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インバウンド消費の動向(2024年10-12月期)-2024年の消費額は8.1兆円、訪日客数は3,687万人で過去最高

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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- 2024年10-12月期の訪日外客数(998万8,993人)は2019年同期比で+33.8%増加。最多は韓国(全体の23.5%)、次いで中国が続く。前期は中国の回復基調が強まり、中国が首位だったが、今期は韓国人の増加が勝った。また、米国(2019年同期比+71.1)や豪州(+64.0%)など欧米諸国からの観光客は、円安による割安感や相対的に低いインフレ率による日本旅行の割安感から、コロナ禍を大幅に上回っている。
- 2024年10-12月の訪日外国人旅行消費額(2兆3,108億円:一次速報)は2019年同期比で+90.5%増加し、実に約2倍となった。外客数に対し、消費額の増加が顕著であり、1人当たりの消費額(23万7,002円、2019年同期+30.2%)はコロナ禍前の1.3倍に達している。
- 国籍・地域別の消費額では訪日客数とは異なり、中国(全体の18.9%)が最多で、次いで台湾(12.9)、米国(11.6%)、韓国(11.4%)、香港(7.0%)と続く。中国の外客数はコロナ禍前の8割にとどまるが、消費額は1割上回るようになっている。全体の消費額の内訳は、前期同様、モノ消費(「買い物代」)が3割、サービス消費が7割を占めるが、中国人観光客ではモノ消費が4割を占め、購買意欲の強さ目立つ。
- インバウンド市場が10兆円規模に達すれば、日本経済や労働市場への期待も一層高まるが、オーバーツーリズムや人手不足によって、すでに供給体制が限界の地域もある。持続可能な観光を目指す上で、単なる供給拡大ではなく、単価を引き上げることで成長を促す方向性が求められる。そのためには、適切な価格転嫁に加え、日本ならではの付加価値の向上も不可欠だ。また、特に娯楽サービス消費に拡大の余地がある。
- 訪日客向けに付加価値の高いサービスを充実させることは、日本人の消費拡大にもつながり、国内市場の活性化にも寄与する。インバウンドと国内消費の相乗効果を生み出しながら、観光・サービス産業全体が持続可能な発展を目指すことが求められる。
■目次
1――はじめに~2024年は過去最高の8.1兆円、2023年(5.3兆円)を大幅超過
2――訪日外客数
~2024年9月は287.2万人で2019年より26.4%増、7-9月期は首位に中国が復活
3――訪日外国人旅行消費額
~コロナ禍前の2倍、円安効果で消費額が2倍を超える国が多数
4――訪日外国人旅行消費額の内訳
~円安による割安感と中国人観光客の回復傾向で買い物代は約3割
1|全体の状況
~円安と中国人観光客の回復でモノ消費3割、消費額増にはサービス消費の促進が鍵
2|訪日中国人観光客の状況
~「爆買い」期ほどではないが「買い物代」が4割強、モノ消費が旺盛な傾向
3|国籍・地域による特徴
~東南アジアはモノ消費、欧米諸国はコト(サービス)消費
5――おわりに
~「おもてなし」やコストを考慮した価格設定へと見直し、システムや人材への十分な投資を
(2025年02月06日「基礎研レポート」)

03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/22 | 家計消費の動向(二人以上世帯:~2025年2月)-物価高の中で模索される生活防衛と暮らしの充足 | 久我 尚子 | 基礎研レポート |
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