コラム
2022年06月13日

数字の「13」に関わる各種の話題-「13」は西洋では忌み数として嫌われているようだが-

保険研究部 研究理事 気候変動リサーチセンター兼任 中村 亮一

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はじめに

数字の「13」と聞くと、多くの人は第1印象として「不吉な数」というイメージを持たれるのではないかと思われる。これは、13が多くの西洋諸国で忌み数として認識されており、そのイメージが日本人の間にも広がっていることによる。

しかし、「13」という数字は、その他の各種の場面でも現れてきており、必ずしも悪いイメージで認識されているとは限らない。

今回は、この数字の「13」について、それが現れてくる例やその理由等について調べてみた。

数字の「13」は、なぜ「忌み数」として取り扱われているのか?

一般的に、西洋においては「13」は最も忌避される忌み数と考えられている。これにはいくつかの説があるようだ。

最も有名なのは、聖書に関係している説で、イエス・キリストを裏切った弟子であるユダが、最後の晩餐で13番目の席についていたことに由来している、というものである。さらに、キリスト教圏の俗信においてはイエス・キリストが処刑されたのが金曜日であるとされている(聖書にはイエス・キリストの磔刑日の詳しい記載はない)ことから、特に13日の金曜日は不吉な日として、忌み嫌われている1。加えて、殺人鬼ジェイソンを主人公とした米国のホラー映画の「13日の金曜日」シリーズが世界的に大ヒットしたことが、こうした風潮に拍車をかけ、日本を含むキリスト教圏以外の国や地域においても、不吉な日であると認識されるようになっている。

また、北欧神話に基づく説は、12人の神が祝宴を催していた時に、招かれざる13人目の客として乱入したロキ2が、ずる賢いなどの性格とされ、ロキのせいでラグナロク(終末の日)を迎えたことに由来している、というものである。なお、北欧神話を基に生まれたとされるキリスト教神話ではサタンは13番目の天使ということになっているようだ。

13が「忌み数」とされるその他の説として、例えば、古代から暦等において時間や方位を表すのに60進法が採用され、その約数である12は、12時間、12か月、12方位等の形で、幅広く使用されていたのに対して、12の次で素数の13はこれらの調和を乱すものとして嫌われてきた、というものがある。これ以外にもいくつかの説があるようだ。

「13という数字に対する恐怖症」を、ギリシア語からtriskaidekaphobia(tris「3」kai「&」deka「10」phobia「恐怖症」:日本語でトリスカイデカフォビア)と呼んでいる。ただし、キリスト教圏でも必ずしも全ての国・地域で13が忌み数になっているわけではないようだ。

13が忌み数と認識されている国・地域等では、建物の13階は特別視され、(1)そもそも13階がない、(2)13階に別の名前を付与、(3)高層ビルの13階は機械室等に利用、(4)ホテルの13階は従業員用の施設として利用、ということになっているケースがあるようだ。さらに、ホテル等の部屋番号や飛行機の座席番号には13番がないということもあるようだ。因みに、日本では高さ制限が40mの地域に建設されるマンション等の場合、一階当たりの階高が3m程度だと、13階建てということになるが、13階が特別視されていることはないように思われる。
 
1 因みに、現在のグレゴリオ暦では、1年に、最低1回、最大で3回、13日の金曜日が現れる(2022年は5月13日の1回だけ、2023年は1月と10月の2回、2024年は9月と12月の2回)。
2 悪戯好きの神で、「閉ざす者」、「終わらせる者」の意味を有しているようだ。因みに、ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』に登場するローゲは、このロキのポジションに相当しているようだ。

数字の「13」を吉とするような国もある(あった)

米国は建国時の州が13州だったため、当初は建国に縁のある数字ということで、吉数とされていたようだ。例えば、米国の国璽(国家の表徴として押す璽(印章または印影))の表面の図柄を彩色した「国章」には、(1)13個の実と13枚の葉がついたオリーブの枝と13本の矢を掴む鷲、(2)鷲の胸に13本の縦縞模様(ストライプ)が描かれた盾、(3)鷲の頭上には13の星、が描かれており、さらに国璽の裏面には、13層のピラミッドが描かれている。しかし、現在では、米国でも13は忌み数となっているようだ。

また、中国の一部地域では、「十三」が「実生」(実るという意味)と発音が似ているということで、吉数とされているようだ。

ゴルゴ13

「13」という数字で思い出すのは、漫画の「ゴルゴ13」だろう。その名前の由来については、「ゴルゴタの丘でイエス・キリストに荊の冠をかぶせて殺した13番目の男」つまり、神に背を向けた、13番目という不吉な数字を背負った男という意味であると言われている。

トランプの1つの種類のカードの枚数は13枚

標準的な1組のトランプのカードは、スペード、ハート、ダイヤモンド、クラブのマークをもつ4種のスーツ(suits:絵柄マーク)からなり、各スーツにはA(ace)、K(king)、Q(queen)、J(jack)、10・9・8・7・6・5・4・3・2の13枚があり、これらの合計52枚とジョーカーが1枚ないしは2枚で構成されている。

各カードが13枚となっている理由については、いろいろな説があるが、基本的にはトランプが1年を表しているからと言われているようだ。即ち、トランプの1から13までの全ての数字を足すと91となることから、4種類で364となる。さらに、ジョーカーが1枚ないしは2枚あることで、これらを含めると1組のカードの合計が365ないしは366となり、1年の年数(うるう年も含む)を表していることになる、とされている。さらには、52枚のカードは1年52週を表しているとされる。

ということで、13が不吉な数と考えられているにもかかわらず、占いにおける1年を表すために1つの種類のカードが13枚になっていることになる。

因みに、4種類のカードは中世ヨーロッパにおける4つの異なる身分(王侯・貴族、農民、僧侶、商人)を表しており、トランプの起源であるとされるタロットカードが占いを受ける人の身分に応じて、カードを使い分ける必要があったことに由来しているようだ。

なお、4種類のカードは四季を表しており、13枚のカードが太陰暦による月の数、ただし太陽暦ではは月の数が12なので絵札は12枚あるとも言われているようだ。

なお、これに関連して、麻雀の配牌も13枚になっているが、その理由はよくわかっていないようだ。実は麻雀の役は14枚で成立する形になっており、3枚一組の4セットと2枚の対がアタマとなるのが基本的なものとなっているので、14枚がベースだと言えるかもしれない。

半正多面体(アルキメデスの立体)は13種類

半正多面体(semi-regular polyhedron)」 又は「アルキメデスの立体(Archimedean solid)と呼ばれるものは、凸な一様多面体のうち、正多面体以外のものを指しており、全部で13種類ある。

「正多面体(regular polyhedron)」又は「プラトンの立体(Platonic solid)」と呼ばれるものは、全ての面が同一多角形で構成され、かつ全ての頂点において接する面の数が等しい凸多面体のことをいう。正多面体が正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体の5種類しかないことについては、以前の研究員の眼「サッカーボールは球形なのか-馴染み深い白黒のサッカーボールは、切頂二十面体と呼ばれるものがベースだってこと知っていましたか-」(2018.6.11)で説明した。

そこで、紹介したサッカーボールの形である「切頂二十面体」がまさに半正多面体の1つとなっている。13種類の半正多面体は、切頂四面体、切頂六面体、切頂八面体、切頂十二面体、切頂二十面体、立方八面体、二十・十二面体、斜方立方八面体、斜方二十・十二面体、斜方切頂立方八面体、斜方切頂二十・十二面体、変形立方体、変形十二面体、となっている。名前だけ聞いていると何が何だかわからないが、実際にこれらのものがどのような形をしているのか、興味のある方は個別に調べてみていただきたい。ここで、「切頂(せっちょう)」と呼ばれる図形は、まさに元の正多面体等の角(頂点)を対称的に切り落とすことでできる立体となっている。

漢字の「十三」

漢字の「十三」については、文字通り「じゅうさん」と呼ぶ場合もあるが、それ以外の読み方をされることも多い。

最も有名と思われるものの1つが、大阪市淀川区の地名の「十三(じゅうそう)」ではないかと思われる。その由来については、淀川区の説明によれば、「西成郡の起点飛田(今の阿倍野)から古代の条里制で数えて十三条で、条がとれて十三になった」、「淀川で上流から13番目の渡しがあったから」等の説があるようだ。

「十三」については、他にも人名において使用される場合、「じゅうぞう」、「いちぞう」、「かずみ」といった読み方もある。

英語の13からは「-teen」の呼ばれ方がされる

英語で11は「eleven」、12は「twelve」と呼ばれるが、13から19までは「thirteen」というような形で「-teen」で呼ばれる。なお、ドイツ語においても、同様に12までは独自の呼称があるが、13から19までは「-zehn」という呼ばれ方になる。

この由来についてもいくつかの説があるようだ。例えば、1ダースや1グロスといったように12進法がベースになっているからとも言われているが、これだと20以降が「twenty-」と呼ばれていくことの説明が付きにくくなる。

一般的には、10進法をベースにしつつも、11と12については、ゲルマン祖語で「1つ余る」や「2つ余る」という意味の用語から由来して独自の呼称が付与された名残であると言われている。具体的には、elevenはゲルマン祖語の「ainlif」(英語で「one left(1つ余る)」)に由来し、twelveはゲルマン祖語の「twaliif」(英語で「two left(2つ余る)」)に由来していると言われているようだ。

大作曲家ワーグナーは「13」という数字がお気に入りだった

ドイツの大作曲家リヒャルト・ワーグナー(Richard Wagner)は、自分の名前の綴りが13文字だからという理由で、13という数字を好んで、13と言う数字に拘っていたと言われている。

彼が生まれたのは1813年であり、この生年の各桁の数字を足すと13になっている。さらに、彼の作品上演のために建設されたバイロイト祝祭劇場が『ニーベルングの指環』で開場したのは1876年8月13日だった。

因みに、ワーグナーが亡くなったのは1883年2月13日だった。

13年ゼミ(周期ゼミ、素数ゼミ)

前回の研究員の眼で紹介したように、13年ゼミというのは、「周期ゼミ」と呼ばれるものの1種で、「周期ゼミ」は一定の周期年数毎に大量に発生するセミのことを指している。17年ゼミと13年ゼミがあり、米国でのみ観測されるとされている。

その他に数字の「13」が現れてくる例

前回の数字の17が現れてくる例でも紹介したように、年忌法要は、「一周忌」以後、三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌等があり、「13」の数字が表れてくる。「十三回忌」は、没年の12年後に行われる法要である。これは、仏教において、「3」と「7」が特別視されていることによる。

2022年のNHKの大河ドラマのタイトル「鎌倉殿の13人」が示しているように、鎌倉時代の初期においては有力御家人13人による合議制が敷かれていた。

最後に

今回は数字の「13」について、それが現れてくる例やその理由等について、報告してきた。

「13」という数字は、日本においても西洋ほどではないにしても、不吉な数字との印象があり、一般的には良くないイメージで捉えられているように思われるが、実際には、そうしたイメージとは異なる多くの場面で「数字の13」が現れてくることが分かったと思われる。

クラシック音楽ファンの私としては、ワーグナーが拘っていた数字ということで、ベートヴェン等に関係している数字の「9」に次いで、特別な意味合いを有する数字であると再評価したいという感じがしている。

数字の「13」に対するイメージを是非見直していただければと思っている。
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中村 亮一 (なかむら りょういち)

研究・専門分野
保険会計・計理

(2022年06月13日「研究員の眼」)

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