- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 家計の貯蓄・消費・資産 >
- 地方で暮らすということ-都市と地方の消費構造の違い
2025年08月15日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
============================================
※ 当レポートは、基礎研REPORT(冊子版)10月号[vol.343] に要約版を掲載しております。
============================================
■要旨
- 「地方は生活コストが安い」という通説について、総務省「家計調査」等の政府統計を用いて二人以上勤労者世帯の支出構造を分析したところ、実際にはより複雑で多面的な実態があることが明らかになった。
- 物価面では東京都区部で住宅コストが突出して高く(全国平均の約3割増)、日常生活費も全国平均を約5%上回るが、地方でも地理的条件により光熱費や食料品の価格が高い地域があり、必ずしも「地方=安い」とは言い切れない。
- 世帯属性では、地方の小都市で共働き子育て世帯の比率がやや高く持ち家率でも優位にある一方、年収水準は都市部より低い傾向があった。対照的に都市部では高収入層が集中し大企業勤務者が多いが、住宅取得面では制約が大きい。
- 消費支出では、都市部で高所得を背景とした外食・教育・娯楽などのサービス消費が多い一方、地方部では自動車維持費や光熱費など地理的・気候的条件による基礎的生活維持コストがかさみ、所得水準も低い傾向がある。
- 地方の生活費負担軽減には所得向上策に加え、公共交通の利便性向上やエネルギー効率改善など地域の構造的特性に応じた多角的アプローチが重要であり、それぞれの暮らしの実情を理解した地域特性に応じたきめ細かな政策支援が求められる。
■目次
1――はじめに
~地方で暮らす魅力、生活コストの安さと自然環境
2――地方と都市の物価の違い
~東京は住宅コストが突出して高い、日常生活費は全国平均+5%ほど
3――都市と地方の世帯属性の違い
~共働き子育て世帯は地方でやや多く、高収入世帯は都市部に集中
4――都市と地方の支出構造の違い
~所得格差が消費を左右、地方は移動・エネルギーコストが高い
5――おわりに
~都市と地方、それぞれの暮らしの実情に応じた支援策を
(2025年08月15日「基礎研レポート」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1878
経歴
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2025/11/18 | パワーカップル世帯の動向(3)住まいと資産~首都圏6割、金融資産4,000万円以上が35% | 久我 尚子 | 基礎研レポート |
| 2025/11/14 | 家計消費の動向(二人以上世帯:~2025年9月)-「メリハリ消費」継続の中、前向きな変化の兆しも | 久我 尚子 | 基礎研レポート |
| 2025/11/10 | ブラックフライデーとEコマース~“選ばない買い物”の広がり-データで読み解く暮らしの風景 | 久我 尚子 | 研究員の眼 |
| 2025/11/04 | パワーカップル世帯の動向(2)家庭と働き方~DINKS・子育て・ポスト子育て、制度と夫婦協働が支える | 久我 尚子 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年11月20日
持続可能なESGを求めて-目標と手段とを取り違えないこと -
2025年11月20日
「ラブブ」とは何だったのか-SNS発の流行から考える“リキッド消費” -
2025年11月19日
1ドル155円を突破、ぶり返す円安の行方~マーケット・カルテ12月号 -
2025年11月19日
年金額改定の本来の意義は実質的な価値の維持-年金額改定の意義と2026年度以降の見通し(1) -
2025年11月19日
日本プロ野球の監督とMLBのマネージャー~訳語が仕事を変えたかもしれない~
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【地方で暮らすということ-都市と地方の消費構造の違い】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
地方で暮らすということ-都市と地方の消費構造の違いのレポート Topへ










