2024年03月26日

コロナ後の家計消費-外出型消費は改善傾向だが全体では低迷、マインドはコロナ禍前を上回る

生活研究部   上席研究員

久我 尚子 (くが なおこ)

研究・専門分野
消費者行動、心理統計、マーケティング

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■要旨
 
  • 賃上げ機運が高まっているものの、実質賃金はマイナスで推移しているため、2024年1月の時点では個人消費は未だコロナ禍前の水準を下回る。総務省「家計調査」にて二人以上世帯の消費支出の内訳を見ると、コロナ禍で減った旅行需要は改善傾向にあり、5類引き下げ後の夏休みや秋の行楽シーズンに宿泊料が増えている。一方、パック旅行費はコロナ禍前を未だ下回り、円安で海外旅行を控えた様子も見られる。
     
  • 交通費はいずれも改善傾向にある。鉄道運賃は宿泊料と同様に夏や秋にコロナ禍前を上回り、通勤・通学というよりプライベートの外出需要の回復が見られる。一方、バス代やタクシー代は改善傾向にはありつつも、未だコロナ禍前を下回り、運転手不足やインバウンドの本格回復によって、強い需要に対する供給不足の様子がうかがえる。
     
  • 外出行動は活発化するものの、スーツや婦人服などのアパレル製品は低迷が続く。テレワークによる需要減に加えて、オフィス着のカジュアル化やファストファッションの台頭など中長期的な需要減や単価の減少による影響と見られる。一方、ファンデーションや口紅などのメイクアップ用品は外出再開やマスク着用が減った影響で、コロナ禍前を未だ下回るものの、改善傾向を示している。
     
  • 外食も改善傾向にあり、特に飲酒は2023年に大きく改善しているが、コロナ禍前を未だ2割前後下回っており、テレワークによる就労者の外食機会の減少(昼食や飲み会)や物価高による消費抑制が影響しているようだ。一方、巣ごもり生活で需要の増した内食・中食は出前を除くと減少傾向にあるが、コロナ禍前をおおむね上回っている。また、電子書籍などのデジタル娯楽堅調に推移している。
     
  • 総括すると、コロナ禍で激減した外出型消費は改善傾向にあり、巣ごもり消費も堅調だが、物価高による消費抑制や行動変容による需要減、供給側の制約などきから大半の需要が戻り切っておらず、消費全体としては低迷が続いている。一方、株価上昇や2024年春闘の賃上げ率の高さなどから消費者マインドは上向きだ。可処分所得の増加が視野に入る中で、個人消費は、いよいよコロナ禍前の水準を超える期待が大きい。


■目次

1――はじめに
 ~実質賃金がマイナスで推移する中で、コロナ後も個人消費は低迷が続く
2――二人以上世帯の消費支出の概観
 ~全体では低迷、食料や教養娯楽等が減少、保健医療等が増加
3――コロナ禍の影響を受けた主な費目の動き
 ~外出型消費は改善傾向だが多くはコロナ禍前を下回る
  1|コロナ禍で減少した支出
   ~外出型消費は改善傾向だが国内旅行以外はコロナ禍前を下回る
  2|コロナ禍で増加した支出
   ~コロナ禍をきっかけに出前需要が大幅伸長・定着、デジタル娯楽需要は堅調
4――おわりに
 ~賃上げや株高などで消費者マインドは上向き、2024年度はコロナ禍前を上回る期待

(2024年03月26日「基礎研レポート」)

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