- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 消費者物価(全国25年6月)-コアCPIは25年8月に3%割れへ
NEW
2025年07月18日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.コアCPI上昇率は前月から0.4ポイント縮小

食料(生鮮食品を除く)の伸びはさらに高まったが、エネルギー価格の伸びが大きく鈍化したことがコアCPIを押し下げた。
生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比3.4%(5月:同3.3%)、総合は前年比3.3%(5月:同3.5%)となった。
コアCPIの内訳をみると、補助金制度の影響で、ガソリン(5月:前年比4.8%→6月:同▲1.8%)、灯油(5月:前年比8.5%→6月:同4.8%)の上昇率が大きく低下したことに加え、円高・原油安に伴う燃料費低下を受けて、電気代(5月:前年比11.3%→6月:同5.5%)、ガス代(5月:前年比5.4%→6月:同2.7%)の上昇率も鈍化したため、エネルギー価格の上昇率は5月の前年比8.1%から同2.9%へと大きく縮小した。
食料(生鮮食品を除く)は前年比8.2%(5月:同7.7%)と上昇率が前月から0.5ポイント拡大した。食料(生鮮食品を除く)は24年7月の前年比2.6%を底に11ヵ月連続で上昇率が高まった。米類(5月:同101.7%→6月:同100.2%)が2ヵ月連続で100%を超える上昇となる中、米の価格高騰がすし(弁当)B(前年比14.7%)、おにぎり(同19.1%)、冷凍米飯(同11.5%)、無菌包装米飯(同28.2%)など関連品目に波及している。
そのほか、チョコレート(同39.2%)、調理パスタ(同10.4%)、コーヒー豆(同40.2%)、果実ジュース(同17.5%)など幅広い品目で前年比二桁の高い伸びが続いている。
外食は前年比4.5%(5月:同4.4%)と上昇率が前月から0.1ポイント拡大した。外食は24年6月の前年比2.6%を底に12ヵ月連続で上昇率が高まった。
2.物価上昇品目数が7ヵ月ぶりに減少
3.コアCPI上昇率は25年8月に3%を割り込む見込み
食料(生鮮食品を除く)は24年7月の前年比2.6%を底に上昇率の拡大が続き、25年6月には同8.2%となった。上昇率は前回の上昇局面のピーク(23年8月の前年比9.2%)に近づいている。

これに対し、23年初以降の飲食料品の輸入物価上昇率はピーク時でも15%程度と前回の上昇局面の4分の1程度にとどまっているが、消費者物価の食料品は15%程度と輸入物価とほぼ等しい上昇率となっている。人件費や物流費の価格転嫁に加え、物価高が継続したことで企業の値上げに対する抵抗感が薄れていることがこの背景にあると考えられる。食料の上昇率は当面高止まりする可能性が高い。
一方、電気・都市ガス代の支援策は25年3月使用分(CPIヘの反映は4月)でいったん終了したが、7~9月使用分(CPIヘの反映は8~10月)で再開される。また、ガソリンは5/22から補助金を1リットル当たり10円に固定する制度が導入されていたが、原油価格高騰を受けて6/26から1リットル当たり175円を上回る部分を全て補助する仕組みに切り替えられることとなった。エネルギー価格は25年8月には前年比でマイナスとなる公算が大きい。
現時点では、コアCPI上昇率は、エネルギー価格の上昇率低下を主因として25年8月に9ヵ月ぶりに3%を割り込んだ後、年内は概ね2%台の推移が続くと予想している。
(2025年07月18日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/07/18 | 消費者物価(全国25年6月)-コアCPIは25年8月に3%割れへ | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/07/17 | 貿易統計25年6月-トランプ関税下でも米国向け輸出数量は横ばい圏で踏みとどまり、4-6月期の外需寄与度はプラスに | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/07/11 | トランプ関税の日本経済への波及経路-実質GDPよりも実質GDIの悪化に注意 | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/07/08 | 2025・2026年度経済見通し | 斎藤 太郎 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年07月18日
消費者物価(全国25年6月)-コアCPIは25年8月に3%割れへ -
2025年07月17日
貿易統計25年6月-トランプ関税下でも米国向け輸出数量は横ばい圏で踏みとどまり、4-6月期の外需寄与度はプラスに -
2025年07月16日
サステナビリティ情報開示の法制化の概要 -
2025年07月16日
ネットにおけるプライバシー権-投稿の削除と損害賠償 -
2025年07月15日
インド消費者物価(25年7月)~6月のCPI上昇率は+2.1%、食品価格の下落で6年ぶりの低水準に
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【消費者物価(全国25年6月)-コアCPIは25年8月に3%割れへ】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
消費者物価(全国25年6月)-コアCPIは25年8月に3%割れへのレポート Topへ