コラム
2020年06月01日

ウィズコロナ・アフターコロナの働き方へ期待すること

生活研究部 上席研究員   久我 尚子

新型コロナウイルス 消費者行動 などの記事に関心のあるあなたへ

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1――新型コロナで「働き方」が激変、在宅勤務を併用する働き方へ

ビフォーコロナと大きく変わったことの1つに「働き方」があるだろう。緊急事態宣言の発令による外出自粛を受けて、企業等ではテレワークによる在宅勤務へと大きく舵が切られた。すでに緊急事態宣言は解除され、経済活動が徐々に再開され始めているが、ウイルスとの戦いは続いている。また、テレワークをはじめとした柔軟な就労環境の整備は「働き方改革」で進められてきた流れでもある。緊急事態下では、突発的な対応となった企業も多いだろうが、今後、自社にとってのデジタル(テレワークで在宅勤務)とリアル(オフィスへ出社)の最適なバランスを模索しながら、在宅勤務を併用する働き方が定着していくと見られる。業種によっては、むしろ在宅勤務を主とする働き方へと切り替わっていくのかもしれない。

2――在宅勤務の増加で時間管理から成果主義へ、働き方が多様に

在宅勤務が増え、オフィスへの出社が減れば、勤務管理や評価制度の仕組みを見直す必要も生じるだろう。従来、日本企業で見られてきた時間管理を土台とした形から、欧米の成果主義型へと移行していくことが考えられる。

テレワーク環境が整えられ、時間管理型から成果主義型へと移行すると、働く時間や場所の制約が弱まることで、働き方は多様化する。つまり、成果を出せば、あるいは、あらかじめ決められたタスクをこなすのであれば、9時から17時までオフィスで働くといった一律の形ではなく、都合の良い時間に都合の良い場所で働くことが認められるようになるだろう。

3――働く時間や場所の制約が弱まれば、多様な人材の活躍が期待

働き方が多様化すれば、労働市場で多様な人材が活躍できるのではないかと期待している。
図1 女性の労働力率と就業希望率(2019 年) 例えば、出産・育児などを理由に退職していた女性が仕事を続けやすくなるのではないか。

近年、「女性の活躍推進政策」として仕事と家庭の両立環境の整備なども進められたことで、M字カーブの底上げが進んでいる(図1)。しかし、依然としてM字のへこみは存在しており、出産後に退職する女性も少なくない。

少し前の調査結果になるが、国立社会保障人口問題研究所「2015年出生動向基本調査」によると、働く女性の約半数は第1子出産後に退職している。また、両立支援制度が比較的充実している正社員の女性でも約3割が退職している。

一方で、女性で働いていないが就業希望のある割合をM字カーブに足しこむと、実は、M字カーブはおおむね解消する。働いていない理由は「出産・育児のため」(30.3%)や「適当な仕事がありそうにない」(27.7%)が多い。なお、「適当な仕事がありそうにない」理由について詳しく見ると、このうち4割は「勤務時間・賃金などが希望にあう仕事がありそうにない」というものだ。

今回の緊急事態宣言下で、多くのオフィスワーカーが在宅勤務を主とする働き方となった。このような働き方であれば、仕事を辞めなくても続けられると感じた女性もいるのではないか。介護との両立でも同様のことが考えられる。

4――働き方が変われば働き手の価値観も変わる、男性の育休取得にも

働き方が変われば、働き手の価値観も変わる。そうなれば、長時間働けるほうが評価されやすいといった慣習も薄まり、男性の育休取得などにも影響を及ぼすのではないか。
図2 新入社員男性の育児休業取得意向と男性の育休取得率 新入社員の男性の育休取得意向は上昇傾向にあり、2017年で約8割を示している(図2)。一方で、男性の育休取得率は国家公務員でも2割にとどまる。調査対象層が異なるとはいえ、意向と実態には乖離があるようだ。この背景には、組織にも個人にも、依然として「家事育児は女性が主としてやるもの」といった旧来型の価値観が根強く残っていることがあるのだろう。

新型コロナの感染拡大によって、雇用環境は甚大な負の影響を受けている。一方で、予期せずして、価値観が様変わりするような状況が訪れたことで、遅々として進まなかった変革が進むという正の側面もあるのではないか。
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生活研究部   上席研究員

久我 尚子 (くが なおこ)

研究・専門分野
消費者行動、心理統計、マーケティング

(2020年06月01日「研究員の眼」)

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