2024年04月19日

パワーカップル世帯の動向-2023年で40万世帯、10年で2倍へ増加、子育て世帯が6割

生活研究部   上席研究員

久我 尚子 (くが なおこ)

研究・専門分野
消費者行動、心理統計、マーケティング

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■要旨
 
  • パワーカップル世帯の動向を捉える前に、まず、日本全体の状況を見ると、総世帯の年間平均所得金額は546万円、中央値は423万円である。また、1,200万円以上の高所得世帯は全体の7.2%で、南関東(32.1%)や東海(16.1%)、近畿(13.2%)、大都市(政令指定都市と東京23区)(33.8%)で多いため、夫婦共に年収700万円以上のパワーカップル世帯もこれらの地域に多く居住していると見られる。
     
  • パワーカップルを含む共働き世帯は1,653万世帯(総世帯の28.5%)で、夫婦の年収の関係を見ると、妻が高年収であるほど夫も高年収であり(2023年では年収1,000万円以上の妻の69.2%が夫も年収1,000万円以上)、夫婦(世帯)間の経済格差 の存在がうかがえる。一方、妻の年収200万円未満では、必ずしも同様ではなく、夫が一定程度の年収を得ているために扶養控除枠を意識して働く妻が増える様子もある。
     
  • 夫婦共に年収700万円以上のパワーカップルは2023年で40万世帯(総世帯の0.69%、共働き世帯の2.42%)で、10年前と比べて約2倍に増えている。内訳で最多は「夫婦と子」世帯(60.0%)、次いで「夫婦のみ」世帯(35.0%)が多い。パワーカップルはDINKS(Double Income No Kids)の印象が強いようだが、実際にはDEWKS(Double Employed With Kids)が多い。
     
  • パワーカップル増加の背景には、仕事と家庭の両立環境の整備が進み、出産後や育児期もキャリア形成を継続する女性が増えていることや価値観の変容があげられる。共働きが多数派となる中で、若い世代ほど「仕事も」「結婚も」「子どもも」望む女性が増えている 。30代以下は男子生徒も家庭科が必修科目となった世代でもあり、男女が肩を並べて社会で活躍することを自然なこととして捉える意識は強まっている。
     
  • 女性が働き続けられる環境が整備され、その収入が増えれば、個人消費の底上げにつながる。夫婦世帯として見ても、共働き世帯が増えて現役世代の世帯収入が増えれば消費に結びつきやすい。物価高で実質賃金の伸びが及ばずに個人消費が低迷するで、就労環境の整備というと、消費喚起策としては遠回りなようだが、確実性の高い施策と言える。


■目次

1――はじめに
 ~「女性の活躍推進」から10年余り、M字カーブはおおむね解消、パワーカップルも増加?
2――世帯の所得分布
 ~年間平均所得は546万円、1,200万 以上は7.2%、南関東や大都市で多い
3――パワーカップル世帯の動向
 ~2023年で40万世帯、10年で2倍へ増加、子育て世帯が6割
  1|共働き夫婦の年収分布
   ~高収入の妻ほど夫も高収入、ただし扶養控除枠を意識する妻も
  2|パワーカップル世帯数の推移
   ~2023年で40万世帯、10年で2倍、共働きの2.42%、子育て世帯が6割
  3|夫の収入別に見た妻の就労状況
   ~夫の年収が1500万円以上でも59.0%の妻は就業
4――おわりに
 ~実質賃金が伸びが及ばずに個人消費は低迷、就労環境の整備こそ有効な消費喚起策
 
 

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(2024年04月19日「基礎研レポート」)

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生活研究部   上席研究員

久我 尚子 (くが なおこ)

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消費者行動、心理統計、マーケティング

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