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- 訪日外国人消費の動向(2024年7-9月期)-9月時点で2023年超えの5.8兆円、2024年は8兆円も視野
訪日外国人消費の動向(2024年7-9月期)-9月時点で2023年超えの5.8兆円、2024年は8兆円も視野

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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- 2024年7-9月期の訪日外客数(909万7,802人)は2019年同期比で+16.9%増加。最多は中国(全体の23.9%)、次いで韓国(22.3%)、台湾(17.7%)と続く。中国の回復基調が強まり、今期から首位に復帰した。また、米国(2019年同期比+53.6%)や豪州(+43.3%)など欧米諸国からの観光客は、円安による割安感や相対的に低いインフレ率による日本旅行の割安感から、コロナ禍を大幅に上回っている。
- 2024年7-9月の訪日外国人旅行消費額(1兆9,480億円:1次速報値)は2019年同期比で+64.8%増加し、前期に引き続き2兆円規模を維持。外客数に対し、消費額の増加が顕著であり、1人当たりの消費額(22万3,195円、2019年同期+37.0%)はコロナ禍前の1.4倍に達している。
- 国籍・地域別の消費額では中国(全体の41.6%)が最多で、次いで台湾(11.5%)、韓国(7.9%)、香港(7.1%)と続く。中国の外客数はコロナ禍前の4分の3にとどまるものの、消費額は5%上回るようになっている。全体の消費額の内訳は、前期同様、モノ消費(「買い物代」)が3割、サービス消費が7割を占めるが、中国人観光客ではモノ消費が4割を占め、購買意欲の強さ目立つ。
- 観光地でのオーバーツーリズムが問題視される中、インバウンド消費をさらに拡大するためには、付加価値の高いサービス(体験)の提供が重要な課題となる。特に、日本ではナイトタイムエコノミーや富裕層向けの質の高いサービスが不足しており、新たなサービス供給は成熟した日本の消費市場の発展にもつながる。人手不足が深刻である一方、労働生産性や付加価値向上にはまだ改善の余地がある。
■目次
1――はじめに
~2024年上期で3.9兆円、2024年は過去最高の2023年(5.3兆円)を大幅超過か
2――訪日外客数
~2024年9月は287.2万人で2019年より26.4%増、7-9月期は首位に中国が復活
3――訪日外国人旅行消費額
~コロナ禍前の1.6倍超、円安効果で1人当たり消費額が2倍の国も
4――訪日外国人旅行消費額の内訳
~円安による割安感と中国人観光客の回復傾向で買い物代が3割へ
1|全体の状況
~円安と中国人観光客の回復でモノ消費3割、消費額増にはサービス消費の促進が鍵
2|訪日中国人観光客の状況
~「爆買い」期ほどではないが「買い物代」が4割、モノ消費が旺盛な傾向
3|国籍・地域による特徴
~東南アジアはモノ消費、欧米諸国はコト(サービス)消費
5――おわりに
~2024年は8兆円が視野に、日本ならではの体験やナイトタイムエコノミーに期待
(2024年10月30日「基礎研レポート」)

03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
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