2021年01月21日

2020年度特別調査 「第3回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」 調査結果概要

生活研究部 上席研究員 久我 尚子

生活研究部 主任研究員 井上 智紀

生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子

生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 坊 美生子

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※ 調査結果内容の詳細については、全文ダウンロード(PDF)よりご覧ください。

1――調査概要

調査目的:
新型コロナウイルスの感染拡大によって暮らしが激変する中で、消費行動や働き方、生活不安などの状況を把握し、ウィズコロナ/アフターコロナの行動を予測する。

調査時期:
2020年12月19日~21日(次回は2021年3月頃の予定)

調査対象:
全国の20~69歳の男女(株式会社マクロミルのモニター)

調査方法:
インターネット調査

有効回答数:
2,069
 
調査内容:
 1|トピックス
 (1) 年末年始の過ごし方
 (2) GoToトラベルおよびGoToイートの利用意向
 (3) 新型コロナウイルス接触確認アプリの利用意向

2|新型コロナによる行動変容
 (1) 店舗やネットショッピングの利用
 (2) シェアリングサービスの利用
 (3) 移動手段の利用
 (4) 食事サービスの利用
 (5) メディアの利用
 (6) 生活時間
 (7) 働き方

3|新型コロナによる生活不安
 (1) 感染に関わる不安
 (2) 家族関連不安(子どもや高齢家族)
 (3) 経済不安
 (4) 人間関係不安
 (5) 行動不安
 (6) 働き方不安

4|今後の見通し
 (1) 感染拡大の収束・経済の見通し
 (2) 政治・政策の見通し
 (3) 生活行動の見通し
 (4) 家庭生活の見通し
 (5) 働き方の見通し

5|回答者プロフィール
 
※ 調査結果の詳細については、随時、レポート等で公表予定。

2――調査結果のポイント

1|トピックス

(1) 年末年始の過ごし方
  • 感染拡大の第三波が収束しない中で、今年の年末年始休暇は、全体としてはステイホームを心がける予定の生活者が多く、感染による重篤化リスクの高い高年齢ほど、その傾向が強い。一方で、重篤化リスクの低い若者ほど帰省や旅行、外食などにも比較的積極的である。
     
  • 年末年始のイベント(忘年会やクリスマス会、新年会、成人式、同窓会等)は、全体としては予定していない生活者が多い。一方で、感染による重篤化リスクの低い若者ほど、多数派ではないものの、規模を縮小して実施したり、予定通り実施する傾向が見られた。

(2) GoToトラベルおよびGoToイートの利用意向
  • GoToトラベル・イート共に利用者数を伸ばしており、うち半数程度はリピーターである。一方、感染再拡大によってキャンペーンが一旦停止される中で、積極的に利用したいと考えていなかった層が、より消極的になることで、過半数に利用意向がなくなっている。
     
  • GoToトラベルの非利用理由は圧倒的に国内の感染が収束していないため。9月と比べて感染状況が悪化したためか、「感染して健康状態が悪化する不安から、外出を控えているため」の割合がやや上昇している。
     
  • GoToイートの非利用理由は圧倒的に国内の感染が収束していないため。また、キャンペーン開始から時間の経過とともに内容の認知が進んだためか、分かりにくさなどの選択割合は低下している。
     
  • 感染状況が改善されれば、GoToトラベル・イートの利用消極層の約4割に利用意向がある。なお、12月下旬から海外でワクチン接種が開始されたが、「ワクチンや特効薬が普及しはじめたら」は1割以下であり、「経済的余裕ができたら」をやや下回る。

(3) 新型コロナウイルス接触確認アプリの利用意向
  • 新型コロナウイルス接触確認アプリは、普及が進まず、興味関心が低下しているためか、リリース当初と比べて認知度がやや下がり、利用をやめた層の増加も相まって利用積極層は33.6%へと低下している。
     
  • 新型コロナウイルス接触確認アプリの非利用者では、セキュリティの不安が最大。利用者が増えたり、陽性者が確実に登録すれば利用するとの回答がある一方、利便性などが向上しても約3割には利用するつもりはない。
2|新型コロナによる行動変容
  • コロナ禍で、ネットショッピングやキャッシュレス決済サービスなどのデジタル手段の利用は、引き続き増加傾向にあり、12月の利用増加層は約3割を占める。一方、店舗は利用控えが見られ、店舗によっても温度差がある。スーパーなど主に食料や日用品を購入する店舗では、利用減少層は約2割で低下傾向にある。一方、主に衣料品や贅沢品を購入するデパートやショッピングモールでは、利用減少層は約4割で、コロナ禍で全く利用していなかった層で利用再開の動きはあるものの、第三波が到来した12月は、ある程度利用していた層の再度の利用控えの動きが見られる。
     
  • シェアリングサービスでは、フリマアプリの売買が引き続き増加傾向にあり、12月の利用増加層は約1割を占める。その他のサービスでは、利用減少層が利用増加層をやや上回るものの、以前と同様の利用状況に戻る層が増えることなどにより、全体的に徐々に回復傾向を示している。
     
  • 移動手段の利用では、自動車や自家用車などのセルフ手段の利用が引き続き増加傾向にあり12月の増加層は自家用車は約2割、自転車は約1割を占める。一方、公共交通機関は利用控えが見られ、12月の利用減少層は電車やバスは約4割、飛行機やタクシーは約2割を占める。ただし、公共交通機関を全く利用していなかった層で利用が再開され、利用者数自体は回復傾向を示している。
     
  • 食事サービスの利用では、テイクアウトやデリバリーなどの中食手段の利用は増加しているが、伸びは鈍化しており、12月の増加層はテイクアウトは約25%、デリバリーは約15%を占める。外食は引き続き利用控えが目立ち、12月の利用減少層は過半数を占める。なお、コロナ禍で外食を全く利用していなかった層で利用が再開されているが、第三波が到来した12月はその動きも鈍化している。
     
  • メディアの利用では、すべてのメディアで利用増加が目立ち、6月以降、感染者数の増減等によらず、おおむね同水準を維持している。12月の利用増加層は、テレビやネットは約3割、動画配信サービスやSNS、本や漫画は約2割、新聞や雑誌、ラジオは約1割を占める。
     
  • 生活時間では、家の中で過ごす時間は増える一方、外での活動も含む「交際やつき合い時間(オンライン含む)」は減っている。12月の増加層は「家族と過ごす時間」や「休養・くつろぎの時間」、「家事時間」などの家の中で過ごす時間で2~3割程度、減少層は「交際やつき合い時間(オンライン含む)」で約半数を占める。6月以降、家の中で過ごす時間が増え、外での活動時間が減る状況はやや緩和されているが、引き続き、巣ごもりを軸とした生活が続いている。
     
  • 働き方では、テレワークによるデジタル行動が増え、対面のリアル行動が減っている。12月の増加層はオンライン会議や在宅勤務で約2割、減少層は会食や出張は25%前後、出社は約2割を占める。ただし、6月以降、オンライン会議はやや増える一方、出社が増えたこともあり在宅勤務はやや減っている。出張や会食では引き続き減少が目立つものの、全くしていなかった層での再開の動きが見られる。
3|新型コロナによる生活不安
  • 感染に関わる不安では、健康状態の悪化や世間からの偏見、適切な治療や検査を受けられないことに5~6割が不安を感じている。全体的に6月より感染に関わる不安は増しており、特に、健康状態の悪化や適切な治療が受けられない不安が増している。
     
  • 家族関連不安では、子どもの休校による学習の遅れや成長の不十分さなどについては約3割(該当者の過半数)が不安を感じている。高齢家族の生活維持の難しさや運動機能・認知機能の低下については約4割(該当者の約半数)が不安を感じており、6月より生活維持の難しさへの不安が増している。
     
  • 日本経済や世界経済などマクロ環境については6割以上、自分や家族の収入減少や失業などのミクロ環境については45%前後が不安を感じている。6月より収入減少への不安は和らぐ一方、失業への不安はやや増している。
     
  • 人間関係不安では、不安層は3割台以下だが、6月より不安は増している。特に、友人との距離や非対面コミュニケーションが増えることによるトラブルなどで不安が増している。
     
  • 行動不安では、店舗での買い物や外食については約半数、電車やバスなどの利用は約4割、飛行機の利用約3割、タクシーの利用は約2割が不安を感じている。6月以降、店舗での買い物への不安はやや増しているが、外食がしにくくなる不安はやや和らいでいる。
     
  • 働き方関連の不安では、在宅勤務ができないために仕事を継続しにくくなることに約3割が不安を感じており、非不安層を上回る。その他は不安層が非不安層を下回るが、在宅勤務が増えることで集中力の低下や労働時間が長くなること、コミュニケーションの取りにくさ、成果主義への移行について約2割が不安を感じている。なお、全体的に6月より不安は増している。
4|今後の見通し
  • 半年以内の感染拡大の収束や1年以内の経済・雇用回復の見通しは、引き続き半数以上が否定的。一方、12月下旬から海外でワクチン接種が開始されたことを受けて、ワクチンや特効薬の開発についての見通しは明るくなっている。
     
  • デジタル化の進展や政治への関心の高まり、マイナンバーカードの取得率の高まりなど、政治・政策の見通しでは、6月以降、全体的に肯定的な見方が弱まっている。
     
  • 生活行動の見通しでは、社会的距離を保つ行動の習慣化は約6割、キャッシュレス決済やオンラインサービスが好まれるようになることについては約半数をそう思っているが、6月より減っている。
     
  • 家庭生活の見通しでは、産科等への通院や乳幼児の感染リスクから出産をためらい、少子化がさらに進行することについて、約4割がそう思っており、6月より増えている。
     
  • 働き方の見通しでは、約半数がエッセンシャルワーカーの価値が高まると思っている。また、郊外居住や成果主義への移行、自由時間の増加など在宅勤務が増えることによる生活変化を3~4割が感じている。

<この調査に関するお問い合わせ先>
 pr_corona@nli-research.co.jp
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生活研究部

久我 尚子
(くが なおこ)

生活研究部

井上 智紀
(いのうえ ともき)

生活研究部

金 明中
(きむ みょんじゅん)

保険研究部

村松 容子
(むらまつ ようこ)

生活研究部

坊 美生子
(ぼう みおこ)

(2021年01月21日「その他レポート」)

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【2020年度特別調査 「第3回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」 調査結果概要】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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