入門講座」等を意味していることが大きな理由の一つである。一方で、100 項目しか含まれていない書籍とは異なり、さらなる追加情報を顧客に提供しているということを暗示して、差別化を図り、顧客の購買意欲を高めるためにも使用されているようだ。

Pruduce101

Produce 101というのは、韓国のエンターテイメント複合企業CJ E&Mによって作成された、K-POPガールズグループ又はボーイズグループの結成を中心としたリアリティテレビタレントコンテスト(公開オーディション番組)である。

この番組は、審査員団を持たず、観客の参加によって決定を下すこと、また、101 名という多数の出場者からスタートして、最終的に11名に絞り込むことで知られている。この番組は2016年に始まり、それ以来ずっと続いている。さらには他の東アジア諸国、中国、日本にも拡大している。

ここで、なぜ「101」なのか、ということについては、まさに上記で述べた「101」が「入門講座」等を意味していることとの関係で、初心者から段階的に教えていくことを表す形になっているようだ。

数学における数字としての「101」-回文素数&ユニーク素数

数字の「101」は素数であるが、いわゆる逆から数字を並べても同じ数となる「回文素数」となっている。さらには、1と0の2つで構成される最小の素数となっている。

これに加えて、「101」の大きな特徴として、「101」が「ユニーク素数(unique prime)」と呼ばれるものの1つになっていることが挙げられる。2及び5でない素数 p について、p の逆数の循環節1の長さが他のものと一致しないものを「ユニーク素数」と読んでいる。

 具体的には、3、11、37、101が最初の4つのユニーク素数となっていて、実際に

1/3 =0.3333・・・    (循環節の長さが1)
1/11 =0.0909・・・    (循環節の長さが2)
1/37 =0.027027・・・   (循環節の長さが3)
1/101=0.00990099・・・  (循環節の長さが4)

となっているが、その逆数がそれぞれの循環節の長さを有する素数は、これらしか存在しない。

なお、1050以下には1047以上の素数が存在しているが、ユニーク素数は18個しか存在していない。また。10100以下には、ユニーク素数は23個しか存在していない。このようにユニーク素数は極めてレアなものである。過去から記録が更新されてきてはいるものの、2021年時点においても、50を若干超えるユニーク素数及びユニーク素数候補しか確認されていないようだ。その中では2万桁を超えるユニーク素数や800万桁を超えるようなユニーク素数候補もある。

因みに、5つ目、6つ目、7つ目のユニーク素数は、以下の通りとなっている。

1/9091=0.00010999890001099989・・・  (循環節の長さが10)
1/9901=0.000100999899000100999899・・・  (循環節の長さが12)
1/333667=0.000002997000002997・・・  (循環節の長さが9)

また、循環節の長さが5、6、7、8、11のユニーク素数は、以下の例が示しているように存在しない。

1/41 =0.02439024390・・・    1/271 =0.003690036900・・・  (循環節の長さが5)
1/7  =0.142857142857・・・    1/13  =0.076923076923・・・  (循環節の長さが6)
1/239=0.00418410041841・・・    1/4641=0.00021510002151・・・  (循環節の長さが7)
1/73 =0.01369860136986・・・    1/137 =0.0072992700729927・・・  (循環節の長さが8)
1/21649 =0.0000461915100004619151・・・  (循環節の長さが11)
1/513239=0.0000019484100000194841・・・  (循環節の長さが11)
 
1 「循環節」を巡る話題については、研究員の眼「小数について(その2)-循環小数を巡る話題-」(2023.1.30)で報告しているので参照していただきたい。

最後に

今回は数字の「101」について、それが現れてくる例やその理由等について、報告してきた。

冒頭で、数字の「101」と聞いて、多くの皆さんが思い浮かべるのは、「101匹わんちゃん」と「101回目のプロポーズ」の2つであろうと述べた。それ以外に数字の「101」が現れてくる具体的な例について、いろいろと調べてみたが、米国において「101」が特別な意味合いを有していることと、これに関係して「101」が使用されているケースを除けば、これといったものが見つからなかった、というのが正直なところである。因みに、余談にはなるが、現在の岸田文雄氏は、日本の第101代内閣総理大臣となっている。

それでも、「101」という数字は、0と1のみで構成されていて、左右対称な回文数となっていることから、デザイン等には使用しやすい数字なのではないかなという気もしている。

今後、何らかの場面で「101」という数字が使用されて、先の2つに並ぶほどに幅広く知られるものとなっていくことを期待したい。
Xでシェアする Facebookでシェアする

このレポートの関連カテゴリ

中村 亮一

研究・専門分野

(2024年01月04日「研究員の眼」)

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【数字の「101」に関わる各種の話題-「101」と聞いて、多くの皆さんが思い浮かべるのは-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

数字の「101」に関わる各種の話題-「101」と聞いて、多くの皆さんが思い浮かべるのは-のレポート Topへ