2020年07月09日

特別定額給付金10万円の使い道

第1回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査

生活研究部 上席研究員 久我 尚子

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■要旨
 
  • ニッセイ基礎研究所が6月末に実施した調査によると、特別定額給付金の使い道は圧倒的に「生活費の補填」(53.7%)が多く、2位「貯蓄」(26.1%)、3位「国内旅行」(10.1%)。一方、「辞退」(2.1%)や「寄付」(1.5%)もわずかながら存在。
     
  • 性年代別に見ても上位は同様。ただし、女性は「貯蓄」や「ファッション」、「マスクや除菌グッズなどの衛生用品の購入・買い替え」、「国内旅行」、男性は「投資」、30歳代は「貯蓄」、40歳代は「子どもの教育」、60歳代は「国内旅行」が多い傾向がある。
     
  • ライフステージ別に見ても上位は同様。ただし、子育て世帯は「子どもの教育」や「育児や保育関連」、シニア世帯は「国内旅行」や「家電製品やAV機器の購入・買い替え」などの必需性の低い選択的消費が多い傾向がある。
     
  • 個人年収・世帯年収別に見ても上位は同様。低年収層では「生活費の補填」、高年収層では「外食」や「旅行」、耐久消費財の購入など必需性の低い選択的消費のほか、「ふるさと納税」が多い傾向がある。
     
  • 特別定額給付金の使い道で「寄付」選択者は子育てが終わったシニア層が、「辞退」選択者は大学生などの若者が多い。いずれも新型コロナの感染拡大による経済的な悪影響を(直接的に)さほど受けておらず、家計支援の必要性が低いためと考えられる。
     
  • 「特別定額給付金」の使い道からは、消費者の生活防衛意識の高さが見てとれた。本稿で用いた「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」は継続して実施する予定であり、今後も消費者の動向がどのように変わるのかを見ていきたい。

■目次

1――特別定額給付金の使い道
 ~圧倒的に「生活費の補填」(53.7%)、次いで、「貯蓄」(26.1%)
2――属性別に見た特別定額給付金の使い道
 ~いずれも首位は「生活費の補填」だが属性による違いも
  1|性別~男性は「投資」、女性は「貯蓄」「ファッション」「マスクなど衛生用品の購入」
   「国内旅行」
  2|年代別~30歳代は「貯蓄」、40歳代は「子どもの教育」、60歳代は「国内旅行」
  3|ライフステージ別~子育て世帯は「生活費の補填」や「教育費」、シニア世帯は「国内
   旅行」や「家電製品」
  4|個人年収・世帯年収別~低年収は「生活費の補填」、高年収層は「外食」「国内旅行」
   「ふるさと納税」等
  5|自分や家族の収入減少に対する不安別~非常に不安層で「生活費の補填」、非不安層で
   「外食」
3――特別定額給付金の使い道が「寄付」や「辞退した・するつもり」選択者の属性
 ~シニアと若者
  1|「寄付」~60歳代が約半数、子育てが終わり経済的にも比較的余裕のあるシニア層が多い
  2|「辞退した・するつもり」~20歳代が44%、大学生などの若者が多い
4――おわりに
 ~給付金の使い道から見える生活防衛意識の高さ、継続調査での消費者動向を把握予定

(2020年07月09日「基礎研レポート」)

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生活研究部   上席研究員

久我 尚子 (くが なおこ)

研究・専門分野
消費者行動、心理統計、マーケティング

経歴
  • プロフィール
    【職歴】
     2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
     2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
     2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
     2021年7月より現職

    ・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
    ・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
    ・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
    ・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
    ・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
    ・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
    ・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
    ・総務省「統計委員会」委員(2023年~)

    【加入団体等】
     日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
     生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society

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