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新型コロナによる家計消費の変化-世帯属性別に見た消費支出の違い

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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- 総務省「家計調査」によると、2020年3月の二人以上世帯の消費支出は前年同月比で実質増減率▲6.0%であった。内訳を見ると、外出自粛などの影響で「教養娯楽」や「被服及び履物」、「食料」のうち外食が減少した。
- 消費支出の減少幅は、高齢者の多い無職世帯<勤労者世帯、共働き世帯<専業主婦世帯、共働きでは妻がフルタイムの世帯<パートタイムの世帯、子のいない世帯<子がいる世帯、子が一人の世帯<子が二人の世帯となっており、現役世帯で家計収入が比較的不安定で、家族が多い世帯ほど、新型コロナの影響で消費が減っている。
- 内訳を見ると、現役世帯では巣ごもり生活の影響で娯楽費や外食費の減少という共通点もある一方、共働き世帯ではテレワークで通信費が増えていたり、(時間に余裕のできたであろう)世帯では設備修繕・維持費が増えるなど、暮らし方による違いもある。いずれにしろ新型コロナによって多方面の消費行動が影響を受けている。
- 今後の家計消費の変化要因には、(1)緊急事態宣言の解除、(2)一律10万円給付、(3)雇用環境の悪化などがあげられる。(1)は外出型消費を増やす効果があるが、しばらくは巣ごもり型の消費行動が軸となり、すぐに消費が戻ることはないだろう。(2)による消費増を期待したいところだが、食費などの必需的消費の補填や貯蓄に回るのではないか。
- (3)は長期的に大きな影響を及ぼす深刻な問題だ。すでに新型コロナとの戦いは長期戦へと突入しており、生活困窮世帯をいかに支援し続けるかが課題だ。給付金の追加など更なる支援策を講じるとともに、雇用維持を図る助成金の拡充や雇用機会の提供など、多方面から継続して生活支援策を講じていく必要がある。
■目次
1――はじめに
~3月の二人以上世帯の消費支出は前年同月比▲6.0%、世帯属性によって違いも?
2――二人以上世帯の概観
~教養娯楽や被服及び履物、外食などが減少、設備修繕・維持はやや増加
3――世帯属性別の消費支出
~現役(勤労者)世帯で家族が多い世帯、家計収入が不安定な世帯で減少
4――世帯属性別の消費内訳
~高齢者はリスク回避、現役世帯は春休み需要減少のほか暮らし方の違いも
1|高齢無職世帯の状況
~感染による重症化リスクから旅行や人との接触を控える傾向がより強い
2|現役(勤労者)世帯の状況
~教養娯楽や外食の減少など共通点もあれば、暮らし方で異なる面も
5――おわりに
~今後の変化要因は(1)緊急事態宣言の解除、(2)一律10万円給付、(3)雇用環境の悪化
(2020年05月20日「基礎研レター」)

03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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