2021年04月12日

2020年度特別調査 「第4回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」 調査結果概要

生活研究部 上席研究員 久我 尚子

井上 智紀

生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子

生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 坊 美生子

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※ 調査結果内容の詳細については、全文ダウンロード(PDF)よりご覧ください。

1――調査概要

調査目的:
新型コロナウイルスの感染拡大によって暮らしが激変する中で、消費行動や働き方、生活不安などの状況を把握し、ウィズコロナ/アフターコロナの行動を予測する。

調査時期:
2021年3月26日~29日(次回は2021年6月頃の予定)

調査対象:
全国の20~69歳の男女(株式会社マクロミルのモニター)

調査方法:
インターネット調査

有効回答数:
2,070
 
調査内容:
 1|トピックス
 (1) 新型コロナウイルスのワクチン接種意向
 (2) コロナ禍における仕事の変化

2|新型コロナによる行動変容
 (1) 店舗やネットショッピングの利用
 (2) シェアリングサービスの利用
 (3) 移動手段の利用
 (4) 食事サービスの利用
 (5) メディアの利用
 (6) 働き方

3|新型コロナによる生活不安
 (1) 感染に関わる不安
 (2) 家族関連不安(子どもや高齢家族)
 (3) 経済不安
 (4) 人間関係不安
 (5) 働き方不安

4|今後の見通し
 (1) 感染拡大の収束・経済の見通し
 (2) 政治・政策の見通し
 (3) 生活行動の見通し
 (4) 家庭生活の見通し
 (5) 働き方の見通し

5|回答者プロフィール
 
※ 調査結果の詳細については、随時、レポート等で公表予定。

2――調査結果のポイント

1|トピックス

(1) 新型コロナウイルスのワクチン接種意向
  • ワクチン接種については過半数がしばらく様子を見たいと考えている。感染による重篤化リスクの高い高年齢ほど、すぐにでも接種したいという積極層が多く、60歳代では約4割を占める。一方、重篤化リスクの低い若者ほど消極層が多く、20歳代で約4分の1を占める。
     
  • 持病があったり、肥満であるとワクチン接種に積極的であり、約35%がすぐにでも接種したいと考えている。また、妊娠中・授乳中であると約6割がしばらく様子を見たいと考えている。
     
  • ワクチン接種に積極的ではない理由の首位は副反応への心配で過半数を占める。そのほか、副反応の情報の少なさや安全性・効果が確認できていないことなどが続く。
     
  • ワクチン接種に積極的ではない理由は、高年齢ほど副反応への心配や情報の少なさ、安全性や効果が確認できていないことが多い。一方、若いほど注射が苦手であることや重症化しないと思うことなどが多い傾向がある。
     
  • 特に、妊娠中・授乳中であるとワクチン接種による副反応への心配や安全性・効果が確認できていないことなどへの懸念が強い。また、持病があったり、肥満である場合も同様の懸念が強い。

(2) コロナ禍における仕事の変化
  • 職業によらず8割以上はコロナ前と仕事(職業や勤め先)は変わっていない。一方、パート・アルバイトや自営業・自由業では転職や失業などコロナ禍の影響もうかがえる。
     
  • 職業によらず約7割はコロナ前と就労収入は変わっていない。一方、就労収入増加層は公務員で多く、減少層は非正規雇用者や自営業・自由業で多いなど、雇用の安定性による違いがうかがえる。
2|新型コロナによる行動変容
  • コロナ禍で、キャッシュレス決済サービスやネットショッピングなどのデジタル手段の利用は引き続き増えている。3月の増加層はキャッシュレス決済サービスは約4割、ネットショッピングは約3割を占め、どちらも昨年6月より1割程度増えている。一方、店舗は引き続き利用控えが見られるが、9月以降、おおむね変わっていない。ただし、店舗によって温度差があり、スーパーなど主に食料や日用品を購入する店舗では、減少層は2割台だが、主に衣料品や贅沢品を購入するデパートやなどでは約4割を占める。
     
  • シェアリングサービスでは、コロナ禍で、フリマアプリの売買は増えており、3月の増加層は約1割を占める。その他のサービスでは、減少層が増加層をやや上回る。なお、全体的に3月は利用者層が秋冬よりも減っている。
     
  • 移動手段では、自家用車や自転車などのセルフ手段の利用が引き続き増加傾向にある。3月の増加層は自家用車は約2割、自転車は約1割を占め、自家用車は6月より約1割増えている。一方、公共交通機関は引き続き利用控えが見られるが、全体的に利用していない層が減っており、必要に応じて利用を再開している様子がうかがえる
     
  • 食事サービスの利用では、テイクアウトやデリバリーなどの中食手段の利用は増えているが、テイクアウトは増加が続く一方、デリバリーは9月以降、おおむね変わらない。3月の増加層はテイクアウトは約3割だが、デリバリーは約15%を占める。外食は引き続き利用控えが目立つとともに、9月以降、利用控えの傾向がやや強まっている。3月の減少層は過半数を占める。
     
  • メディアの利用では、すべてのメディアで引き続き利用増加が目立つ。新聞や雑誌の増加層はやや減っているものの、その他は、おおむね同水準を維持している。
     
  • 働き方では、引き続きテレワークによるデジタル行動が増え、対面のリアル行動が減っている。デジタル行動では、オンライン会議や在宅勤務の3月の増加層は約2割を占め、6月以降、おおむね変わっていない。一方、リアル行動では、出張や会食で減少層はやや増えているが、全く実施していなかった層での再開の動きがうかがえる。
3|新型コロナによる生活不安
  • 感染に関わる不安では、依然として健康状態の悪化や治療・検査を受けられないこと、世間からの偏見などに5~6割が不安を感じているものの、全体的に12月頃をピークにやや弱まっている。
     
  • 家族関連不安では、子どもの休校関連の不安は6月頃から学校が再開されて以降、弱まっている。高齢家族の生活維持の難しさや運動機能・認知機能の低下への不安は、6月よりやや強いものの(不安層は約4割)、9月以降、おおむね弱まっている。
     
  • 日本経済や世界経済などマクロ環境については約6割、自分や家族の収入減少や失業などのミクロ環境については4割前後が不安を感じているものの、全体的に不安は弱まっている。
     
  • 人間関係不安(不安層は2~3割)は感染不安や経済不安より弱いが、不安が弱まる傾向は見られない。特に、友人との距離や非対面コミュニケーションによるトラブル増加、出会いの減少では9月以降、不安が増した状況が続いている。
     
  • 在宅勤務が増えることによる不安(不安層は2割前後)は6月以降、おおむね変わらないものが多い。その中では、在宅勤務ができる仕事ではないために継続しにくくなることや集中力・モチベーションの低下への不安が比較的強い。
4|今後の見通し
  • 半年以内の感染拡大の収束や1年以内の経済・雇用回復の見通しは、引き続き否定的な見方が多く、6割以上が否定的。日本経済や雇用の見通しは、6月以降、おおむね変わらないが、感染拡大の収束については悲観的になっている。
     
  • デジタル化の進展や政治への関心の高まり、マイナンバーカードの取得率の高まりなど、政治・政策の見通しでは、長引くコロナ禍で関心が薄れたためか、6月以降、引き続き、全体的に肯定的な見方が弱まる傾向が続いている。
     
  • 密を避ける行動の習慣化やオンラインサービスなどのデジタル化の進展の見通しでは、長引くコロナ禍での関心の薄れ、あるいは、新型コロナウイルスと共存する生活に慣れた影響か、6月以降、全体的に肯定的な見方が弱まっている。
     
  • 家庭生活の見通しでは、産科等への通院や乳幼児の感染リスクから出産をためらい、少子化がさらに進行することについて、約4割がそう思っており、6月より増えている。
     
  • 働き方の見通しでは、郊外居住の増加に肯定的な見方がやや増えている。一方、エッセンシャルワーカーの評価の高まりについては、長引くコロナ禍で関心が薄れたためか、肯定的な見方が弱まっている。また、在宅勤務による成果主義への移行や自由時間の増加などについても、関心の薄まりや在宅勤務慣れなどの影響か、肯定的な見方がやや弱まっている。

<この調査に関するお問い合わせ先>
 pr_corona@nli-research.co.jp

(2021年04月12日「その他レポート」)

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