コラム
2020年06月01日

数字の「7」に関わる各種の話題-「7」は何で人気が高い特別な数字として考えられているのか?-

保険研究部 常務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長   中村 亮一

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はじめに

数字の「7」と聞くと、多くの人は「ラッキー7」ということで、良い印象を持たれるのではないかと思われる。そのため、数字の人気度ランキング調査でもほぼトップにランクされるようである。数字の「7」は、一般的にはプラスのイメージで使用されるケースが多いものと思われるが、それ以外にもいろいろな場面で使用されている。

今回は、この数字の「7」について、それが使用されている例やその理由等について調べてみた。

数字の「7」はなぜ「ラッキー7」と呼ばれるのか

現在ラッキー7の用語は様々な場面で用いられるが、一般的には、英語の「lucky seventh」に由来しており、野球の7回の攻撃を意味している。1885年9月30日のシカゴ・ホワイトストッキングス(現シカゴ・カブス)の優勝がかかった試合の7回に、ホワイトストッキングスの選手が打ち上げた平凡なフライが強風に吹かれてホームランとなり、これが決め手となって、ホワイトストッキングスは優勝を決めた。勝利投手となったジョン・クラーソンがこの出来事のことを「lucky seventh」と語ったことから、これが「ラッキーセブン」の一般的な用法の語源であると言われている。

7回になると先発投手も疲れが出て、打者も投球に慣れてくる。さらには、投手交替についても、抑えの投手が登板する8回から9回に比べて実力の落ちるリリーフ投手が登板することが多い。従って、7回は得点のチャンスが生まれやすいと考えられている。

ただし、この背景にはそもそも「7」が幸運の数字であるとする古くからの西洋の思想があったと言われている。このあたりの状況について以下で報告する。

数字の「7」はなぜ西洋で特殊な数字なのか?

西洋において、数字の「7」が特殊な意味合いを有しているのは、旧約聖書の「創世記」に、「神が天と地と万象とを6日間で創造し、7日目を安息日(休息日)とした。」と記されていることに基づいている。これにより、数字の「7」は聖なる数であると考えられている。

この「7」を聖なる数とする考え方が、キリスト教にも引き継がれて、西洋一般に拡がっていったとされている。

また、これにより「1週間を7日」とする習慣が定着していったとも言われているが、これには別の説もあるようなので、この点については別途の研究員の眼で報告することにして、今回は深くは触れない。

なお、数字の「7」は、同様な由来から、「完全」又は「全て」を意味するとされている。この意味で使用されている用語はいくつかあるが、キリスト教に関連するものとしては、例えば以下の「七つの大罪」や「七元徳」が挙げられる。

七つの大罪

「七つの大罪」という表現が使われるが、ここでの「罪」というのは、人間を罪に導く可能性があると見做されてきた欲望や感情のことを指している。具体的にはカトリック教会では、「高慢」、「物欲」、「嫉妬」、「怒り」、「色欲」、「貪食」、「怠惰」を指している。

また、ローマ教皇庁は2008年3月に、「遺伝子改造」、「人体実験」、「環境汚染」、「社会的不公正」、「貧困」、「過度な裕福さ」、「麻薬中毒」を新たな七つの大罪として発表している。

七元徳

七元徳(しちげんとく)とは、カトリック教会の教義における7つの基本的な徳をいう。

古代ギリシアの知恵、勇気、節制、正義の4つの枢要徳に、『新約聖書』のパウロの手紙に見られる信仰、希望、愛の3つの徳を加えたものである。

7大陸と7つの海

「7大陸」や「7つの海」という言い方がされる。これについても「全ての」という意味合いが込められているものと思われる。

「7大陸」については、より一般的にはオリンピックの「五輪」で代表されるような「5大陸」で認識されることも多いと思うが、それらの概念は概ね以下の通りになっている。

5大陸:アメリカ大陸、アフリカ大陸、ヨーロッパ大陸、アジア大陸、オセアニア大陸(五輪)
又は アメリカ大陸、アフリカ大陸、ユーラシア大陸、オセアニア大陸、南極大陸

6大陸:アメリカ大陸、アフリカ大陸、ヨーロッパ大陸、アジア大陸、オセアニア大陸、南極大陸

7大陸:北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、アフリカ大陸、ヨーロッパ大陸、アジア大陸、
オセアニア大陸、南極大陸

このように見てみると、現在の感覚では「7大陸」との言い方がマッチしているといえるかもしれない。

7つの海の考え方についても、地域と時代によって異なるようであるが、現在は以下のように考えられている。

7つの海:北大西洋、南大西洋、北太平洋、南太平洋、インド洋、北極海(北氷洋)、南極海(南氷洋)

世界の七不思議

世界の七不思議というのは、古典古代(古代ギリシャ・ローマ時代)における7つの注目すべき建造物のことをいう。具体的には、以下の7つをいう。

(1) ギザの大ピラミッド
(2) バビロンの空中庭園
(3) エフェソスのアルテミス神殿
(4) オリンピアのゼウス像
(5) ハリカルナッソスのマウソロス霊廟
(6) ロドス島の巨像
(7) アレクサンドリアの大灯台

これらの殆どは地震や破壊などで消滅してしまい、「ギザの大ピラミッド」のみが唯一現存している。「エフェソスのアルテミス神殿」や「マウソロス霊廟」は遺構や遺跡がわずかに残っているが、「バビロンの空中庭園」や「ロドス島の巨像」は完全に破壊されて痕跡も残っていない。

なお、「現代版の世界の七不思議」あるいは「新・世界七不思議」を選定する動きもあり、スイスに本拠を置く「新世界七不思議財団」は、2007年に以下の7つを選出している。

(1) 中国の万里の長城
(2) インドの廟堂タージ・マハル
(3) イタリア・ローマの古代競技場コロッセオ
(4) ヨルダンの古代都市遺跡群ペトラ
(5) ブラジル・リオ・デ・ジャネイロのコルコバードのキリスト像
(6) ペルーのインカ帝国遺跡マチュ・ピチュ
(7) メキシコのマヤ遺跡チチェン・イッツァ

正七角形は定規とコンパスでは描けない

なお、数字の「7」が古代ギリシアの時代から特別な数字と考えられていた一つの理由として、「正七角形は定規とコンパスでは描けない」という事実があったようである。古代ギリシアにおいて、定規とコンパスが特別な意味合いを有していたことは、以前の研究員の眼「ギリシアの3大作図問題」でも報告した通りである。「正七角形は定規とコンパスでは描けない」最初の正多角形であったことから、数字の「7」は畏れられていた。

なお、「正七角形は定規とコンパスでは描けない」ことは、1796年にドイツの偉大な数学者ガウス(Gauss)によって初めて証明されている(これについてはまた別途の機会に報告したい)。

仏教における数字の「七」

仏教においても、例えば「初七日」や7日ごとの7回法要の最後の供養としての「四十九日の供養」という形で「七」は特別な数字と捉えられているようである。

さらに、仏教においては「七宝」と呼ばれる七種の宝があり、極楽浄土の荘厳さを表現する際のたとえとして用いられている。「七宝」とは、『無量寿経』においては「金、銀、瑠璃(るり)、玻璃(はり)、硨磲(しゃこ)、珊瑚(さんご)、瑪瑙(めのう)」とされ、『法華経』においては「金、銀、瑪瑙、瑠璃、硨磲、真珠、玫瑰(まいかい)」とされる。

七福神

さらに、日本において「7」を幸福な数として取り扱っている例として、「七福神」が挙げられる。

「七福神」は、福をもたらすとして日本で信仰されている七柱の神である。七柱は一般的には、恵比寿、大黒天、福禄寿、毘沙門天、布袋、寿老人、弁財天とされており、それぞれがヒンドゥー教、仏教、道教、神道など様々な背景を持っており、唯―純国産の神は恵比寿だけという国際色豊かな顔ぶれとなっている。

享和年間(1801~1803)に現在の七福神に定着したようであるが、それまでは三福神だったり五福神だったり、神々も一定ではなかったようである。

1オクターブは、ドレミファソラシ(ド)の7つの音?

以前の研究員の眼「数字の「12」が持つ意味とその不思議な魅力-「12」という数字は何でこんなに生活の多くの場面で使われているのか?-」(2017.10.2)で説明したように、実は「音楽の世界での平均律(1オクターブなどの音程を均等な周波数比で分割した音律)は、12平均律が一般的である(ピアノの鍵盤を見ていただいて、1オクターブは、ドからシまでに、白が7個と(半音の)黒の5個の合計12個の鍵盤がある)。これについては、「ドの周波数の2倍の周波数が1オクターブ上のドになるが、ドの周波数から5度ずつ周波数を高めていったところ12回繰り返したところで、オクターブ上のドの周波数と非常に近くなったため」との理由によると説明されているとのことだった。

従って、本来的には1オクターブは12音階あり、ここから7音を取り出したものが、「ドレミファソラシ」となっている。従って、当然半音で隣り合うところが2つ出来ることになり、それがたまたま、ミとファ、シとドの間となっている。これは、バッハの時代に、この響きが和音などを通じて最もいい響きになることから選ばれたとのことのようである。

さらに、数字の「7」はこんな場面でも使用されている

ジェームズ・ボンドはなぜ「007」なのか
これは、「ジェームズ・ボンドがロシアへの任務を負っていて、ロシアのISDコード(International Standard Dialing Codes)が007だから」ということのようである。

黒澤明監督の「七人の侍」はなぜ「七人」なのか
これについては、「黒澤明と「七人の侍」」という本でも明確な答えは書かれておらず、どうも必然的な理由はないようだ。結局は物語の展開の上で7人が最も適当な人数だったからのようである。

「親の七光り」の「七」の意味するところは?
これについては、具体的に、例えば財産や権力や社会的地位等の「七つ」の光があるというわけでもなく、大きな数を表すときに用いる数字として「七」が使用されているようだ1

同様に「七転八倒」や「七難八苦」における「七」も回数が多いことを示している。

「七変化」は、「一人の役者が7つの役をこなす舞台形式」のことをいい、 小道具や衣装を変え、一人の役者が目まぐるしく姿を変えていく。アジサイは、その色の多様さから「七変化」という異名を持っている。

このように「七」は「多くの」あるいは「多様な」を意味する形で使用されている。
 
1 因みに、同様な意味合いでは「10」が全部、「9」がほぼ全部、「8」が無限とほぼ同じようなニュアンスで使用される。
虹の色が7色というのは世界共通ではない
日本では虹の色は7色とされているが、虹の色の数については、文化や言語の影響もあり、色の区切りや見える色を何色とするかで、国や地域で異なっている。例えば、米国では虹は6色、ドイツでは5色とされている。この7色についても、「多くの」あるいは「多様な」という意味合いが含まれているようである。

七つ道具
七つ道具という表現は、七種の道具という意味で、もともとは物質的な道具についてこの表現が用いられていたが、現代では手法、思考法等幅広い分野で使用されている。「○○の七つ道具」という場合、7つの項目が挙げられるが、実際には、7種に限らず、ある事をするのに必要な一揃いの道具のことを指している。

なお、ここでの「7」は、先に述べた仏教の「七宝」に由来しているようである。

七夕
七夕は五節句のひとつで、縁起の良い「陽数」とされる奇数が連なる7月7日の夕べに行われるため「七夕の節句」と呼ばれている。

童話の世界における「7」という数字
グリム童話の「狼と七匹の子山羊」、「白雪姫」に出てくるのは「7人の小人」と「7」の数字が使われている。その明確な理由は明らかではないようだが、やはり「7」が西洋においては特別な数字だと見られていたことと関係しているのではないかと思われる。

最後に

今回は数字の「7」について、日常生活での幅広い使われ方とその理由等について、報告してきた。「7」という数字はラッキー7のイメージが強く、一般的には良いイメージで使われていると思われるが、実際にそれがどのような意味を有しているのか、あらためて考えてみると、なかなか面白い発見があったのではないかと思われる。

こうした些細なことから、知的探求を進めることに興味を感じていただければと感じた次第である。
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(2020年06月01日「研究員の眼」)

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