2020年10月15日

2020年度特別調査 「第2回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」 調査結果概要

生活研究部 上席研究員 久我 尚子

井上 智紀

生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子

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※ 調査結果内容の詳細については、全文ダウンロード(PDF)よりご覧ください。

1――調査概要

調査目的:
新型コロナウイルスの感染拡大によって暮らしが激変する中で、消費行動や働き方、生活不安などの状況を把握し、ウィズコロナ/アフターコロナの行動を予測する。

調査時期:
2020年9月25日~28日(次回は12月下旬予定)

調査対象:
全国の20~69歳の男女(株式会社マクロミルのモニター)

調査方法:
インターネット調査

有効回答数:
2,066
 
調査内容:
 1|トピックス
 (1) GoToトラベルおよびGoToイートの利用意向
 (2) 新型コロナウイルス接触確認アプリの利用意向

2|新型コロナによる行動変容
 (1) 店舗やネットショッピングの利用
 (2) シェアリングサービスの利用
 (3) 移動手段の利用
 (4) 食事サービスの利用
 (5) メディアの利用
 (6) 生活時間
 (7) 働き方

3|新型コロナによる生活不安
 (1) 感染に関わる不安
 (2) 家族関連不安(子どもや高齢家族)
 (3) 経済不安
 (4) 人間関係不安
 (5) 行動不安
 (6) 働き方不安

4|今後の見通し
 (1) 感染拡大の収束・経済の見通し
 (2) 政治・政策の見通し
 (3) 生活行動の見通し
 (4) 家庭生活の見通し
 (5) 働き方の見通し

5|回答者プロフィール
 
※ 調査結果の詳細については、随時、レポート等で公表予定。

2――調査結果のポイント

1|トピックス
 
  • 7月から開始したGoToトラベルの利用者(予約済み含む)は15.2%、9月から開始したGoToイートは1.4%。検討中も含めた利用意向あり層は、GoToトラベルは47.2%、GoToイートは50.8%を占める。一方で、現在のところ、どちらも約半数は利用するつもりはない。
     
  • GoToトラベルやGoToイートの非利用理由で最も多いのは、国内の感染がおさまっていないため。一方でGoToイートはキャンペーンの分かりにくさも障壁。どちらもキャンペーン自体は広く認知。
     
  • 感染状況が改善されれば、利用消極層(現在「検討中」か「利用(予約)するつもりはない」)のうち、 GoToトラベルは約半数、GoToイートは約6割に、今後の利用意向あり。
     
  • 新型コロナウイルス接触確認アプリは、9月末の利用積極層は36.3%で、6月末(41.3%)を下回る。
     
  • 新型コロナウイルス接触確認アプリに対して、感染の早期収束の期待や優先的に検査が受けられることなど好意的な意見も約2割を占める一方、感染予防への効果が期待できないという意見が約4分の1を占める。
2|新型コロナによる行動変容
 
  • ビフォーコロナと比べて、買い物では、デジタル手段の利用が増える一方、リアル店舗の利用は減っている。利用増加層は「キャッシュレス決済サービス」で33.7%、「ネットショッピング」で29.3%、利用減少層は「デパートやショッピングモール」で42.1%、「スーパー」や「コンビニエンスストア」、「ドラッグストア」では約2割を占める。6月末と比べると、ウィズコロナにおいて、デジタル手段の利用は一層増加。リアル店舗の利用は、業態によって温度差はあるものの、徐々に回復傾向。
     
  • シェアリングサービスでは、利用増加層は「フリマアプリでの売買」で9.7%を占めるが、その他は利用減少層が利用増加層を若干上回る。6月末と比べると、ウィズコロナにおいて、シェアリングサービスの利用は、全体的に徐々に回復傾向。
     
  • 移動手段の利用では、私的手段の利用は増える一方、公共交通機関の利用は減っている。利用増加層は「自家用車」で17.4%、「自転車」で10.2%、利用減少層は「電車やバス」で36.2%、「飛行機」で21.0%、「タクシー」で15.4%を占める。6月末と比べると、ウィズコロナにおいて、私的手段の利用は一層増加。公共交通機関の利用は、手段によって温度差はあるものの、徐々に回復傾向。
     
  • 食事サービスの利用では、テイクアウトやデリバリーなどの中食手段の利用は増える一方、飲食店での外食は減っている。利用増加層は「テイクアウトサービス」は25.2%、「デリバリーサービス」は14.2%、利用減少層は「飲食店の店内での飲食」で54.4%を占める。6月末と比べると、ウィズコロナにおいて、中食手段の利用は一層増加。飲食店での外食は、未だ利用減少が過半数を占めるものの、徐々に回復傾向。
     
  • メディアの利用は、すべてのメディアで1~3割程度、利用が増えている。利用増加層は「テレビ」は34.0%、「ネットサーフィン」は30.0%、「動画配信サービス」は24.5%、「SNS」は21.0%、「本や漫画(電子書籍含む)」は19.8%、「新聞や雑誌(電子書籍含む)」は11.8%、「ラジオ」は9.3%を占める。6月末と比べると、ウィズコロナにおいて、メディアの利用は全体的に増えた状況が続いている。
     
  • 生活時間では、家の中で過ごす時間は増える一方、外での活動も含む「交際やつき合い時間(オンライン含む)」は減っている。増加層は「家族と過ごす時間」や「休養・くつろぎの時間」、「家事時間」をはじなどの家の中で過ごす時間で1~3割程度、減少層は「交際やつき合い時間(オンライン含む)」で45.9%を占める。6月末と比べると、ウィズコロナにおいて、家の中で過ごす時間が増えた状況が続いている。
     
  • 働き方では、テレワークなどのデジタル行動が増え、対面のリアル行動が減っている。増加層は「オンライン会議や打合せ」で22.4%、「在宅勤務などのテレワーク」で16.7%、減少層は「上司や同僚との会食」で34.9%、「労働時間」で23.9%、「上司や同僚との日常的なコミュニケーション」で22.9%、「出張」で22.3%、「勤務先への出社」で22.3%を占める。6月末と比べると、ウィズコロナにおいて、デジタル行動が増えてリアル行動が減った状況が続いているが、出社がやや増え、出張や会食などが徐々に再開。
3|新型コロナによる生活不安
 
  • 感染に関わる不安では、健康状態の悪化や世間からの偏見、適切な治療や検査を受けられないことに半数以上が不安を感じている。6月末と比べると、ウィズコロナにおいて、感染による健康状態の悪化への不安や世間の偏見などへの不安はやや増している。
     
  • 家族関連不安では、子どもの休校による学習の遅れや成長の不十分さなどについては約3割(該当者の過半数)が不安を感じている。高齢家族の運動不足による機能低下や生活維持の難しさなどについては約4割(該当者の約半数)が不安を感じている。6月末と比べると、ウィズコロナにおいて、子どもについての不安は概ね変わらないが、高齢家族についての不安は増している。
     
  • 経済不安では、日本経済や世界経済のマクロ経済悪化については6割以上、雇用環境の悪化や収入減少については約半数、東京五輪非開催による景気悪化については約4割が不安を感じている。6月末と比べると、ウィズコロナにおいて、東京五輪非開催による景気悪化やマクロ経済悪化についての不安はやや和らいでいる。
     
  • 人間関係不安では、不安層はいずれも3割台以下だが、6月末と比べると、ウィズコロナにおいて不安が増している。特に、友人との距離や非対面コミュニケーションが増えることによるトラブル、新たな出会いの減少、一人の時間が減ることなどで不安が増している。
     
  • 行動不安では、店舗での買い物や外食については約半数、電車やバスなどの利用は約4割、飛行機の利用約3割、タクシーの利用は約2割が不安を感じている。6月末と比べると、ウィズコロナにおいて、外食への不安はやや和らいでいる。
     
  • 働き方不安で最も強いのは、在宅勤務ができないために仕事を継続しにくくなることで約3割が不安を感じている。このほか、集中力の低下や労働時間が長くなること、コミュニケーションの取りにくさ、成果主義への移行は約2割が不安を感じている。
4|今後の見通し
 
  • 感染拡大の収束や経済の見通しでは、6月末から引き続き、ネガティブな見方が多い。1年以内の雇用環境の回復や東京五輪の”完全な形”での開催は約65%、半年以内の世界や国内経済の回復、感染拡大の収束は約6割がそう思わない。一方、ワクチンの開発についての見通しは、やや明るくなっている。
     
  • デジタル化の進展やマイナンバーカードの取得率の高まりなど、政治・政策の見通しでは、6月末と比べて、そう思う層は減少傾向。特に、「給付金の申請などからマイナンバーカードの取得率が高まる」については、そう思う層は▲8.6%pt低下。
     
  • 生活行動の見通しでは、社会的距離を保つ行動の習慣化は65.2%、キャッシュレス決済やオンラインサービスが好まれるようになることについては約半数がそう思う。6月末と比べても概ね変わらない。
     
  • 家庭生活の見通しでは、そう思う層は「家で過ごす時間が増え、より家族をベースとした生活になる」で41.1%を占める一方、「(産科等への通院や乳幼児の)感染リスクから出産をためらい、少子化がさらに進行する」は36.2%を占める。6月末と比べても概ね変わらない。
     
  • 働き方の見通しでは、エッセンシャルワーカー(スーパーや宅配サービスなどの生活基盤を支える職種)の価値の高まりについて、約半数がそう思う。また、郊外居住や成果主義への移行、自由時間の増加など在宅勤務が増えることによる生活変化を3~4割が感じている。6月末と比べて、郊外居住の増加については、そう思う層は+3.0%pt上昇。

<この調査に関するお問い合わせ先>
 pr_corona@nli-research.co.jp

(2020年10月15日「その他レポート」)

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