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- コロナ禍で増えるフリマアプリの利用-牽引役は学生など若者と子育て世帯、シニアでもじわり増加
2021年09月24日
1――コロナ禍でプラス・マイナス両面の影響を受けるシェア経済~フリマアプリなどの利用増で市場拡大
コロナ禍で外出が自粛され、非接触志向が高まることで、旅行やレジャーなどの外出を伴う消費行動が大幅に減る一方、食事のデリバリーやネットショッピング、動画配信サービスの利用などの巣ごもり消費が活発化している。コロナ前に急成長していたシェアリングエコノミーも、これらの行動変容の影響を受けている。その影響にはマイナスとプラス両面があり、例えば、民泊や会議室などのスペースのシェアでは、旅行での利用は減る一方、テレワーク向けの利用は増えている(図表1)。また、モノのシェアでは、外出自粛に伴って、ファッションなどのレンタル(シェアリング)サービスの利用は減る一方、ネットショッピングの代替としてフリマアプリなどの利用は増えているようだ。なお、フリマアプリの利用については、図表1の要因に加えて、家で過ごす時間が増えたことで、不要品を処分する時間が増えた影響もあるだろう。
これらの影響を合わせると、2018年度から2020年度にかけて、市場規模は、スペースのシェア(5,039億円→3,249億円、▲1,790億円、▲35.5%)やクラウドファンディングなどのお金のシェア(4,587億円→3,439億円、▲1,148億円、▲25.0%)では減少する一方、モノのシェア(5,201億円→9,577億円、+4,376億円、+84.1%)やカーシェアなどの移動手段のシェア(1,935億円→2,313億円、+378億円、+19.5%)、クラウドソーシングなどのスキルのシェア(2,111億円→2,425億円、+314億円、+14.9%)では増加している。特にモノのシェアが大きく伸びているが、フリマアプリ国内大手のメルカリは2021年6月期決算で初の通期黒字を達成するなど好調な業績を記録している。
これらの結果、シェアリングエコノミー全体の市場規模も拡大している(1兆8,874億円→2兆1,004億円、+2,130億円、+11.3%)。
ニッセイ基礎研究所では、2020年6月から、およそ3ヶ月毎に全国の男女約2千名を対象に「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査1」を実施しており、フリマアプリをはじめとした一部のシェアリングサービスの利用状況を捉えている。本稿では、コロナ禍で特に利用増加の目立つフリマアプリに注目し、どのような消費者層で利用が活発なのかを見ていきたい。
1 ニッセイ基礎研究所「2020・2021年度特別調査 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」、第1回は2020年6月(有効回答数2,062)、第2回は9月(2,066)、第3回は12月(2,069)、第4回は2021年3月(2,070)、第5回は7月(2,582)に実施。それぞれ全国の20~69歳(第5回は74歳まで)の男女を対象にインターネットで調査。株式会社マクロミルのモニターを利用。
これらの結果、シェアリングエコノミー全体の市場規模も拡大している(1兆8,874億円→2兆1,004億円、+2,130億円、+11.3%)。
ニッセイ基礎研究所では、2020年6月から、およそ3ヶ月毎に全国の男女約2千名を対象に「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査1」を実施しており、フリマアプリをはじめとした一部のシェアリングサービスの利用状況を捉えている。本稿では、コロナ禍で特に利用増加の目立つフリマアプリに注目し、どのような消費者層で利用が活発なのかを見ていきたい。
1 ニッセイ基礎研究所「2020・2021年度特別調査 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」、第1回は2020年6月(有効回答数2,062)、第2回は9月(2,066)、第3回は12月(2,069)、第4回は2021年3月(2,070)、第5回は7月(2,582)に実施。それぞれ全国の20~69歳(第5回は74歳まで)の男女を対象にインターネットで調査。株式会社マクロミルのモニターを利用。
2――コロナ禍におけるフリマアプリ利用状況~若者、子育て世帯などで利用率高く、コロナ禍で利用増
1|全体の状況~コロナ禍でフリマアプリ利用者層も、利用を増やした層もじわり拡大
20~69歳(2021年7月の第5回調査のみ20~74歳)を対象に、コロナ前(2020年1月頃)と比べたフリマアプリの利用の増減を尋ねたところ、全体から「利用していない」割合を差し引いたフリマアプリ利用率は、2020年6月から9月にかけてやや上昇し、その後はおおむね横ばいで推移している(図表3)。なお、2020年6月と2021年7月を比べると、利用率は33.7%から38.1%(+4.4%pt)へとやや上昇している。
利用者の内訳を見ると、コロナ前と利用が変わらない割合は約2割(利用者のうち約6割)を占めて高いものの、増加層の占める割合は上昇しており、2020年6月から2021年7月にかけて、7.5%から12.0%(+4.5%pt)へと上昇している(利用者のうち約2割→3割)。
つまり、コロナ禍においてフリマアプリの利用者層も、利用が増えた層もじわりと拡大している。
20~69歳(2021年7月の第5回調査のみ20~74歳)を対象に、コロナ前(2020年1月頃)と比べたフリマアプリの利用の増減を尋ねたところ、全体から「利用していない」割合を差し引いたフリマアプリ利用率は、2020年6月から9月にかけてやや上昇し、その後はおおむね横ばいで推移している(図表3)。なお、2020年6月と2021年7月を比べると、利用率は33.7%から38.1%(+4.4%pt)へとやや上昇している。
利用者の内訳を見ると、コロナ前と利用が変わらない割合は約2割(利用者のうち約6割)を占めて高いものの、増加層の占める割合は上昇しており、2020年6月から2021年7月にかけて、7.5%から12.0%(+4.5%pt)へと上昇している(利用者のうち約2割→3割)。
つまり、コロナ禍においてフリマアプリの利用者層も、利用が増えた層もじわりと拡大している。
2|性年代別~男女とも若いほど利用率が高く、30歳代を中心にコロナ禍で利用増、シニアでもじわり増
性年代別に見ると、利用率は男女とも若いほど高い(図表4)。また、男女の利用率を比較すると、20・30歳代、50歳代では同程度だが、40歳代や60歳代では男性の利用率が女性をやや上回る。
コロナ禍における利用率の推移を見ると、男性では30歳代以上はおおむね上昇傾向にあり、30・40歳代で比較的堅調に伸びている。2020年6月と2021年7月を比べると、30歳代では38.9%から50.0%(+11.1%pt)、40歳代では34.3%から41.1%(+6.8%pt)へと1割前後上昇している。女性では全ての年代でおおむね上昇傾向にあり、特に20~40歳代の伸びが目立つ。2020年6月と2021年7月を比べると、20歳代では43.3%から64.2%(+20.9%pt)へと実に約2割も上昇しており、30・40歳代でも6%程度上昇している。なお、男女とも50・60歳代でもじわりと利用が増えており、2020年6月と2021年7月を比べると、利用率はそれぞれ+4%前後上昇している。
コロナ前より利用が増えた層の割合は、男女とも利用率の傾向とおおむね一致しており、30・40歳代を中心に上昇傾向が目立つ。2020年6月と2021年7月を比べると、男性では30歳代で7.4%から19.7%(+12.3%pt)、女性では20~50歳代でそれぞれ6~8%pt程度上昇している。
性年代別に見ると、利用率は男女とも若いほど高い(図表4)。また、男女の利用率を比較すると、20・30歳代、50歳代では同程度だが、40歳代や60歳代では男性の利用率が女性をやや上回る。
コロナ禍における利用率の推移を見ると、男性では30歳代以上はおおむね上昇傾向にあり、30・40歳代で比較的堅調に伸びている。2020年6月と2021年7月を比べると、30歳代では38.9%から50.0%(+11.1%pt)、40歳代では34.3%から41.1%(+6.8%pt)へと1割前後上昇している。女性では全ての年代でおおむね上昇傾向にあり、特に20~40歳代の伸びが目立つ。2020年6月と2021年7月を比べると、20歳代では43.3%から64.2%(+20.9%pt)へと実に約2割も上昇しており、30・40歳代でも6%程度上昇している。なお、男女とも50・60歳代でもじわりと利用が増えており、2020年6月と2021年7月を比べると、利用率はそれぞれ+4%前後上昇している。
コロナ前より利用が増えた層の割合は、男女とも利用率の傾向とおおむね一致しており、30・40歳代を中心に上昇傾向が目立つ。2020年6月と2021年7月を比べると、男性では30歳代で7.4%から19.7%(+12.3%pt)、女性では20~50歳代でそれぞれ6~8%pt程度上昇している。
3|ライフステージ別~子育て世帯で利用率高く、コロナ禍で利用増
ライフステージ別に見ると、利用率は第一子誕生から中学校入学までの子どもの年齢の低い子育て世帯を中心に高い(図表5)。なお、未婚・独身と第一子独立(結婚や就職)の利用率は同程度である。
利用率の推移を見ると、全てのライフステージでおおむね上昇傾向にあり、子育て世帯を中心に伸びが目立つ。2020年6月と2021年7月を比べると、第一子高校入学では30.9%から46.4%(+15.5%pt)、第一子小学校入学では41.9%から54.3%(+12.4%pt)へとそれぞれ1割以上上昇している。
コロナ前より利用が増えた層の割合は、利用率の傾向とおおむね一致しており、子育て世帯を中心に上昇している。2020年6月と2021年7月を比べると、第一子高校入学では1.8%から17.9%(+16.1%pt)、第一子中学校入学では6.3%から18.8%(+12.5%pt)、第一子小学校入学では8.1%から18.9%(+10.8%pt)へとそれぞれ1割以上上昇している。なお、第一子独立でも2.2%から11.8%(+9.6%pt)へと約1割上昇している。
ライフステージ別に見ると、利用率は第一子誕生から中学校入学までの子どもの年齢の低い子育て世帯を中心に高い(図表5)。なお、未婚・独身と第一子独立(結婚や就職)の利用率は同程度である。
利用率の推移を見ると、全てのライフステージでおおむね上昇傾向にあり、子育て世帯を中心に伸びが目立つ。2020年6月と2021年7月を比べると、第一子高校入学では30.9%から46.4%(+15.5%pt)、第一子小学校入学では41.9%から54.3%(+12.4%pt)へとそれぞれ1割以上上昇している。
コロナ前より利用が増えた層の割合は、利用率の傾向とおおむね一致しており、子育て世帯を中心に上昇している。2020年6月と2021年7月を比べると、第一子高校入学では1.8%から17.9%(+16.1%pt)、第一子中学校入学では6.3%から18.8%(+12.5%pt)、第一子小学校入学では8.1%から18.9%(+10.8%pt)へとそれぞれ1割以上上昇している。なお、第一子独立でも2.2%から11.8%(+9.6%pt)へと約1割上昇している。
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経歴
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
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