コラム
2023年08月24日

数字の「25」に関わる各種の話題-「25」という数字は100の4分の1というイメージが強いのではないか

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はじめに

「25」という数字について、皆さんはどんなイメージを有しているだろうか。私は100の4分の1という感じで捉えている。英語でいうところのいわゆる「a quarter」のイメージである。あるいは「5×5」のマス目から、魔方陣やテレビ番組の「パネルクイズ アタック25」のようなものを思い浮かべる人もいるかもしれない。

今回は、この数字の「25」について、それが現れてくる例やその理由等について調べてみた。

「25」は100の4分の1

「25」は100の4分の1という事実から、「25」は「四半」を意味することが多い。

例えば、四半世紀と言えば25年を指しているし、米国では25セント硬貨を(英語で4分の1を意味する)「クォーター(quarter)」とも呼んでおり、さらに重量の単位としての1クォーターは1/4 hundredweightで25poundsとなっている。

また、4分の1を百分率で表せば「25%」となる。

四分位数

「四分位数」という概念があるが、これはデータを小さい順に並べて、小さいものから順位を付けた時に、全体の4分の1にあたる部分が「第1四分位数(25パーセンタイル)」、全体の4分の2(2分の1)に当たる部分が「第2四分位数(50パーセンタイル)」、全体の4分の3にあたる部分が「第3四分位数(75パーセンタイル)」と呼んでいて、「箱ひげ図(box plot又はbox-and-whisker plot)」と言われるものに使用されている。

これにより、データのばらつき度合い等を視覚化することができることになる。その意味で、四分割した場合の基準となる「25」という数字がよく現れてくることになる。
箱ひげ図
人生100年時代と呼ばれるようになれば、その4分の1にあたる「25年」がより大きな意味合いを有してくるようになり、「半生」ならぬ「四半生」と言う用語が人生を語る上で重要になってくるかもしれない。

硬貨(コイン)に現れる25

先に述べたように、米国では25セント硬貨を「クォーター(quarter)」と呼んでいるが、カナダにおいても25セント硬貨を「クォーター」と呼んでいる。

これらの国以外でも「25」が付く硬貨を発行している国はある。例えば、フィリッピンの通貨はペソで、補助通貨単位としてセンティモ(1ペソ=100センティモ)があるが、25センティモ硬貨が発行されている。

なお、北欧の国々においても、以前は「25」が付く硬貨を発行していたが、小額硬貨の廃止が行われてきている中で、これらはもはや発行されていない。さらにはキャッシュレス化が進む中で、小額の硬貨自体の流通量も減少してきている。例えば、デンマークの通貨は、デンマーク・クローネで補助通貨単位としてオーレ(1デンマーク・クローネ=100オーレ)があり、以前は25オーレ硬貨も発行されていたが、現在は50オーレが最小硬貨となっている。スウェーデンも同様で、通貨はクローナで補助通貨単位としてオーレ(1クローナ=100オーレ)があり、以前は25オーレ硬貨も発行されていたが、現在は1クローナが最小硬貨となっている。

因みに、欧米諸国でも、ユーロ、英国、オーストラリアやニュージーランドといった国・地域における硬貨に25の付いたものはない。これらの国・地域では、(1、2、5、)10、20、50といった数値に対応する硬貨が発行されている。また、中国の硬貨は1、5元等、インドの硬貨は1、2、5ルピーとなっている。

日本でも、1円、5円、10円、50円硬貨はあるが25円硬貨は無いし、過去においても5銭、10銭、20銭の硬貨はあったが25銭硬貨は無かったようだ。

そもそも、出来る限り硬貨の種類を抑えることが効率的な中で、「25」の硬貨を発行する必要性が低かったことによるものと思われる。

25周年

結婚25周年のお祝いを「銀婚式」といい、英語でも「Silver Wedding Anniversary」と言う(もちろん「25th Wedding Anniversary」等というような言い方もする)。さらには、記念祭や祝祭を意味する「jubilee」を用いて「Silver Jubilee」という言い方もする。

それではなぜ「25周年」を「銀(silver)」と結び付けているのか。

これについては、明確なことはわからなかったが、銀婚式や金婚式について、元々は神聖ローマ帝国の時代に、夫が妻に結婚25年目には銀の冠をかぶせ、50年目には金の冠をかぶせる習慣が起源と言われているようだ。日本においては、25年という年月は夫婦生活を重ね、いぶし銀のような美しさを醸し出すといわれているから、と言われているようだ。なお、銀婚式については、日本では明治天皇が明治27年に25周年の結婚を祝う「大婚二十五年祝典」を催したことが最初だと言われている。

因みに、結婚に関して、30周年は「真珠婚式」、40周年は「ルビー婚式」、50周年は「金婚式」、60周年は「ダイヤモンド婚式」、70周年は「プラチナ婚式」と呼ばれており、これは海外でも国によって多少の違いもあるものの、多くは共通している。例えば、故エリザベス女王の即位を記念する式典は、1977年(即位25周年)に「Silver Jubilee」、2002年(即位50周年)に「Golden Jubilee」、2012年(即位60周年)に「Diamond Jubilee」、2022年(即位70周年)に「Platinum Jubilee」が開催された。

宝石等の貴金属等の素材による階層付けに基づく記念式典のネーミングについては、以前から行われていたようだが、上記のように結婚記念日をかなり細分化して幅広く貴金属と結び付けたネーミングがされたのは、20世紀に入ってからの商業主義の影響もあったようだ。

25 歳という年齢

25歳は世界各国において、選挙への立候補等が認められる年齢となっている。

・日本において、衆議院議員、市町村長、地方議会議員の被選挙権は25歳以上となっている(これに対して、知事や参議院議員の被選挙権は30歳以上となっている)。

・米国の下院選挙の被選挙権は25歳以上(これに対して、上院議員は30歳以上、大統領は35歳以上となっている)。

・国連は、青少年(youth)をおおよそ15 歳から 24 歳までの人々と定義している。すべての国連統計はこの範囲に基づいており、国連はこれらの統計を情報源として教育を明記している。従って、25歳はこれを超える年齢ということになる。

魔方陣

魔方陣(magic square」というのは、n×n 個の正方形の方陣に、1からn2までの数字を1つずつ配置して、縦・横・対角線のいずれの列についても、その列の数字の合計が同じになるもの、を指している(これを「n次魔方陣」と呼んでいる)。

この時、一列の和は、以下の通りとなる。
n次魔方陣
1次魔方陣は自明なものしか存在せず、2次魔方陣は存在しない。

3次魔方陣は(対称形を除くと)1つしか存在しない1。また、4次魔方陣は全部で880通り存在している。

これに対して、5次魔方陣については、桁が大幅に増加して、(対称形を除くと)2億7530万5224通り存在することが知られている(1973年にコンピュータの計算で判明している)。一方で、6次魔方陣の総数については、概ね1.8×1019通りと推定されているが、正確な数はいまだ知られていないとのことである。

さらには、魔方陣のうち汎対角線(対角線が左右の端に来たら反対側に続くようなライン)の和も等しくなるものを「完全魔方陣」と呼んでいるが、4次魔方陣や5次魔方陣には存在しているが、6次魔方陣には存在していない。なお、完全魔方陣は、行や列をローテーションしても魔方陣になるので、n次の完全魔方陣1個からn2個の魔方陣が作れることになる。因みに、4次魔方陣には48(=3×16)個、5次魔方陣には3600(=144×25)個の完全魔方陣が存在している。

6次以上の魔方陣はあまりにもその数が多すぎることや、4次や5次の魔方陣には適正な規模の完全魔方陣が存在していることから、パズル等として楽しむためには、精々5次の魔方陣までという気もしているが如何なものだろうか。

数学における数字としての「25」

「25」が、数学の場面で現れてくる例としては、以下のものが挙げられる。

・5の平方数であり、末尾が5の整数の二乗の下二桁は必ず25になる。

・100以下の自然数に含まれる素数の個数

・斜辺が25の直角三角形は、3辺の長さが整数になる異なる辺の直角三角形をもつ最小の斜辺の値である。
 252 = 72 + 242 = 152 + 202

・2 つの(ゼロではない)正方形の和でもある最小の正方形(25 = 32 + 42)。そのため、ピタゴラスの定理のイラストによく登場する。

その他

その他に、数字の「25」や「二十五」が現れるケースとして、例えば以下のものが挙げられる。

・野球においては、背番号 25 は通常、チーム内で最も優れたスラッガーに与えられる傾向があるようだ。メジャーリーグにおいては、マーク・マグワイア、バリー・ボンズ等が挙げられ、日本のプロ野球でも、最近で言えば、新井貴浩、村田修一、筒香嘉智、岡本和真といったスラッガーたちが背負っていた(る)。

・ラリー得点ルールに基づいてバレーボールでセットに勝つために必要なポイント数(第 5 セットを除く)。ただし、2ポイント数以上の差が付いていることが条件となる。

・ヴァンサンカン (vingt-cinq ans) は、フランス語で「25歳」、「25年」の意味がある。
例えば、「25ans」は、25歳前後の女性をターゲットにしたファッション雑誌、である。

・インドの国民的ボードゲームの名前「パチシ」はヒンディー語で 25 を意味している。

・「Twenty-five」は、アイルランドの国民的なカードゲームの名前で「Spoil Five」等とも呼ばれる。

最後に

今回は数字の「25」について、それが現れてくる例やその理由等について、報告してきた。

「25」という数字は、100の4分の1であり、さらには5の二乗ということで、多くの人にとって割と身近な(?)数字と感じられるものではないかと思われる。

ところが、今回調べてみて、これら以外には「25」という数字が現れてくるケースは意外と限られているとの印象を受けている。あまりにも「4分の1」としてのイメージが強いため、あるいは「5×5」のマス目としてのイメージがあるために、却ってこれらを表現している機会を除いては、「25」という数字が使用されるケースは意外と少ないのではないかと推定される。

これまではどちらかというとあまり馴染みがないと思われる数字が意外な場面で数多く使用されていることを紹介してきた。これに対して、今回の数字の「25」は、ある意味でその逆になっているケースと言えるかもしれない。

こうして考えてみると、数字と言うのは本当に不思議なものだという気がしてこないだろうか。
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中村 亮一

研究・専門分野

(2023年08月24日「研究員の眼」)

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