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インバウンド消費の動向(2025年1-3月期)-四半期初の1千万人越え、2025年の消費額は10兆円が視野

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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- 2025年1-3月期の訪日外客数(1,053万7,329人:推計値)は前年同期比で23.1%増加。最多は韓国(全体の23.8%)、僅差で中国(22.4%)が続く。同時期の訪日外国人旅行消費額(2兆2,720億円:一次速報)は前年同期比で+28.4%増加。外客数の増加率を消費額の増加率が上回る背景には1人当たりの消費額(22万1,285円、前年同期+4.8%)の増加があげられる。また、インバウンド拡大の背景には、円安水準が続いていることに加え、他国と比較して日本のインフレ率が低いことが挙げられる。
- 消費額を国籍・地域別に見ると、最多は中国(全体の24.0%)、次いで台湾(13.9%)、韓国(12.4%)と続く。全体の消費額の内訳は、前期同様、モノ消費(「買い物代」)が3割、サービス消費が7割を占める。サービス消費志向の強い欧米からの訪日客が増えることで、10年前(サービス消費が6割)と比べてサービス消費の比率が上昇している。なお、足元でも中国人観光客ではモノ消費志向が高く、4割を占める。
- 今期と同程度の成長が続けば、2025年のインバウンド市場は10兆円規模に達する見通しであり、日本経済への波及効果への期待も高まる。一方で供給体制には、更なる工夫と改革が求められる。持続可能な観光の実現には、単なる量的拡大ではなく、単価の引き上げによる質的な成長への転換が必要であり、適切な価格転嫁に加えて、日本独自の付加価値の創出が不可欠だ。
- 付加価値の高いサービスを訪日客向けに充実させることは、結果として日本人の消費拡大にもつながり、国内市場の活性化にも貢献する。インバウンドと国内消費の相乗効果を促進しながら、観光・サービス産業全体が持続可能な成長を実現していくことが求められる。
■目次
1――はじめに~2024年は過去最高の3,687万人、消費額は8.1兆円で拡大傾向
2――訪日外客数
~2025年1-3月期は四半期初の1千万人越え、首位は韓国23.1%、僅差で中国21.8%
3――訪日外国人旅行消費額
~引き続き四半期で2兆円越え、円安と相対的に低水準のインフレ率が影響
4――訪日外国人旅行消費額の内訳
~サービス消費7割・モノ消費3割、欧米諸国はサービス消費が8割
1|全体の状況
~円安や中国人観光客回復でモノ消費3割、夜間のサービス充実等で消費額拡大の余地も
2|国籍・地域による特徴
~モノ消費は中国が最多で東南アジアで、サービス消費は欧米諸国で多い
5――おわりに
~持続可能なインバウンド成長に向けて、「おもてなし」の再評価と価格戦略の再構築
(2025年05月28日「基礎研レポート」)

03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/05/28 | インバウンド消費の動向(2025年1-3月期)-四半期初の1千万人越え、2025年の消費額は10兆円が視野 | 久我 尚子 | 基礎研レポート |
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