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- 消費者物価(全国25年5月)-コアCPIは食料中心に上昇率拡大も、夏場には3%割れへ
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2025年06月20日
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1.コアCPI上昇率は3ヵ月連続で拡大

食料(生鮮食品を除く)の伸びが一段と加速したことがコアCPIを押し上げた。一方、電気・都市ガス代の支援策はいったん終了したが、昨年5月に再生可能エネルギー発電促進賦課金単価の引き上げで急上昇した裏が出る形で電気代の伸びは鈍化した。
生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比3.3%(4月:同3.0%)、総合は前年比3.5%(4月:同3.6%)となった。
コアCPIの内訳をみると、補助金政策がいったん終了したことを受けて、ガス代(4月:前年比4.4%→5月:同5.4%)は上昇率が拡大したが、電気代(4月:前年比13.5%→5月:同11.3%)、ガソリン(4月:前年比6.6%→5月:同4.8%)、灯油(4月:前年比9.5%→5月:同8.5%)の上昇率が前月から鈍化したため、エネルギー価格の上昇率は4月の前年比9.3%から同8.1%へ縮小した。
食料(生鮮食品を除く)は前年比7.7%(4月:同7.0%)と上昇率が前月から0.7ポイント拡大した。食料(生鮮食品を除く)は24年7月の前年比2.6%を底に10ヵ月連続で上昇率が高まった。米類(4月:同98.4%→5月:同101.7%)が前月からさらに伸びを高めたことに加え、米の価格高騰がすし(弁当)B(前年比14.3%)、おにぎり(同19.2%)、冷凍米飯(同11.6%)、無菌包装米飯(同19.3%)など関連品目に波及している。
そのほか、チョコレート(同27.1%)、調理パスタ(同13.7%)、コーヒー豆(同28.2%)、果実ジュース(同13.5%)など幅広い品目で前年比二桁の高い伸びが続いている。
外食は前年比4.4%(4月:同4.1%)と上昇率が前月から0.3ポイント拡大した。外食は24年6月の前年比2.6%を底に11ヵ月連続で上昇率が高まった。
2.物価上昇品目数が6ヵ月連続で増加
3.コアCPI上昇率は夏場に3%を割り込む見込み

川上段階(輸入物価)の食料品価格の上昇率は23年夏頃に比べれば低水準にとどまっているが、川下段階(消費者物価)の価格転嫁率は当時よりも高まっている。飲食料品の輸入物価は20年秋頃から23年末にかけて約60%の急上昇となった。この間、消費者物価の食料品(除く生鮮食品)の上昇率は10%弱にとどまっていた。
これに対し、23年初以降の飲食料品の輸入物価上昇率は15%程度と前回の上昇局面の4分の1程度にとどまっているが、消費者物価の食料品は15%程度と輸入物価とほぼ等しい上昇率となっている。人件費や物流費の価格転嫁に加え、物価高が継続したことで企業の値上げに対する抵抗感が薄れていることがこの背景にあると考えられる。食料の上昇率は当面高止まりする可能性が高い。
一方、電気・都市ガス代の支援策は25年3月使用分(CPIヘの反映は4月)でいったん終了したが、7~9月使用分で再開される。また、ガソリンは5/22から補助金を1リットル当たり10円に固定する制度が導入されていたが、足もとの原油価格高騰を受けて6/26から1リットル当たり175円を上回る部分を全て補助する仕組みに切り替えられることとなった。エネルギー価格は25年夏場には前年比で若干のマイナスとなる公算が大きい。
現時点では、コアCPI上昇率は、エネルギー価格の上昇率低下を主因として25年8月に3%を割り込んだ後、年内は2%台の推移が続くと予想している。
(2025年06月20日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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