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- 物価と体感-10%以上乖離、値上げに敏感な消費者、価格転嫁は可能か
2024年09月26日
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■要旨
■目次
1――消費者物価上昇率と消費者の体感
~足元の消費者物価上昇率は3%程度だが体感では15%にも
2――値上げに対する消費者の意識へ
~無理な企業努力による価格据え置きは支持されにくい時代へ
3――おわりに~物価高が続く中で、自社の適正価格を再評価する機会に
- 消費者物価上昇率は足元で約3%だが、消費者の体感は15%を超え、実際と体感の乖離が拡大している。過去を見ても、常に4%ほどの乖離があり、日本の消費者は値上げに対して過剰に反応しやすいが、今回の物価高騰においては、食料品やガソリンなど頻繁に購入する品目から早期に値上がりし、その上昇幅も高水準であったことが影響しているようだ。
- 一方で、消費者の物価に対する意識は変化しており、「多少の値上げは仕方ないが、商品の量や質は変えないで欲しい」という(やむを得ない)値上げを支持する割合が約6割を占める。品質を下げてでも値上げを回避することに批判的な消費者が目立ってきており、労働者に過度な負担がかかるような無理な企業努力で価格を据え置く姿勢は、支持されにくい時代へと変わりつつあるようだ。
- 物価高が継続し、消費者が疲弊する中で価格転嫁は難しいようだが、自社の適正価格を再評価する機会としてはどうか。最近ではダイナミックプライシングがファストフードなどにも広がり、価格転嫁の工夫が見られる。データの利活用で安価な時期を設定できれば消費者にもメリットがある。生産性向上に向けた投資を行い、それに応じた価格設定を考えることが、勢いに欠ける日本経済の回復にもつながるのではないか。
■目次
1――消費者物価上昇率と消費者の体感
~足元の消費者物価上昇率は3%程度だが体感では15%にも
2――値上げに対する消費者の意識へ
~無理な企業努力による価格据え置きは支持されにくい時代へ
3――おわりに~物価高が続く中で、自社の適正価格を再評価する機会に
(2024年09月26日「基礎研レター」)
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経歴
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
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