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2025年10月10日

企業物価指数2025年9月~国内企業物価の上昇率は前年比2.7%、先行きは鈍化予想~

経済研究部 研究員 佐藤 雅之

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1.国内企業物価の上昇率は前年比2.7%

企業物価指数の推移 日本銀行が10月10日に発表した企業物価指数によると、2025年9月の国内企業物価は、前年比2.7%(8月:同2.7%)と上昇率は前月と変わらなかった。

内訳をみると23類別中、19類別が上昇し、4類別が低下となった。25年7~9月使用分で電気・都市ガス代の支援策が再開されたが、前年は8月使用分から支援が実施され、補助額も前年のほうが大きかった。このため、25年8月は物価の押し下げ要因だったが、9月は押し上げ要因となっている。事業用電力は前年比1.6%(8月:同▲2.3%)とプラスに転じ、都市ガスは同▲3.5%(8月:同▲7.7%)とマイナス幅が縮小したことから、電力・都市ガス・水道は前年比0.7%(8月:同▲3.1%)とプラスに転じた。
一方、コメは高い伸びが続いているものの、前年の急上昇の裏が出やすくなっている。精米は前年比44.8%(8月:同72.4%)、玄米は同54.6%(8月:同73.5%)と前月から伸びが大幅に縮小し、農林水産物は前年比30.5%(8月:同41.0%)となった。そのほか、チョコレート(前年比32.4%)、コーヒー(同31.4%)、バター(同12.4%)、すし・弁当・おにぎり(同12.1%)などが2ケタの伸びとなり、飲食料品は前年比4.7%(8月:同4.9%)と高い伸びが続いている。
国内企業物価の推移(前年比寄与度)/国内企業物価の推移(前月比寄与度)

2.契約通貨ベースの輸入物価は前年比▲3.2%

9月の契約通貨ベースの輸入物価は、前年比▲3.2%(8月:同▲4.6%)と13ヵ月連続のマイナスとなった。内訳をみると、ガソリンが前年比▲3.4%と14ヵ月連続のマイナス、ジェット燃料油が同▲5.7%となったことなどから、石油・石炭・天然ガスは前年比▲11.6%(8月:同▲14.9%)と13ヵ月連続のマイナスとなった。

一方、前月比では0.1%(8月:同0.0%)と、前月から小幅にプラスとなった。内訳をみると、原油が前月比1.3%、ガソリンが同1.1%と上昇したことなどから、石油・石炭・天然ガスは前月比0.4%(8月:同0.3%)とプラスに寄与した。一方、コーヒー豆・カカオ豆が前月比▲11.5%(8月:同▲4.8%)、ジュース・ミネラル・ウォーターが同▲11.1%(8月:同▲4.7%)といずれもマイナス幅が拡大したことなどから、飲食料品・食料用農水産物は前月比▲0.8%となった。

9月の為替相場は、対ドルでは148円台(前月比0.2%)と8月から円安ドル高で推移したことで、円ベースの輸入物価は前月比0.3%(8月:同0.5%)と3ヵ月連続のプラスとなった。
輸入物価指数の前年比推移(契約通貨ベース)/輸入物価指数の前月比推移(契約通貨ベース)

3.先行きの国内企業物価の上昇率は鈍化すると予想

先行きの国内企業物価は、鈍化に向かうことが予想される。前述のとおり、コメは前年の急上昇の裏が出やすくなることから、コメ価格の前年比の伸びは次第に鈍化していくことが見込まれる。

足もとで円安ドル高が進行しているため、輸入物価の上昇リスクに留意が必要だが、コメを中心に食料品価格は鈍化していくことが見込まれ、国内企業物価の上昇率は2025年末にかけて前年比1%台へと低下していくと予想する。

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年10月10日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   研究員

佐藤 雅之 (さとう まさゆき)

研究・専門分野
日本経済

経歴
  • 【職歴】
     2020年4月 株式会社横浜銀行
     2024年9月 ニッセイ基礎研究所

    【加入団体等】
    ・日本証券アナリスト協会検定会員

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