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2025年10月10日

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■要旨
 
  1. 世界の実質GDP成長率は、2022年以降3%台半ばで推移しているが、少子高齢化を背景とした新興国の成長鈍化により、予測期間末の2035年には2%台後半まで低下することが予想される。
     
  2. 日本の2035年度までの10年間の実質GDP成長率は平均1.0%と予想する。潜在成長率は足もとのゼロ%台後半から2020年代後半に1%程度まで高まった後、少子高齢化の更なる進展に伴い2030年代前半にゼロ%台後半まで鈍化することが見込まれる。
     
  3. 消費者物価上昇率(除く生鮮食品)は、今後10年間の平均で2.0%と予想する。財価格は為替レートや国際商品市場の動向によって上下に振れるものの、人件費の増加を価格転嫁する動きが広がることにより、賃金との連動性が高いサービス価格は安定的に推移するだろう。
     
  4. 日本銀行は、消費者物価が「物価安定の目標」の2%の伸びを続けるもとで段階的に利上げを実施し、政策金利は2028年度に1.50%まで引き上げられるだろう。長期金利は、政策金利の引き上げに加え、長期国債の買い入れ減額の継続が上昇圧力になることから、2035年度には2%台半ばまで上昇すると予想する。

 
実質GDP成長率の推移
■目次

1.トランプ大統領の政策が世界経済の新たな不確実性に
  (トランプ大統領は広範囲・高強度の関税政策を実施)
  (製造業景況感や消費者景況感は弱含み)
  (経済を取り巻くリスクは大きい)
  (世界成長率は中期的に緩やかに減速)
2.海外経済の見通し
  (米国経済―トランプ政権の関税・移民政策により、当面は潜在成長率を下回る)
  (ユーロ圏経済-競争力強化と第2次トランプ政権への対応が注目点)
  (中国経済-今後10年にわたり成長率は引き続き鈍化、構造改革は正念場に)
  (インド経済-人口ボーナス期の好循環により6%台の高成長軌道を保つ)
  (ASEAN経済-域内外との連携強化により成長ポテンシャルを維持)
3.日本経済の見通し
  (実質家計消費は依然としてコロナ禍前の水準を下回る)
  (高齢化による個人消費への影響)
  (「金利のある世界」復活で、家計の利子所得は増加へ)
  (潜在成長率は1%程度まで回復した後、徐々に低下)
  (今後10年間の実質GDP成長率は平均1.0%を予想)
  (今後10年間の消費者物価上昇率は平均2.0%を予想)
  (インバウンド需要はコロナ禍前を上回る)
  (基礎的財政収支は小幅な赤字が続く)
  (経常収支は黒字幅の縮小傾向が続く)
4.金融市場の見通し
  (日本の金融政策と金利)
  (米国の金融政策と金利)
  (ユーロ圏の金融政策と金利)
  (ドル円レート)
5.代替シナリオ
  (楽観シナリオ)
  (悲観シナリオ)
  (シナリオ別の金融市場見通し)

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年10月10日「Weekly エコノミスト・レター」)

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