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- 家計消費の動向(~2024年7月)-物価高で食料や日用品を抑え、娯楽をやや優先だが温度差も
2024年09月19日
■要旨
■目次
1――はじめに
~個人消費はやや改善傾向だがコロナ禍前より低水準、課題は可処分所得の持続的増加
2――二人以上世帯の消費支出の概観
~全体で低迷、食料や日用品を抑え、娯楽を比較的優先か
3――コロナ禍の影響を受けた主な費目のその後
~物価高や行動変容で改善傾向に温度差
1|コロナ禍で減少していた費目
2|コロナ禍で増加していた費目
4――おわりに~個人消費の改善は可処分所得の持続的増加が鍵
- 2024年7月の個人消費は年初より僅かに改善傾向を示しているが、依然としてコロナ禍前の水準を下回っている。2024年6月以降、賞与等を含む「現金給与総額」で見れば実質賃金はプラスへ転じたが、主に基本給から成る「きまって支給する給与」はマイナスが継続しており、消費者が可処分所得の増加が持続的なものとみなしていないことや不安定な金融市場を背景とした先行き不安などが影響していると見られる。
- 総務省「家計調査」にて二人以上世帯の消費支出の内訳を見ると、コロナ禍前をおおむね下回る費目のうち「食料」や「家具・家事用品」は2023年以降で減少傾向、「被覆及び履物」と「教養娯楽」は横ばい(若干増加)傾向を示す。消費行動が平常化へ向かう中でも物価高で日常的な消費は抑制される一方、旅行などの娯楽のような非日常的な消費は比較的優先されるなど、消費者の選択性が高まっている可能性がある。
- 娯楽関連でも温度差があり、国内旅行や遊園地などは比較的優先される一方、円安で割高感のある海外旅行は抑制されているようだ。また、バス・タクシー代は高齢化による運転手不足で供給が不足しているために需要が減っている一方、シェアリングエコノミーの進展でレンタカー・カーシェアは堅調だ。
- 5類引き下げ後に初の新年度を迎えた2024年4月は「背広服」の増加が目立つが、アパレル用品は中長期的にテレワーク普及や二次流通品の普及といった行動変容や市場構造変化の影響から支出減少の懸念は強い。メイクアップ用品は、マスク着用が減ったことで、2023年より2024年の方が改善している。
- 食関連では、外食の「食事代」「飲酒代」ともに改善傾向が続くが、未だコロナ前の水準を下回り、特に「飲酒代」が低迷している。テレワークの普及による行動変容に加えて、物価高が続く中で外食が消費抑制対象になっている影響も考えられる。外食の代替手段(手軽な食事需要)として、「パスタ」や「冷凍調理食品」は足元で増加傾向を示す。一方、「生鮮肉」の減少から物価高で安価な食材を選択する傾向もうかがえる。
- 2024年7月の時点では、主に基本給から成る「きまって支給する給与」は未だマイナスのままだが、推移を見れば、2023年以降は改善傾向が続き、プラスへの転換が目前に迫った状況だ。実質的に基本給が増え、その状況が継続することで、消費者が可処分所得の増加を持続的なものと認識できるようになれば、個人消費はコロナ禍前の水準を超えて改善していくだろう。
■目次
1――はじめに
~個人消費はやや改善傾向だがコロナ禍前より低水準、課題は可処分所得の持続的増加
2――二人以上世帯の消費支出の概観
~全体で低迷、食料や日用品を抑え、娯楽を比較的優先か
3――コロナ禍の影響を受けた主な費目のその後
~物価高や行動変容で改善傾向に温度差
1|コロナ禍で減少していた費目
2|コロナ禍で増加していた費目
4――おわりに~個人消費の改善は可処分所得の持続的増加が鍵
(2024年09月19日「基礎研レポート」)
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03-3512-1878
経歴
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
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