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若者消費の現在地(3)こだわりが生む選択の主体性~データで読み解く20代の消費行動
生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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- 本稿では、若者の「自分で選びたい消費」に焦点を当て、趣味や推し活、旅行、貯蓄・投資などジャンルごとに主体性の表れ方を分析した。その結果、若者が「自分で選びたい」と考える領域は趣味(30.5%)、推し活(22.6%)、ファッション(22.0%)が上位を占めた。
- コレスポンデンス分析により、選択動機は「自己意思重視-他者依存否定」「習慣・経験-リスク回避」の2軸で整理され、ジャンルごとに異なる背景や動機に基づいて主体性が表れることが示された。たとえば趣味や推し活は「自己意思重視×習慣・経験」の領域に位置し、「自分の好みやこだわりを重視する」姿勢が主体性の表れにつながっていることが示された。
- さらに、3回分のレポートを統合したクラスター分析により、消費ジャンルは「日常・こだわり型」「合理・社会複合型」「流行・社会参照型」「基盤的・慎重型」の4類型に整理できた。これは、従来強調されがちな「コスパ・タイパ重視」といった一側面だけでは捉えきれない、若者の多様な選択行動を浮き彫りにする。実際には、若者は領域に応じて柔軟に判断しており、その選択行動は複層的な構造を持つ。
- こうした若者の消費行動の複雑さを象徴するのが「推し活」である。趣味とは異なり「合理・社会複合型」に分類された点は示唆的であり、推し活が単なる娯楽にとどまらず、自己表現、コミュニティ形成、情報収集、経済活動が交差する領域であることを裏付けている。
■目次
1――はじめに~自分で選びたい消費と若者の主体性
2――自分で積極的に選びたい消費ジャンル~「推し」「趣味」ににじむ主体性
1|全体の傾向~「趣味」「推し活」など楽しみと自分らしさの領域は「自分で選びたい」
2|属性別の傾向~ライフステージや収入によって異なる「選びたい」対象
3――自分で積極的に選びたい理由~選択理由から見る4つの主体性パターン
4――若者の消費スタイルの4類型~メリハリ消費・選ばない消費・選びたい消費の統合分析
5――おわりに~推し活が示す若者消費の複層性
(2025年10月08日「基礎研レポート」)
03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
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