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2025年05月30日

雇用関連統計25年4月-失業率、有効求人倍率ともに前月と変わらず

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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1.失業率は前月から横ばいの2.5%

完全失業率と就業者の推移 総務省が5月30日に公表した労働力調査によると、25年4月の完全失業率は前月から横ばいの2.5%(QUICK集計・事前予想:2.5%、当社予想は2.6%)となった。

労働力人口が前月から2万人の減少となる中、就業者が前月から4万人減少し、失業者は前月から3万人増加の176万人(いずれも季節調整値)となった。失業率は変わらなかったが、前月に続き労働市場からの退出が増える中で失業者が増加しており、内容は悪い。
就業者数は前年差46万人増(3月:同44万人増)と33ヵ月連続で増加した。男女別には、男性が前年差9万人増と2ヵ月連続で増加、女性が前年差36万人増と38ヵ月連続で増加した。

産業別には、製造業(3月:前年差6万人増→4月:同17万人減)、卸売・小売業(3月:前年差0万人→4月:同9万人減)、宿泊・飲食サービス業(3月:前年差8万人増→4月:同7万人減)が減少に転じたが、医療・福祉(3月:前年差7万人増→4月:同27万人増)、生活関連サービス・娯楽業(3月:前年差4万人→4月:同9万人増)の増加幅が前月から拡大した。
産業別・就業者数の推移/雇用形態別雇用者数
雇用者数(役員を除く)は前年に比べ60万人増(3月:同60万人増)と38ヵ月連続で増加した。雇用形態別にみると、正規の職員・従業員数が前年差43万人増(3月:40万人増)と18ヵ連続、非正規の職員・従業員数が前年差17万人増(3月:同20万人増)と4ヵ月連続で増加した。

2.建設業、製造業の新規求人数が2年2ヵ月ぶりの増加

有効求人倍率の推移 厚生労働省が5月30日に公表した一般職業紹介状況によると、25年4月の有効求人倍率は前月から横ばいの1.26倍(QUICK集計・事前予想:1.26倍、当社予想も1.26倍)となった。有効求人数が前月比0.3%と2ヵ月連続の増加、有効求職者数が同0.2%と5ヵ月ぶりに増加した。

有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.08ポイント低下の2.24倍となった。新規求職申込件数が前月比5.2%の増加となり、新規求人数の増加幅(同1.6%)を上回った。
産業別新規求人数 新規求人数(原数値)は前年比2.2%(3月:同▲3.0%)と6ヵ月ぶりに増加した。産業別には、宿泊・飲食サービス業(3月:前年比3.3%→4月:同▲1.8%)が2ヵ月ぶりに減少し、生活関連サービス・娯楽業(3月:前年比▲6.9%→4月:同▲4.4%)は9ヵ月連続で減少したが、情報通信業(3月:前年比8.2%→4月:同9.0%)が高い伸びを続けたほか、建設業(3月:前年比▲2.4%→4月:同2.2%)、製造業(3月:前年比▲4.5%→4月:同3.4%)が23年2月以来、2年2ヵ月ぶりに増加に転じた。

失業率、有効求人倍率はともに横ばい圏内の動きが続いているが、先行きについては、米国の関税引き上げの影響で景気の不透明感が高まっており、労働市場にも悪影響が及ぶことが懸念される。

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(2025年05月30日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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