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2025年11月04日

パワーカップル世帯の動向(2)家庭と働き方~DINKS・子育て・ポスト子育て、制度と夫婦協働が支える

生活研究部 上席研究員 久我 尚子

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■要旨
 
  • ニッセイ基礎研究所の調査を用いて、パワーカップルの家庭の状況や働き方を分析したところ、パワーカップルは、DINKS層(2割強)、小中学生中心の子育て層(4割強)、ポスト子育て層(約3割)という3タイプに大別されることが分かった。
     
  • パワーカップルの女性の半数は、大企業や公務員を中心とした制度環境の整った職場で正規雇用を継続している。一方、50・60歳代では「専業主婦」を自認しつつ高報酬を得る層も約2割存在し、社外役員・顧問、専門職の週数日勤務、複合収入などで高収入を維持している様子がうかがえる。
     
  • 配偶者の約2割が役員・自営業であり、妻は安定性や柔軟性を重視するのに対し、夫は経営的キャリアを志向する傾向がある。夫婦で異なる強みを持ち寄る構造が、世帯全体のリスク分散と持続的な安定を支えていると考えられる。
     
  • パワーカップルを支えているのは、充実した制度環境と、夫婦それぞれのキャリアを活かして家庭を運営する協働の姿勢である。若い世代ほどこうした環境と意識が整いつつあり、パワーカップルは今後も増加していくだろう。


■目次

1――はじめに~増加するパワーカップル、その素顔は?
2――年代や家庭の状況~小中学生の子育て世帯が中心、妻が世帯主も2割
  1|年代~パワーカップルの3分の2は40・50歳代のキャリアの成熟期
  2|ライフステージ~DINKS2割強、小中学生中心の子育て層4割強、ポスト子育て層3割
  3|扶養子ども数~パワーカップルは3人以上の多子世帯が多い傾向
  4|世帯主との関係~パワーカップルでは妻が世帯主の世帯が2割
3――働き方の特徴~制度に支えられた継続と、夫婦で築くキャリアの多様性
  1|本人の職業~正規雇用者が中心、50・60歳代は専門性・資産を活かした働き方も
  2|配偶者の職業~大企業勤務を基盤に役員や自営業など経営的キャリアを志向
4――おわりに~制度環境と夫婦協働がパワーカップルを支える

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年11月04日「基礎研レポート」)

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生活研究部   上席研究員

久我 尚子 (くが なおこ)

研究・専門分野
消費者行動、心理統計、マーケティング

経歴
  • プロフィール
    【職歴】
     2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
     2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
     2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
     2021年7月より現職

    ・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
    ・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
    ・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
    ・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
    ・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
    ・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
    ・総務省「統計委員会」委員(2023年~)

    【加入団体等】
     日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
     生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society

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