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コラム
2020年05月25日
1――新型コロナによる消費構造の変化~外出型消費の激減、巣ごもり消費活発化、デジタル消費加速
新型コロナウィルスによる外出自粛生活によって、私たちの暮らしは大きく変わった。外食や旅行などの外出型消費が激減する一方、家の中で楽しむ巣ごもり消費が活発化するとともに、ネット通販や動画配信サービスなどのデジタル消費の流れが加速したことで、消費構造も大きく変わった1。
今月、多くの地域で緊急事態宣言が解除されたが、ウィルスとの戦いは依然として続いている。これから少しずつ外出型消費が増えるのだろうが、しばらくは様子見の状況が続くだろう。ワクチンの開発など科学的な解決方法が確立されなければ、巣ごもり型を軸とした消費行動が続き、消費構造がビフォーコロナの状況に戻ることはないだろう。
また、そもそも消費構造のデジタル化は、新型コロナがなくとも、近年、見られてきた動きだ。今回の事態で一気に加速したが、極端にデジタル志向の弱い層や休校中の子どものためのサービス契約といった期間限定的な需要を除けば、デジタル化は加速した状況が維持されるだろう。
1 久我尚子「アフターコロナの消費者像」ニッセイ基礎研究所、研究員の眼(2020/4/20)や「新型コロナで増えた消費、減った消費」基礎研レター(2020/5/13)、「新型コロナによる家計消費の変化」基礎研レター(2020/5/20)など。
今月、多くの地域で緊急事態宣言が解除されたが、ウィルスとの戦いは依然として続いている。これから少しずつ外出型消費が増えるのだろうが、しばらくは様子見の状況が続くだろう。ワクチンの開発など科学的な解決方法が確立されなければ、巣ごもり型を軸とした消費行動が続き、消費構造がビフォーコロナの状況に戻ることはないだろう。
また、そもそも消費構造のデジタル化は、新型コロナがなくとも、近年、見られてきた動きだ。今回の事態で一気に加速したが、極端にデジタル志向の弱い層や休校中の子どものためのサービス契約といった期間限定的な需要を除けば、デジタル化は加速した状況が維持されるだろう。
1 久我尚子「アフターコロナの消費者像」ニッセイ基礎研究所、研究員の眼(2020/4/20)や「新型コロナで増えた消費、減った消費」基礎研レター(2020/5/13)、「新型コロナによる家計消費の変化」基礎研レター(2020/5/20)など。
2――新型コロナによって生活時間構造も変化~消費構造や企業のビジネス機会にも影響
今後の消費構造を考える上で、生活時間の構造変化にも注目している。今回の事態により大きく変わったことの1つに「働き方」がある。在宅勤務へと大きく舵が切られたが、テレワークやサテライトオフィスなどの柔軟な就労環境の整備は「働き方改革」で進められてきた流れだ。今回、突発的に対応した企業も多いだろうが、今後、一層、在宅勤務環境が整えられ、出社日は減るのかもしれない。
ところで、厚生労働省「平成28年社会生活基礎調査」にて、働く人の生活時間を見ると、通勤時間などの移動時間に平日1日あたり平均85分を費やしている(図1)。
アフターコロナでは、これまで週5日出社していたところを、例えば、週3日出社・週2日在宅勤務となれば、週170分の移動時間が浮くことになる。つまり、アフターコロナで働き方が変わることで、週に約3時間の自由時間が増えるとすれば、それはどのような行動に費やされるのだろうか。
ところで、厚生労働省「平成28年社会生活基礎調査」にて、働く人の生活時間を見ると、通勤時間などの移動時間に平日1日あたり平均85分を費やしている(図1)。
アフターコロナでは、これまで週5日出社していたところを、例えば、週3日出社・週2日在宅勤務となれば、週170分の移動時間が浮くことになる。つまり、アフターコロナで働き方が変わることで、週に約3時間の自由時間が増えるとすれば、それはどのような行動に費やされるのだろうか。
一方で今後、新しい生活様式に基づく外出も可能になる中で、消費者はどのような時間の使い方をするのだろうか。
消費行動が変われば、企業にとってのビジネス機会も変わる。デジタルかリアルか、家の中か外かという二者択一だけではなく、融合した形でのサービス提供も考えれば可能性は広がる。
今後、消費者の浮いた時間をいかに獲得できるかが企業の生き残りにもつながるのかもしれない。
2 「暮らしに関する調査」、調査対象は全国に住む20~59 歳の男女、インターネット調査、株式会社マクロミルのモニターを利用、有効回答6,183、うち本稿の分析対象(外出自粛した有業者)は2,798。
3 調査実施の3月上旬は、未知のウィルスへの不安が急速に広がり始めた頃、かつ緊急事態宣言発令前で外出自粛レベルも異なるため、現在と比べて、情報収集ニーズの強さからテレビの視聴やネットサーフィンに費やす傾向が強く、出前などのデリバリーサービスの利用に費やす傾向が弱い可能性もある。
消費行動が変われば、企業にとってのビジネス機会も変わる。デジタルかリアルか、家の中か外かという二者択一だけではなく、融合した形でのサービス提供も考えれば可能性は広がる。
今後、消費者の浮いた時間をいかに獲得できるかが企業の生き残りにもつながるのかもしれない。
2 「暮らしに関する調査」、調査対象は全国に住む20~59 歳の男女、インターネット調査、株式会社マクロミルのモニターを利用、有効回答6,183、うち本稿の分析対象(外出自粛した有業者)は2,798。
3 調査実施の3月上旬は、未知のウィルスへの不安が急速に広がり始めた頃、かつ緊急事態宣言発令前で外出自粛レベルも異なるため、現在と比べて、情報収集ニーズの強さからテレビの視聴やネットサーフィンに費やす傾向が強く、出前などのデリバリーサービスの利用に費やす傾向が弱い可能性もある。
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経歴
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
(2020年05月25日「研究員の眼」)
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